ジークフリートと母

当時おしゃれな名前を付けてあげようと、北欧神話からジークフリートと命名した。ちなみにジークフリートとは泉の力で無敵の身体を得たが、背中に張り付いた一片の葉っぱによって、唯一の急所が生まれた神話の英雄であり、我が家の暴君に相応しい名前だとその当時は感じていた。私が付けたその名前は彼にとっても誇りだった。
しかしながら、ある日その印象は真逆に転化されたのだ……

学校から帰って玄関から上がった頃かな、リビングから声が聞こえてくる。

「じーく…」

…ふむふむ、
我が親が最愛のスイーツを愛でている。

ところが、
よくよく聴いていると…
「ジーコ」
「ほら、たべないの?ジーコ!」

ブラジル伝説のストライカーと化していたヽ(`Д´)ノ

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