積乱雲の記憶(七)


長い線路がトンネルの先へ抜けると、
樹林が生い茂る線路の両脇の片側に
誰も歩いていないコンクリートの側道が少し
高い位置に流れている。
その道路の下に抜け道が通っていて
その先へ行こうと思った。

夏は相変わらずこんなイメージがする。

OLが名前を告げると、取引役の会社員は
名刺の代わりに名札を外しテーブルの上に置いた。作業員を待たせているのを告げて言おうとする事を遮らずに、取引ノートを取り出し拘束約款を見せた。

木原さん。そういう事で。
この書面はみ出さずに御願い申し上げます。

はい。

では。

頭の中が夏でいっぱい。
ピーチソーダにレモン。パラソル。

書類は取り出した。
私が契約すると会社が倒産する。
約款的に、代理店業務のカタログ選びから
選択したものは会社が黒だからおかしな事があっても大丈夫。

明日書いて出す前に今日のうちに神社にまた
行こう。ハンコは丁寧に押して。

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あのー、すみません

あぁ、通行証

この辺りはゲートに近いから、よく確認される。
通行証は公務員に配布されて公務員は持っていない。公務員が誰かに許可したら渡す。
書類に書き込まれた様々な履歴は、
ネロ領域への立ち入り経歴。ログ。
この辺りは領域キー交差が多いから。
色々な人間がいる所は色々な人間が立ち入る領域が交差して多目的な位相差界が生じる。
そこへの侵入を取り締まる。

ネロさん

はい

ご面倒おかけした

地面に書かれているはずの標識は、自分には見えない。子侶に見えているのは標識ではない。
見えたらその通りになる。そこがそのストリートだと認識するためには素質が必要。カード。

この男が領域を守っているから様々な自覚的時間は正常化される。
人にとって記憶領域はタンパク質がメモリとなって人間の記憶容量となったカードへのアクセスが
会話思考の場合もあればFAX、幻覚、又はドラッグへのアクセスに変えた変性せん妄であったり、
気にかける様で気にしない事で受け取った事にしている場合もある。結局のところ、現実で自動変換された状態で受け取るのだが。
時間軸とメモリはいつ呼び出すか、何処で呼び出すかによって変化する印象論に関わるアクセス状態を作るのだが、
自らのメモリがある信頼による価値を得ると、
遺伝記録が信頼される。その領域の通常時間が
信頼性を帯びてくるとそのタイムラインを持っている事が存在権を持つ。
その男はそのカードのメモリに存在圏を持つ個性となる。遺伝記録への信頼性は、存在権時間軸の信頼性へと変換される。
印象論アクセスは遺伝記録ではなく、表面上の単なるメモリ読み取りだが、位相深度の異なるその個性が存在するタイムラインが信頼されると、1分後から20分後までの存在圏を持つ者がそれぞれ存在する事になる。
その時間軸保持者という事である。
そういった者や物が世界が安定する事に寄与しているとする場合があるのだ。

刀剣や物質、工芸美術や建物。
そういったものたちがあるタイムラインに存在する固有で唯一のタイプモノローグとして機能し、
ある特定の類型からは比類のない遺伝記録を書き込み続ける。その事で存在する。
そのカテゴリーは作成した者とは、
類型を「位」として階層を分けるが
作成者は1人、位階を得た者、神となる。
位、のタイプは20、位に連なる類型は又は20。
つまりひとつの時間保持者にとって、
位型は40あるが全ては異なる。
それらは時間軸は様々だがあるタイプ別チャートの端と端を対角線で分けた上下が2通り。
中心で分けた左右、上下に均等に分けた場合、
の総計100式の世界線を構成する様体に属する
「知」である。

それらが20分後迄1分毎にある体系学。
それが経子。
又は経子術。


続く

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