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最近、殺伐とした光景に出くわすことが多い気がする。

駅のホームで暴れ回っている酔っ払いの男を駅員が取り押さえていた。急に街中で奇声を放って、殴りかかっていく金髪の女性を見た。「待てコラ」と言って、逃げる男を追いかける強面の男たち。

高速道路に向かって、朝からなにかよくわからない言葉を叫んで、持っているペットボトルを投げつけている男の隣をなるべく目を合わさずに通り過ぎていくこともある。

たぶん、単に自分の周りの治安が悪いということではないと思う。最近になってこんなことがよく起こるようになった気がしているし、自分も含め皆がそれに慣れはじている。それというのも、みんな余裕がなさすぎて、そういった目の前の状況も無関心に素通りしていくくらいだからだ。

近年、忍耐強いと言われている日本人のキャパシティを超えるような出来事が堰を切ったように起きている。コロナ、災害、物価高。生活が困窮し今までの暮らしが維持できなくなってきている人が多くいる状況。

なんらかの形で皺寄せは社会の中で必ず存在する。それがどこかに表面化して、可視化できるような形になったのが、そのまま自分が見た光景であるのかもしれない。

器から溢れた分がこぼれ落ちるように、水が高いところから低いところに落ちていくように、彼らはこの疲弊した日本社会の一端を具現化しているのかもしれない。

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