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【書店さんへのご案内】「津久井やまゆり園事件から4年――いま、社会を問う」ブックフェア

 2016年7月26日に、神奈川県相模原市にある障害者入所施設「津久井やまゆり園」で19名の命が奪われ、6名が負傷した事件が起き、もうすぐ4年が経ちます。

 今年の1月から、植松聖被告の裁判が始まりました。しかし、被告は法廷でもヘイト発言を繰り返し、肝心の「どのような経緯で、なぜ差別的思想に至ったのか」はほとんど解明されておりません。そして、3月に死刑判決が下されました。

 事件から4年、かつ裁判の終了にともない、6~7月にかけて近刊・新刊が複数の版元様から刊行されますので、その情報をご紹介いたします。

 併せて、当社の障害福祉関係の編集担当者が既刊本を広くピックアップいたしましたので、参考にしていただき、店頭でのフェア展開などをご検討いただけますと幸いです。

〈6月〉

・『季刊福祉労働167号』「特集 津久井やまゆり園事件が社会に残した「宿題」」、現代書館、1200円。
・『パンドラの箱は閉じられたのか――やまゆり園事件は終わっていない』創出版、1500円。

〈7月〉

・『相模原障害者殺傷事件』朝日新聞取材班、朝日新聞出版、760円。7/7
・『相模原事件・裁判傍聴記――「役に立ちたい」と「障害者ヘイト」のあいだ』雨宮処凛、大田出版、1540円。7/17
・『やまゆり園事件』神奈川新聞取材班、幻冬舎、1800円。7/22

〈既刊本おすすめ一覧〉

・『〔増補新装版〕障害者殺しの思想』横田弘、現代書館、2200円。
・『差別されてる自覚はあるか』荒井裕樹著、現代書館、2200円。
・『どうして、もっと怒らないの?――生きづらい「いま」を生き延びる術は障害者運動が教えてくれる』荒井裕樹対談集、現代書館、1800円。
・『Passion ケアという「しごと」』白崎朝子、現代書館、1800円。
・『入所施設だからこそ起きてしまった相模原障害者殺傷事件』河東田博、現代書館、1800円。
・『脱施設化と個別化給付』鈴木良、現代書館、3000円。
・『季刊福祉労働153号』「特集 相模原・障害者施設殺傷事件」1200円、現代書館。

・『障害者差別を問いなおす』荒井裕樹、ちくま新書、840円。
・『なぜ人と人は支えあうのか』渡辺一史、840円、ちくまプリマー新書。
・『この国の不寛容の果てに――相模原事件と私たちの時代』雨宮処凛対談集、大月書店、1600円。
・『生きている! 殺すな―やまゆり園事件の起きる時代に生きる障害者たち』山吹書店、1150円
・『母よ!殺すな』横塚晃一、生活書院、2625円。
・『殺す親 殺させられる親』児玉真美、生活書院、2300円。
・『分解者たち――見沼田んぼのほとりを生きる』猪瀬浩平著、生活書院、2500円
・『障害者運動のバトンをつなぐ』日本自立生活センター、生活書院、2200円。
・『障害者の傷、介助者の痛み』渡邉琢、青土社、2200円。
・『相模原障害者殺傷事件――優生思想とヘイトクライム』立岩真也・杉田俊介、青土社、1800円。
・『現代思想2016年10月号 緊急特集=相模原障害者殺傷事件』青土社、1300円。
・『現代思想2017年5月号 特集=障害者』青土社、1300円。
・『開けられたパンドラの箱』創出版、1500円。
・『いかにして抹殺の〈思想〉は引き寄せられたか――相模原殺傷事件と戦争・優生思想・精神医学』高岡健、ヘウレーカ、2500円。

選書コメント

 「元被告人の接見記録及び傍聴記をもとに差別的思想の全容を探る」というテーマの本は、事件の検証のためにも大変貴重な価値があると考えます。

 ですが、安積遊歩さん(障害者運動家)は、「差別される側」にとって、犯人の言葉や主張がメディアを通して社会に溢れることは、ヘイトと同じくらいの脅威を感じる、と指摘します。

 もし、幸いにも、フェアを展開していただける際は、障害のある方の言葉を丁寧に取り上げた本や、事件が起きてしまう社会背景(差別・偏見の問題や、福祉制度の問題)に言及する書籍も取り扱っていただけると、非常に幸いです(既刊本にはなるべくそういった本を配置いたしました)。

 みなさんと共に、「わたしになにができるのか」を考えることができたらと思っております。(現代書館編集部・向山夏奈)

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