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シュレディンガーのリアコ

長らくオタクをやってきて、推しという存在はわりと常にいたけれど、この歳になって初めて(だと思う)、リアコというのをやっている。
リアコというのは「リアルに恋してる」の略らしい。ガチ恋勢という言葉との違いはよくわかっていない。
何しろすべてが初めてのことで、毎日何が何やらわからないまま自分の感情に振り回されている。
推しの言動ひとつで世界が光り輝いて見えて森羅万象に感謝してみたり、その逆に信じられないくらい落ち込んで「もう無理カタストロフィやん…」と勝手に世界を滅ぼしてみたり。恋はジェットコースターってマジだ。KinKi Kidsは神。

今日は、推しのことや、人生で初めてリアコというものをしてみて感じたことを書き綴ってみたいと思う。先に言っとくけど起承転結とか皆無だよ。
要約すると「推しがすき」の五文字で表せてしまうことを長々と書くことになるんだろうけど、それでも読んでくれるという方は最後までお付き合いください。

推しの名前を口に出したりするのが照れてできないというレベルで拗らせているので、今回の文章でも名前は伏せて書く。ただ「推し」と呼ぶことにするね。

今までの推しにはどちらかというと雷に撃たれるような一目惚れをしてきた私なんだけど、今の推しは好きになったタイミングもきっかけも覚えてない。YouTubeで初めて拝見して、そのひと個人というよりかはグループ全体として面白いなぁ好きだなぁと思って動画を観続けているうちに、気がついたら推していた。推していたし、お慕いしていた。

すきなひとのことを好きな理由って、なくない?なんでそのひとのこと好きなのかって、「そのひとが奇跡のようにそのひとだから」という説明のしようしかなくない?
好きな理由でなく、好きなところはたくさんあるよ。羅列してってもいい?きいてくれる?

推し、すんごく忙しそうなのに、趣味もサボらない。夜23時に仕事終わってそこからジム行って筋トレして深夜に帰宅して翌朝お友達とフットサルしてまた仕事行ったりしてる。超人か?
全国民の中でもトップクラスに頭がいいだろうひとなんですけど(これは贔屓目とかではなくて、頭がいいことを武器にテレビに出演されたりするような方なので)、運動もできて、音楽もできるの。なんなん?インスタでアップしてはるギターの弾き語り聴いて惚れへん人類存在すんの?はぁ?なんなん?推しよ、私はキレています。魅力的すぎるのも考えものです。魅力も休みやすみ出してください。
推し、自分のことだいすき。インタビュー的なもので褒められたとき、「いやいやそんなことないです」的なこと言ってるのみたことない。
「ありがとうございます」と必ず受け止め、場合によっては「恐縮です」と付け加える。
自分に自信があるのってほんとかっこいいと思う。根拠のない自信じゃないのだろうところも素敵。努力に裏付けされた自信。
推し、ファンの推し方を否定したりしない。「いかなる形の愛にも感謝している」という旨の発言をされていて、涙が出た。
推し、完璧超人で頭がめちゃくちゃいいのに、何故かしりとりができない。いっつも「ん」で終わっちゃう。そこも含めて、完璧なのでは?愛すしかないじゃん。
推し、完璧超人で頭がめちゃくちゃいいのに、公共料金払えないブラザーズ。遅刻魔。それを知って、人間味を感じて更に好きになったファン、たくさんいるのでは?少なくともここに一人いるよ。デートに遅刻されてめちゃくちゃ待たされたいね?ごめんリアコの譫言こぼれでた。
そういえばこの間、五月の誕生石の指輪買ったのよ。わたし?わたし、七月生まれ。…みなまで言うまい。
推しの滑舌・発音の仕方がすき。わりと舌ったらず。「ふ」をfuでなくhuと発音している場面に出くわすたび、リアコやめらんねぇ〜!!と再確認する。
推しの目のかたちがすき。口角の上がり方がすき。黄金比。推しの歯並びがすき。髪質がすき。推しの肩の曲線がすき。
推しのほくろの配置がすき。
すきなところ、書ききれんからここでいったんストップするわ。全部書こうとするとたぶん夜なべすることになるから。

リアコの思考回路って常にショート寸前やなあって思った。
推しは楽しい学びを発信する団体を立ち上げて今ではそれを会社として運営しているんだけど、この間、その会社が求人募集を出してたわけ。
(ファンだからというだけで応募するような奴はご迷惑になるだけやぞということは大前提として、ここではいったん置いとかせて。)
条件に合わへんとか、ドイツに住んでるからなあとか、はじめっから応募を諦めている自分にガッカリした。
リアコなので、推しと付き合いたいとか推しと結婚したいとかいう譫言を、日々推しを推す用Twitterアカウントで呟いている。
本当に付き合いたいなら、出会わなければ。採用されなかろうが、応募してみないことには始まらないのに。結局お前の愛はその程度か?
行動を起こさなければ、「行動を起こせば出会えるかもしれないなあ」といつまでも夢が見ていられる。行動を起こせば、「だめだったなあ」と思う結果に終わる確率の方が明らかに高い。
だから何もできずに遠いドイツでモソモソと推しているだけ。リアコと言いつつ、推しと出会えるなんて本気で思ってないんやろ?正気を失ってナンボやのに、何やねんそれ。おのれはいっつも中途半端やのお。
と、募集要項のページを目にしてからずっと自分の覚悟のなさとリアコとしての振りきれなさを責めていた。
ふと冷静になって、何を悩んでるんや自分は…?と面白くなったりもする。
その点イカロスは凄い。太陽に向かって飛び立てば蝋の翼が溶け落ちることなんて分かりきってるのに、それでも太陽に近付こうとした。もしくは、溶け落ちるだろうと考えつかないくらい、太陽に手が届くかもしれないという考えしか頭になかったのかも。どちらにせよ、イカロスはリアコのトップ。太陽への推し方ハンパない。

推しが同じ時代に同じ次元で生きてる以上、出会うまでは出会えないとは言い切れない。
恋が叶うまでは叶わないとは言い切れない。
推しと出会ったら、私が推しのどタイプである可能性もゼロとは言い切れない。可能性が高いとか低いとかいう問題ではなく、ゼロではないというのが大切なのである。
だから私は、いつ推しと出会ってもいいようにいつも最善の私でいたい。
内面も外面も、推しの周りには私では到底敵わないような素敵なひとがきっとたくさんいるんだろう。でも、敵わないだろうことと、だから私が何もしないということとはなんの因果関係もない。
ここ数週間は仕事で精神的にわりと崩壊寸前なのでおやすみしちゃってるけど、ダイエットも頑張りたいし、スキンケアも気をつけたいし、お化粧も丁寧にしたいし、納得のいく服装で外に出たい。
推しと出会ったときに恥ずかしくない自分でいるために、毎日を丁寧に生きたい。

推しのことが本当にすきなので、推しに大切な人ができたとき、心の底から祝福したい。
だから私はリアコを卒業したい。
卒業して、いい距離感で応援して、いつかくるその日に推しと一緒に喜びたい。おめでとうと笑って言いたい。
だけどしばらくは卒業難しそう。推し、熱愛報道されるの、もうちょっとだけ待って。

推しのお相手なんだからヤなひとなわけないし、最終的にはお相手もひっくるめて推していきたい。
でも今はちょっと無理。もうちょい待って。
推し、結婚は30歳越えてからって言ってたよな?ホンマやな?まだ数年あると思ってていいんやんな?頼むで?

まあ、まだ出会ってもないんで、推しと結婚するのは私であるという可能性もなくはないんですけど。
出会うまでは出会わないとは限らないからね、という希望を胸に私は今日も生きていく。
シュレディンガーのリアコ。

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