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【一級建築士】学科試験は独学で合格できるか!?

前回の投稿で建築士試験について少し話しましたが、今回は、実際に試験に合格するにはどのくらい勉強すればよいのか、資格学校もあるけど独学で合格できるのか、といったことに触れていきたいと思います。
今受験勉強をされている、もしくは今後受験を検討されている皆さんの参考になれば幸いです。
製図試験については、別の記事で改めて紹介したいと思います。

1.試験の概要・合格ラインなどについて

まず、学科試験の概要と合格ラインについて整理していきます。
毎年7月に実施される学科試験は、以下の5教科の計125点満点で構成されています。

Ⅰ 計画(配点20点)
Ⅱ 環境・設備(配点20点)
Ⅲ 法規(配点30点)
Ⅳ 構造(配点30点)
Ⅴ 施工(配点25点)

いずれの教科も、各設問の4つの選択肢から正答肢を選ぶマークシート方式です。
合格ラインは90点が基準となりますが、その年の得点者の分布次第で数点前後します(ちなみに昨年の合格ラインは97点でした。。。)。125点満点中90点正答できれば、正答率72%なのでそれほどハードルは高くないように感じますが、毎年の学科合格者は全体の2割程度なので、試験問題の内容自体がかなり難易度が高くなっています。
また、各教科に足切り点があり、仮に5科目合計で100点以上得点していても、Ⅰ計画で10点以下であれば不合格なので、全科目で万遍なく勉強しておく必要があります。

2.独学で合格できるか?→学科なら十分可能

私自身は、学科から某S資格学校(以下、学校。)に通っており、令和元年度の試験で見事一発合格しました。
一級建築士試験は出題範囲が非常に広く、学習量がかなり膨大ですので学校の講座を受講する方が多いのは事実です。しかし、実際に受講した自分の経験からしますと、学科試験に限っていえば、独学でも合格は十分可能だと思います。
ただ、人によって向き・不向きがあると思いますので、学校に通うメリットも踏まえて解説していきます。

3.学校に通うメリット/デメリット

前述のとおり、私自身は学校に通っていながら、「独学でも合格できる」と主張しましたが、学校の講座を受講するメリットももちろんあります。そのメリットは大きく以下の3つです。

<学校に通うメリット>
(1)継続性・計画性:ペースメーカーとして学習の進捗管理をしてくれる
(2)効率:新傾向問題や法改正情報等、学習のポイントを整理してくれる
(3)サポート:理解できていない問題等があれば講師に質問ができる

(1)については、仕事をしながら、もしくは大学での勉強・研究等をしながら資格の勉強となるので勉強時間の確保や習慣づけがなかなか大変です。また、試験までの具体的な学習計画を立てるのは受験経験がないと難しいです。
(2)についても、日々変わる法令の改正内容や、Ⅰ計画・Ⅴ施工に登場するであろうトレンドや新傾向の情報など、これらの内容を独力で収集・整理するのはかなり労力がかかります。
学校に通う場合は、講師のほかに教務スタッフのサポートもあるので、上記の手間や労力はかからず、試験内容に集中し、効率よく学習できる環境が手に入ります。
また、(3)で挙げたように科目ごとに百戦錬磨のプロ講師がいるので、よくわからない内容があればすぐに質問できる環境があるのも学校の強みです。

一方、学校に通うデメリットは以下のように考えています。

<学校に通うデメリット>
(1)自分のペースで学習ができない(講師のペース、宿題の量など)
(2)休日の拘束時間が長い
(3)授業料が高い

まず(1)ですが、学校に通う場合、週に1回の講義と学校から課される宿題をこなしていくことになります。私が通ったS校については、この宿題の量がかなり膨大のため、学校のペースについていくのが辛いという方もいます。また、1回の講義で取り扱われる範囲が広く、全ての内容を丁寧に解説してもらえるわけではないので、結局は予習を含めた自己学習をしっかりできることを前提とされています。
独学であれば、仕事等の忙しさに応じて週ごとの勉強量のバランスを調整できますが、通学する場合はそうかいきません。また、1回でも講義を休むと遅れを取り戻すのも大変になります。そうなると学校に通う意欲そのものが削がれるという悪循環に陥る可能性もあります。
(2)についても、週1回の講義では学校への往復もあるので休日が丸一日潰れます。体感としては週6日勤務している感覚になりますので、私生活のゆとりが感じられなくなります。
そして何よりも(3)授業料の高いことはは大きなネックです。学科から通う場合、学校によりますが、70~100万円程度の授業料がかかります。授業料の内訳は、講師等の人件費と教材代がメインですが、その他に営業担当者の人件費や広告費など、受講生に直接関係のない経費まで含まれており、かなり無駄な出費をしていることは否めません。
以上を踏まえると、学校に通う効果を授業料以上に得るためには、与えられた講義・宿題をしっかりこなし、講師に質問をしまくる必要があります。

4.独学に向いている人/勉強時間の目安 等

学校の学科講座に通うべきか、独学で勉強すべきかは、その人の普段の仕事の忙しさや生活習慣によって向き不向きがあると思います。
前述のメリット・デメリットを踏まると、独学に向いている人は以下のような方と考えられます。

・(誰かに言われなくても)自主的に勉強できる人
・仕事等の日常の忙しさのムラが比較的小さい人
・試験日を照準とした具体的な学習計画を立てられる人
・業界の最新情報や法改正などをチェックできる人

当たり前といえば当たり前の内容ですが、「仕事をしながら勉強する」というのは想像以上にハードですので、独学の場合でも一定の私生活を犠牲にする覚悟は必要です。
独学の場合の課題点としては、講座受講生に比べて実戦経験(模試等)が劣ることが挙げられますが、各学校の模試や短期集中講座は事前に申し込めば一般受講でなくても受講も可能ですので、うまく活用すれば効果的です。

最期に、学科に合格するにはどのくらいの勉強量が必要なのか、という点ですが、学科については「20時間/週 × 40週(10か月) = 800時間」が一つの目安とするとよいでしょう。ただ、これは独学でも学校に通う場合でも変わらないと考え方だと思います。
週20時間であれば、平日に2時間ずつ、休日に計10時間すれば到達する計算です。もちろんもっと勉強できるならベターですが、試験日から逆算すると前年の秋ごろから継続的に勉強しなければならないので、モチベーションを維持し、毎週安定して勉強する習慣づけが何よりも大事です。

5.おわりに

以上、学科講座に通うメリット/デメリットや、合格に必要な勉強量について紹介しました。受験生の皆さんは参考にしていただければありがたいです。
具体的な学習計画や毎週のルーティーンなどについては、また改めて紹介できればと思います。
今回はこれにて。


ご覧いただきありがとうございました。。。今後の見学先の交通費や書籍費などに充てさせていただきます。