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「”無い”ことで”ある”ことに気づき、そして満たされる体験」

GWを利用して長野県の佐久平駅から車で30分ほどの佐久穂町にある”山村テラス”さんに泊まってきた。大変良い体験で、SANUが掲げる「Live with nature. 自然と共に生きる。」コンセプトを、まさに実現しているサービスだと感じた。

SANU 2nd Homeのサービスを始めてから1年半が経ち、拠点も10拠点まで広がってきた。ありがたいことに、「SANU 2nd Homeを利用し始めて人生が変わった。」、「自分たち家族にとってかけがえのないサービス」、「新しい地域との出会いが生まれた」などなど、大変ありがたい声をいただいている。(本当に励みになります!ありがとう!!)

その一方で、「XXのお皿が無い」、「XXが無かった」、「XXがあると嬉しい」など、無いもの・満たされていない点についてのご指摘をいただくことも多い。当然、宿泊サービスを提供している以上、こうしたメンバーの皆さんからのコメントは、至極当然のことであり、かつSANU オペレーションチームはすべてのコメントを即時チェックして、日々対応をしている。

ただ、SANU 2nd Homeは「すべてが提供される消費体験ではなく、自然の中での自ら生活を営む喜びを提供」することを目指す。

「満たされていることが前提で、満たされていない点を消していく発想(SANUでは”ノイズレスな体験の提供”と言っている)」だけではなく、「満たさないものを作ることで、満たされているものに気づいていく」という発想があってもいいのではないか?

限られた自然資源の中で生活し、その中に生きる喜びを見出すことができる自立した人間を増やしていく。
今回の山村テラスさんの滞在を通じて、色々なヒントをいただいた。
では、山村テラスさんには、「何が無かったのか?」、つまり「何が同時にあったのか?」を書いていく。


① 水と光(並びに熱)

山村テラスさんのキャビンは完全オフグリッドの建築である。電気は太陽光パネルと天気が悪い時用の予備バッテリーのみ。
飲料可能な水は2泊でポリタンクが3-4個。室内には薪ストーブと石油ストーブのみでエアコンなどは無い。シャワーは無く、トイレはバイオトイレ。
発展途上国で仕事をしており久々の帰国だったパートナーには酷だったかもしれないが、満たされすぎて心も体もなまりきった東京人の私には、この満たされ無さ具合が最高に楽しかった。

  • 電気の量は限られている。そうすると当然ながら夜早く寝て、日の光と共に起きる。

  • 朝はキャビン内が冷えている。ウッドデッキにでて太陽を浴びることで暖をとる。

  • 限られた水を計算しながら料理したり、顔を洗ったり、コーヒーを淹れたりする。

  • 調理は焚火ストーブの熱を使いながら、ピザを焼くなどシンプルな料理をし、素材を楽しむ。(結局焚火ストーブはうまく着火がされず煙が室内に充満してしまう、という思い出も加わった)

  • 近隣の日帰り温泉施設(サウナと露天風呂からの八ヶ岳Viewが抜群すぎた。)までドライブして体を温め、帰ってきて焚火をしながらビールを飲む。(そして雨に降られる)

こうした体験の数々は、正直めんどくさかったりもするのだ。でも、不思議と慣れていくと心地よくなっていく。ランニングを習慣にする人は、最初の走り出しはすっごくめんどくさいが、途中からランナーズハイになり心地よくなっていく気分と言えば、想像がつくだろうか?
水と光が制限された生活は、便利に慣れすぎて生活の充実を失った都会人にとっての精神的なフィットネスみたいなものかもしれない。

② Wifi

山村テラスさんは、スローなWifiがある。宇野常寛さんの「遅いインターネット」のリアルに「遅い」版だ。
最近、UnyokedやGetawayなど海外のオフグリッドキャビンのサービスでも、「インターネットを提供・設置すべきか?」ということがテーマになる。
インターネットは通じているがWifiを遮断できるBOXを用意していたり、完全にWIFIをあえて入らないようにしたり、などなどそれぞれだ。
私自身はやはりWifiがゼロの状態の場所に行くと少し不安を感じてしまう。(山の登山だとあきらめたりするのだが)。オンとオフが極端にふれる感じが嫌なのだ。
山村テラスさんのスローなWifiでは、ZOOMは諦める。ただ、朝晩のNewsやMail、SNSのチェックは可能。あとは自由意志で昼はえいやと「飛行機モード」にして遮断して、ひたすら読書。天気が急変したりしても、天気や災害情報はギリギリチェックできるWifiスピード。それが良かった。

③ 人

SANU 2nd Homeでは、1拠点に10棟前後のキャビンが並んでいる。それは一定の安心感を提供したり、朝、扉をあけて誰かを敷地内に見つけると「こんにちは」と言える。
山村テラスさんは、1拠点・敷地に1キャビンしかない。これが良かった。
360度自然に囲まれている。人は一人もいない。そうすると、自然の声が一気に聴こえてくる。
我々の言った春は鳥たちの大合唱だった。おそらく夏や秋には虫のコーラスが加わってくるのだろう。
一遍の風が通り、木の葉っぱがそよめく音が聞こえてくる。

建築を孤独にする。すると、そこに滞在する人も孤独になる。

その孤独が自分自身の内面を見つめたり、周りの音や色に気づく時間を提供してくれる。

SANUが目指すのは、「人と自然が共生する社会」。
そのためには、自然と共に生きる事に喜びを感じる人を増やしていく必要がある。
ウォールデンのように原始的な森の生活をしようぜ、と言ってもなかなかトライできる人は少ない。(現に私も難しい)

自然で暮らすハードルを少し下げ、1人でも多くの方に自然に触れもらう。こんな狙いで、SANU 2nd Homeを運営している。

提供するものと、提供しないもののバランス、これは創業当時から難しいバランスだよねと議論を重ねてきた。

今回の山村テラスさんの滞在を通じて、
「もっとハードル上げても、つまりはもっと提供しないものを多くしても、それはそれで違う自然とのつながりを作ってくれますよ。」
と教えていただいた気がした。

SANU 2nd Homeもかなり拠点数も増え、会員さんの数も増えてきたし、いっちょここらで
「がっつりネイチャーSANUやっても面白いかもね!!SANUの社員、野生児多いし。」
そんなことを思ったGoldend Weekでした。

さあ、また明日からSANUを通じて一人でも多くの皆さんが自然とつながる瞬間を作るためにTEAM一同頑張ります!!

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