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現代民話 基本構想 (試案)

「現代民話」とは、正確には「現代に創作した民話」という成果物ばかりでなく、それら物語作品を集積させることによって、「現代民話」という全体像を実体をもって構築していき、一般生活者に概念的に「現代民話」たるものを想像できるようになってもらう現在進行形の構築活動であり、「物語の集積、数・全体量を増やし実存として明らかにしていく」と「その中で、今を生きる子供たち(親ならば我が子など)~次代、後世…にいかにこれを引きついでいくかを常に追究していく」といった活動・工程についても重きをおくもので、終わりのなくプロジェクトと定義したい。

又「現代民話」とされる作品とは、いわゆる「民話」と言われるものよりも、よりその存在意義をあらかじめ明らかにするものとし、旧来から継がれてきた「民話」より、理知的には進化した存在でありたい。というのは、現在の2023年とは、日本という国も、世界他の国々についても発展の内容、質は別にしても、生命の存続環境としては明白に進化してきた。知性、理性、良識、善人としての素質を有すであろう人も相応に増加してきているとみるに、その反面、同じ地球の共同住民とし進化どころか後退したような危害ばかりを与え続ける人々もおり、現代はかつてないほど複雑で難解な事態も抱え続けている。

そうした中で、過去からの文化資産に着目し、そのエッセンスを預かり、さらに後世へ引き渡していくのであれば、やはり自己の私欲や利益を超え、周囲の人々とこの先生まれてくる人々、そしてこのすべてを取り巻く社会に対し、その皆々がより賢明で元気であるために多少なりも寄与できる言葉たち・語りであることがのぞましく、これまでの「民話」に敬意を称しつつもそこから前進した物語たちがここにあるべき姿ではないだろうか。

そこで、「現代民話」とは、次のような思いがあって、成立する物語としたい。

現代民話とは、まずその作り手・語りだし手が、明治以降に生まれた世俗の中の民衆、一生活者であり、その人がその子供や周囲の人に語って聞かせた話をベースにしたものとする。
聞き手たる対象とは、この世の中で暮らすいかなる生活者をも含み、人々が「希望をもって生きる」「好奇心ゆたかに、多くのことを面白がって興味をもってわくわくしながら暮らす」「正しく善く生きようと努めて生きる」…ことは素晴らしいことであり、そうした人々の集積こそが、世の中を明るい方向へ動かしていくと認識し、一人一人の読後に、本当にわずかでも「その心持ちへの良い影響」を及ぼすことを願い、語って聞かせていきたい話(聞かされた話)を原則としたい。

話の始まりとは、だいたい「昔のこと、でも昔々というほどでもく、ちょっと昔のことだ。」という前置きに始まり、結びは、「神様は、思いもしない近くにいるものだ」「お天道様は、必ずどこからか自分たちのしていることをじっと静かに見ている」「いいことも、悪いことも、回り回って又自分の元へやってくる。」など、様々にあっていいことにする。「だから~~なのだ」「~~であるべきだ」という教訓的な結びは、あえて加筆しないものとし、読後人々がそれぞれにその心の中で、いろいろ思い巡らし、自らの内なるものと対話し、思考を深めてもらうことに期待することにする。


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