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赤ちゃんは個性の塊

こんにちは、セタゲンゴです。

前節はアルビレックス新潟に0-3で敗れた水戸ホーリーホック。

色々な方々が力の差を感じたってことを口にしていました。

確かに差はあったかもしれません。

とは言え、相手だってJ2クラブですし、勝てない相手ではなかったはず。

新潟さんには試合を決定付けることができる“個”の力が少し多めにあり、それをチームが上手に使うことができたんだと思います。

でも水戸ホーリーホックにも試合を決定付ける“個”の力はあります。

それは間違いないですから、皆さん心配しないでくださいね。

日本人は本当にシャイ?

今日のNoteは少し角度を変えて、“個”つまり個性ってどこで育つのかなって話をしたいなと。

よく日本のサッカー界の方々は、「個の力が」「個を育てろ」「個の違いが」なんて言います。

これは海外と比較したときによく言われる表現なのですが、ではその個性ってどこで差がつくんでしょうか。

そんな視点で見たとき、ドイツの幼稚園で受けた衝撃があったので、そんな話を紹介させていただきます。


ちなみに今回の話の前提として、日本人って往々にしてシャイだと言われますよね。

でも内弁慶なだけで、ほんとは明るいし、人懐っこいってことは多々あります。

そう考えると日本人って本当にシャイなんでしょうか?

どうして日本人は知らない人たちの前で自分の意思を示したり貫いたりが苦手なんでしょうか。

そこで日本人がコミュニケーション能力が低い、と言われてしまう背景について考えてみたいと思います。

あくまでも私の実体験と主観的な見解であることを踏まえて読んで頂ければ有り難いです。

日本の教育スタイル

日本の教育スタイルは、最近少しずつ変わってきたとはいえ、やはりまだまだ講義型が中心。

つまり教師が講義する内容を生徒側が学び、教師が教えたことが正解であることを疑わない世界です。

もちろん教師側は正しいことを教えていると思いますし、そこに異論はありませんが、本当の学びというものには、“自分事として捉え、最終的に納得する”というポイントがとても大きいと思います。

「これが正解だからこう覚えなさい」と教えられるとどうしても窮屈ですし、考える思考回路が停止してしまいます。

一方で一人の教師が発する情報が一度に多くの学生に届き、その知識がテストで試されるから学生はそれを覚え込んでいくわけですから、国民としての矢印の統一には非常に適した教育スタイルであることは間違いありません。

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これは戦後の高度経済成長を後押ししたシステムだったと言われています。

ただこれが、個性の育成を阻害してしまったという側面もあったのかもしれません。

赤ちゃんは自己主張の塊

それを踏まえて、4歳の娘がいる親としての見解を。

子供は基本的に産まれてから最初は家庭で育ちます。

その家庭内では子供は自己主張しまくりですし、自分の感情や意志に従って喜怒哀楽を表現しているはず。

そこには空気を読むなんて感覚はないですし、ときにはショッピングモールでだって大の字で寝転んで大声で泣きわねく、なんてこともあります。

まさに自分の個性を、意志を全力で表現しています。

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ところが子供が最初に属する社会である幼稚園に入り、そこではじめに習うことは集団行動に必要なこと。

先生が話してるときは静かに耳を傾ける、自分がやりたいことも、ときには我慢するという社会性を身につけていきます。

子供は「○○しちゃいけないんだよ、先生が言ってた」っという感じで、先生が教えてくれることを全て純粋に受け入れて、道徳や善悪の分別を付けられるようになっていきますよね。

(社会)集団の中での立ち振る舞いなどは、家庭では教育できないことだったとするのでとても大事なこと。

そうやって幼稚園、小学校と進んでいく中で、自然に先生の話を聞く子供が出来上がっていくわけです。

ドイツの幼稚園で受けた衝撃

なぜこんなこと書いてるかというと、私は自分の娘をドイツの現地の幼稚園に通わせていたことがあるから。

これが日本の幼稚園、日本の教育スタイルと違ったので、それを当事者として比較できるからご紹介したいなと思いまして。

私の娘(当時2歳)はモンテッソーリ教育を取り入れている幼稚園に通っていました。

モンテッソーリ教育については、是非詳しくは調べていただきたいのですが、ポイントは縦割り教育だということ。

つまり同じクラスに2歳児から6歳児までが混在していたんです。

だから子供たちはクラスの中に(年齢が)違う子供がいるのが当たり前で、その結果できるできないの差があるのも当たり前の中、お互いを尊重し合いながら成長していくわけです。

そして子供たちが自分でやりたいことを判断し行動してよかったという点が、なによりも驚きでした。

幼稚園見学に行ったときに説明された、

「みんなでやっていることが嫌なら参加しなくて良いんです」

「好きなところに行って本を読んだり遊んだりしても構いません」

「他のクラスがやってることが楽しそうならそこに参加しても構いません」

という教育方針には驚きましたが、実際に園内の色々なところに絵本コーナーやブロックコーナーがあって、そこで子供たちが自由に遊んでいました。

なるほど、こんなところから“個の育成”、“自己主張”は始まってるんだ、という衝撃を受けたんです。

正確な表現にすると、“個性の尊重”というべきかもですね。

どういう仕組みかだけ詳しく聞くと、子供たちは自分の教室を出ていくときは、壁に貼ってある自分の顔写真のついたマグネットを動かして、どこに行きます、と表現するだけでした。

実際に娘が幼稚園に入ってから、(見させていただく機会があって)他の子たちの振る舞いを見ていると、

「先生、あっちに行って良い?」

と聞いている子供がいて、先生はそれに対して、

「良いわよ、そのときはどうするんだっけ?」

と返していました。

子供はマグネットを動かして、自分の行動の意思表示を済ませて、嬉しそうに出ていきましたが、そういうことなんだなと。

自分の行動にしっかりと責任を持つ、どこで何をするのかを伝えればそれを尊重してもらえる、そういう教育だったのです。

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これを見て理解したとき、日本サッカー界で

「個を育てろ!」

って言っていることが少し滑稽に思えました。

ここから始まってたのか、こんな自然に育成されていくのか、こりゃ敵わんわけだ....

それが正直な感想でした。

日本人学校の子どもたち

もう一つ紹介したいお話。

私は当時、フォルトゥナ・デュッセルドルフのスタッフとして、現地の日本人学校と良い関係性を築いていました。

それは10年以上にわたって小学2年生の課外授業を担当していたからです。

具体的には、公共交通機関を利用して学校外の社会科見学に行こうという企画で、スタジアム見学会をオーガナイズしていたからですが。

長いことその見学会に向けての事前授業をやっていたこともあり、とにかく学校にはよく出入りしていましたし、子供たちともよく交流していました。

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そんな取り組みを始めた当初、ドイツ人スタッフのリアクションが面白かったのでご紹介します。

大体日本人学校の2年生の生徒は毎年70-80人ほど。

これくらいの人数に対して引率者5-6名(先生3名とボランティア2-3名)が付いてくるのですが。

これをドイツ人スタッフに伝えたところ、

「無理無理、70人もの子供が一同に会したらカオスで見学会になんてならないよ」

「2年生じゃ騒いじゃって話なんか聞けないでしょ」

というリアクション。

私からすると何が?そんなこと絶対ないけど?という感じだったので、絶対大丈夫と押し切って実施しました。

実際子どもたちは隊列を組み、先生の言うことをしっかり聞いて素晴らしい団体行動をしてくれました。

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それを見たドイツ人スタッフがめちゃくちゃ驚き、

「日本人の教育は素晴らしい!」

と感動していたのです。

「ドイツの教育方針はダメよ。みんな自分勝手でこの年代はコントロールするのが大変なんだから」

という言葉を聞いて、物事はやはり両面性があるんだなぁと感じたのでした。


ちなみにですが、お弁当を食べる自由時間に、子どもたちが解き放たれたように騒ぎ、楽しそうにしているのを見て、

「日本人の子供たちもこうやってはしゃぐのね(笑)」

と言ってくれたことは、誤解のないよう追記しておきます。

今日のまとめ

今回の話をまとめますと。

日本人の子供たちだって、幼児の頃は個性の塊だってこと、自己主張の塊だってこと。

それが教育システムによって徐々に消されていくっていう事実があるということを知っていただきたいなと。

でもこの日本の教育システムの良さもあるので、一概に否定はできません。

重要なことは事実を知った上で良いとこ取りの施策を考えていくべきだということです。

周りがどう、ではなく、自分達が正しいと思うことを行動に移していくことかなと。

かつて、江戸時代に水戸学という学問が存在し、それが時代を動かす原動力になったという歴史があるこの地から、未来を作る新しい個性を育てていきたいと思います。

今週はユース所属の2選手が2種登録(トップの試合に出場できるように登録したということ)を済ませました。

こういうことも積み重ねていきます。

そしていつか、アカデミー出身選手が、チームを勝利に導くような輝きを見せてくれる日を楽しみにしています。

新潟さんに追いつき追い越せ、そんな思いも持ちつつですね。

頑張るときはいつも今

瀬田元吾

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