かわロボ よく使用されるアンプの動作比較の前段階[かわロボAdventカレンダー2023 Aリング12/23]

※かわロボAdventカレンダー(https://adventar.org/calendars/8699)の記事です

かわさきロボットに搭載されている電装系に関する簡単な解説記事です。アンプの電流値比較の記事を書くのに前提とする部分を記載していたら長くなったので、いったんこれを記事にします。


電装系について

かわさきロボットを駆動するにあたり最低限搭載しなければならない下記の構成品をまとめて電装系と呼んでいます。

  • アンプ

  • バッテリー

  • 送信機/受信機

  • (モーター)

  • (配線類 ケーブル、コネクタ)

送信機/受信機についてはあまり解説できないため、それ以外を簡単に解説します。

アンプ

ESC "Electric Speed Controller"という名前がたぶん正式名称。
その名前の通り電気的に速度を制御する物。
受信機から入力された信号をもとにモーターに対し電圧を印加している。

私が使用しているものは双葉のMC402CR。かわロボユーザーであれば多くの方が使用したことがあるはず。
今は無き秋葉原の双葉直営店で1個10000円ぐらいで買えたが、今では1個15000円ぐらいする。
今はあるか知らないが、本大会の会場で特売されていることもある。

アンプには大きく分けてブラシモーター用とブラシレスモーター用の2種類がある。かわロボで使用するのはブラシモーター用のアンプ。
ブラシモーター用はモーターに結線する線が2本、ブラシレスモーター用は結線する線が3本なのでそこで見分けつく。
Castle Creations製のアンプは、設定で切り替えができる。

下記の引用のようにブラシモーター用のアンプの多くは、前進時と後進時で流せる電流の最大値が異なっている。
ラジコンカーは基本前進しかさせないため、後進側は弱くていいとのこと。

・前進側電流/ピーク電流:60A/360A)
・後進側電流/ピーク電流:30A/180A)

https://www.rc.futaba.co.jp/products/detail/I00000341

上記のような差が生まれる原因は、前進側回路のFETが後進側の2倍搭載されているためである。
かわロボでアームに使用する場合は、攻撃時にアームが動く方向をアンプの前進側にした方がたぶんいい。

かわロボで使用するアンプを選定する際に必須となる要素は下記の2つ

  • バックできること

  • ブレーキキャンセル機能がついていること

あとは並列にするモーターの個数に合わせてピーク電流値を決めておくとよさそう。余裕を見てモーター1個当たり50Aぐらい欲しい。
上記で引用しているMC340CRでは後進側のピーク電流が180Aであるため、3発ぐらいが限度。
アームのサーボ化をする場合は、モーターにこまめに突入電流が流れるため、発熱対策のために冷却性能も考慮する必要がある。

バッテリー

かわロボの動力源。
2013年ぐらいまでは、ニッケルカドミウムバッテリー(NiCd)やニッケル水素バッテリー(NiH2)が使用可能で、2014年ぐらいにリチウムフェライトバッテリー(LiFe)の使用許可が下りた。
ドローン等でよく使用されているリチウムポリマーバッテリー(LiPo)は、爆発事故が起こりかねないので永遠に使用許可は下りない。
かわロボで主に使用されているのはLiFeバッテリー

部屋に同期が貸してくれた()ジーフォースのバッテリーがあり、アンプの動作比較をこのバッテリーで実施するので、スペックの見方について解説。

バッテリー G FORCE GFG102 引用元:https://www.gforce-hobby.jp/products/GFG102.html

電圧:6.6V  → バッテリーの定格電圧。実際には満充電で7.2V程度の出力。出力が6.0Vを下回っているとほぼ空。6.6Vを下回ったあたりで充電している。

容量:2600mAh → 2.6Aの電流を1時間流すことができる容量を持っている。また、この電流値を1Cと呼ぶ。
充電の際は、1C以下で充電するのが良いため、本バッテリーの場合は基本的には2.6A以下で充電する。空の状態から満充電まで1C充電で1時間かかる。

出力:65C/100C → 恒常的に65Cの電流を出力することができる。瞬間的に100Cの電流を出力することができる。このバッテリーだと容量で記載した通り、1 C当たり2.6Aである。そのためスペック上は、169Aの電流を恒常的に出力でき、瞬間的に260Aまで出力できる。実際には169Aも恒常的に出力すると電装系が燃える。

上記のバッテリーを2本直列にして使用するケースが多いため、実際には電圧が13.2~14.4Vとなる。直列接続の場合容量は変化しないので、2600mAhのまま。(並列接続だと、電圧は変化せず容量が2倍となる。)

モーター

かわさきロボットで使用可能なモーターは380モーターというタイプのモーター。
大会の規定に以下のように記載されている。

380モーター(マブチモーター製、タミヤ製またはJohnson正規品)

https://kawasaki-sanshinkaikan.jp/robo/28th/battle/rule.html

上記の規定を満たすモーターで私が認識しているのは下記の5種類

  • マブチ RS-380PH-4045 (最も一般的な奴、普段店売りされているのはこれ)

  • マブチ RS-380PH-3270 (上と巻き線が違うタイプ 380モーターで検索すると、仕様が4045より先に出てくる。本記事を書くにあたって380モーターの特性を測定した結果、普段使っているのはこれじゃないことに気づいた。私以外にも勘違いしている人はいるはず)

  • タミヤ ギヤードモーター 380シリーズ (タミヤのギヤボックスを使用しているとこれ)

  • タミヤ 380 スポーツチューンモーター

  • Johnson製 (見たことがないし、調べ方が悪く調べても偽物っぽいのしか出てこない)

下記のマブチの RS-380PH-4045(以降記載がない限り380モーターの話はこれを基本とする) の性能表をもとに簡単に性能について解説する。

動作範囲 3-12V
かわロボユーザーは単三電池1本(1.5 V)で脚が動作するか確認するし、試合では満充電時に14.4 Vを印加している。

公称値 6V
以降で出てくる回転数等の値に使用する電圧

無負荷時回転数 12500r/min
6Vを印加した際にモーターの軸先が1分間に回転する回数
モーターの特性として、1V印加した際の回転数に比例関係がある。
なので380モーターは1V印加するごとに回転数が2100r/min増える。
この値をKV値[rpm/V]と呼ぶ
14.4V電圧を印加すると、30000r/minぐらいとなる。

無負荷時電流 0.56A
モーターに負荷を与えずに6V印加して回転させた際に流れる電流値。
14.4Vかけてみても無負荷時の電流は0.6~0.7A程度だった。

380モーターに14.4Vかけてみた際の無負荷電流値

停止時電流 18A
モーターの軸先を停止させた状態で6Vを印加した際に流れる電流値。
停止しているモーターに対し電圧を印加した際も一瞬だけ上記の電流が流れる。
モーターの抵抗値と読み替えることができるため、オームの法則が適用できる。つまり14.4V印加すると43.2Aの電流が流れる
モーターを並列にすると並列にした数だけ流れる電流量が増える。
理論上、4並列の場合160Aぐらいの電流が流れるし、6並列の場合は240Aぐらい流れる。実際にどれくらい流れているかは計測してみないとわからない。

配線類 ケーブル コネクタ

各電装系間を接続する部材
私は、ケーブルは12AWGや14AWGのシリコンケーブル、バッテリーとアンプを接続するコネクタはT型コネクタやXT60コネクタ、アンプとモーター間の接続にはギボシ端子を使用している。

MC402CRに生えているケーブルは14AWG相当品
シリコンケーブル 電流値等で検索すると14AWGのケーブルで30A~50A程度が定格値らしい。

T型コネクタは50A、XT60コネクタはその名の通り60Aが定格値の模様
(MC402CRに最初からついているタミヤコネクタの定格値は15A程度。かわロボで使用すると溶けると聞いたことがあるが実際にやってみたことはない。)
ギボシ端子は定格が4~15A(配線の太さに依存)ぐらい。電装系において配線での電力ロスの諸悪の根源。でも取り換えるの面倒だから使っている。

ちょっと長くなってしまったので、いったんここまで

思ったよりも記事が長くなってしまったので、実際にアンプを使用して380モーターを回した際の電流値測定をした記事は今年中に別記事で上げます。内容詐欺になってしまい申し訳ありません。

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