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「っぽい色」ってどんな色?デザイナーが考える「季節感のある色」の話

こんにちは。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
徳島県吉野川市のデザイン事務所 きらきら工房です。
月1回、デザインについてのアレコレを、ビギナーさんにも分かりやすく解説したコラムを書いていますので、良かったら最後まで楽しんでいってくださいね。




季節は梅雨の真っただ中。
とは言っても、最近は「しとしと降り続く雨」というより、スコールのような「急な激しい雨」が多いような気がします。

7月に入ると、ショッピングモールや百貨店でバーゲンセールが始まりますね!
「セールでお得に服を買いたい!」と考えているのは、私だけではないはず(笑)
セールが始まると、お店の広告やDM、店内POP、SNSなどで「セール告知」を目にすることが増えます。
日常の中に溶け込んでいて、じっくり見る機会はあまりないかもしれませんが、セール告知のグラフィックには「季節感のある色」が使われていることがとても多いのです。

でも、「季節感のある色」ってどんな色なんでしょうか?
「っぽい色」がどんな色なのか分かっていれば、あなたのお仕事や日々の生活で、ちょっとプラスになるときがあるかもしれません!

それでは、さっそく色の話を始めていきましょう!

「季節感のある色」は世界共通?

まずは、「色」に対して感じる「っぽさ」は世界共通なのか?を考えてみたいと思います。

日本では、他国との違いを「日本には四季がある」と説明することがよくありますよね。
では、世界の他の国には四季はないのでしょうか?

答えは、引用記事の中にあります。

日本人に自分の国の特徴を尋ねると、かなりの確率で「四季があります」という答えが返ってくる。厳密には地球の各地に四季はあるので、別の国の誰かにとってこの答えはばかばかしく思えるかもしれない。しかし、日本でいう「四季」は、春、夏、秋、冬のように1年を4つに分けた名称を指すのではなく、特徴のはっきりした4つの季節を指すように思える。

世界においても、日本のように天候や植物、農産物、習慣などが異なる季節があるところは珍しい。また、日本には季節ごとに開かれる祭りが数々あり、季節というものが古来、文学や詩歌、芸術において非常に高い割合で取り入れられている。

東洋経済オンライン
外国人が心底驚く日本人の特異な「自然観」 なぜ「整った自然」をこんなにも愛でるのか
https://toyokeizai.net/articles/-/188765

なるほど、他の国にも四季はあるけれど、生活や文化の中に「季節の移り変わりを感じ楽しむ」ことが息づいている、ということのようです。


では、他の国や地域にも四季があるのならば、「季節感のある色」や「色に対するイメージ」は世界共通なのでしょうか?

答えは、なんと「おしごとはくぶつかん」という子どもたち向けのサイトに書いてありました!

国や文化、習慣や体験の違いなどによって違ってくることがあるよ。
(中略)
世界中にはいろいろな文化や考え方を持った人々が暮らしています。色に関する好みやイメージだけを見ても、世界中でおおよそ共通しているものから全く違うものまでさまざまです。

おしごとはくぶつかん
色のイメージは国や文化によって違うの?
https://oshihaku.jp/nenkan/page/14376930

なるほど、とても分かりやすく解説してくれています!
文化や習慣・体験の違いが、「色に対するイメージ」の違いに繋がる、ということですね。

記事の中には、「『曜日』に色があるタイ」のことや、「虹の色の数は国それぞれ」についてなど、とても興味深い内容がありましたので、気になる方はぜひご覧になってみてください!

ここまでの話をまとめると、

  • 世界にはそれぞれの四季があるが、その中でも日本には四季を感じ楽しむ文化が色濃く息づいている

  • 文化や習慣・体験の違いが、「色に対するイメージ」の違いを形作っている

という答えにたどり着きました。

ということで、今回考える「季節感のある色」は、私たち日本人にとっての「っぽい色」ということになります!


【引用】
・外国人が心底驚く日本人の特異な「自然観」 なぜ「整った自然」をこんなにも愛でるのか | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン

・色のイメージは国や文化によって違うの? | おしごとはくぶつかん


「っぽい色」は、連想する色

さて、それでは、私たち日本人にとっての「っぽい色」とはどんな色なのでしょうか?

まずは、A~D色の組み合わせを見て、どれがどの季節を連想させるか、考えてみてください。

「Q.どれがどの季節の色?」A,B,C,Dにそれぞれ3色ずつ色のサンプルがあります

どうでしょう、なるべく分かりやすい色を選んだつもりなんですが、なんとなく分かるでしょうか。
ヒントは、「その季節を連想させるモノ」の色です。

それでは、答え合わせをしてみましょう。

「答えは、A-夏、B-冬、C-秋、D-春」

正解は、A-夏、B-冬、C-秋、D-春 でした!

このA~Dの色は、「その季節を連想させるモノ」の写真からつくった色なんです。

春…桜と青空の写真、夏…スイカの写真、秋…焼き芋の写真、冬…冬の森の写真

こう見てみると、「季節感のある色」というのは、「その季節を連想させる色」であるということがよく分かると思います。

他にも、春夏秋冬それぞれの季節を連想させる写真から色を抽出してみると、こんな結果になりました。

春の写真から「春っぽい色」を3色抜き出しました
夏の写真から「夏っぽい色」を3色抜き出しました
秋の写真から「秋っぽい色」を3色抜き出しました
冬の写真から「冬っぽい色」を3色抜き出しました

どれを見ても、「っぽい色」に感じませんか?
昔の人たちも、四季の移り変わりで目にするさまざまな色に、きっと「ああ、もう次の季節がやってきたんだな」と感じていたのだろうなぁ、なんて思いをはせてしまいます。


【使用した写真素材】
・写真AC

【春】
 満開のサクラ 春の陽気/菜の花と青空/つくし 春の景色
【夏】
 カットされたスイカ/癒しの景色・海と空/
 静かな海岸と遠くで打ちあがる花火のイメージ
【秋】
 焼き芋/稲穂が頭を垂れて/燃える秋
【冬】
 エゾリス/クリスマスのイメージ クリスマスギフト/
 五ヶ瀬ハイランドスキー場


写真からつくった色を使って「セール告知」をつくってみる

せっかく「っぽい色」を集めてみたので、四季のセール告知画像を作ってみます!
使うのは、写真から抜き出した3色+白。
果たして、どんな仕上がりになるのでしょうか…!

「スプリングセール」のサンプルバナー
「サマーセール」のサンプルバナー
「オータムセール」のサンプルバナー
「ウインターセール」のサンプルバナー

いかがでしょう?
「っぽく」なった…かな?
「写真から抜き出した3色+白」という縛りだと、なかなか組み合わせが難しい部分もありましたが、おおむねそれぞれの季節感を持たせることができたような気がします。

写真から抜き出した色に完全に頼るよりは、参考にしつつポイントで抜き出した色を使うのが良いかもしれません。
それでも、「っぽい色が分からない、どうしよう…」というときには強い味方になってくれますので、困ったときには「その季節を連想させるモノ」を頼ってみてくださいね!

「日本の伝統色」を知ってみる

さて、「っぽい色」として昔から親しまれてきた「日本の伝統色」というものがあるのをご存じでしょうか。
いつの頃からか、日本人は色に名前を付けて楽しんでいたようです。

印刷インキの製造販売を行っているDICグラフィックス株式会社のホームページに、とても分かりやすく紹介されていましたので、引用してご紹介します。

「日本の伝統色」の魅力
古(いにしえ)より伝わり、現代に至るまで深く生活の中に息づいた日本特有の色彩感覚は、日本文化の一面として大変価値あるものです。

色彩にみる伝統的美意識は、今日でも共感しうるものとして人々の生活の中に溶け込んでいます。伝統色にはさまざまな由来がありますが、ここでは日本人的感性として取り挙げられることの多い「四季」に因んだいくつかの伝統色を詩的散文とともにご紹介します。

DICグラフィックス株式会社
日本の伝統色 -四季編-
https://www.dic-graphics.co.jp/navi/color/traditional.html


「日本の伝統色 -四季編- | DICグラフィックス株式会社」のキャプチャ画像-「春」の色
「日本の伝統色 -四季編- | DICグラフィックス株式会社」のキャプチャ画像-「夏」の色
「日本の伝統色 -四季編- | DICグラフィックス株式会社」のキャプチャ画像-「秋」の色
「日本の伝統色 -四季編- | DICグラフィックス株式会社」のキャプチャ画像-「冬」の色

【引用】
・日本の伝統色 -四季編- | DICグラフィックス株式会社


日本人が感じる「四季の色」の正体

「『日本の伝統色』を知ってみる」の項でもご紹介した色の名前には、ある共通点があることに気付いたでしょうか。その共通点とは、「植物」です。

日本人は昔から四季折々の植物を通して「色」を感じていたため、伝統色名として今に伝わる色の呼び名は、圧倒的に植物由来のものとなっている。

東洋経済オンライン
なぜ日本人の「色彩感覚」は世界で賞賛されるのか 「春の色」ひとつとってもこんなに多彩
https://toyokeizai.net/articles/-/641802

私たちにも馴染みのある「桜」や「菜の花」、「柿」、「栗皮」などの色が、大昔から同じ名前で呼ばれていたなんて、なんだかロマンを感じますね。
ちなみに、日本以外の国にも「伝統色」というものはあるらしく、それぞれの文化に基づいた名前が付けられているようですよ。

それぞれの国の「伝統色名」には、その国の文化的な特徴が如実に現れるが、フランスの伝統色名にはボルドー(赤ワイン色)、ミエル(ハチミツ色)、カフェ・オー・レー(カフェオレ色)のように飲食物に由来するものが多く見られ、中国の伝統色名には鉱物に由来するものが多い。(参考資料:DIC COLOR GUIDE『フランスの伝統色』『中国の伝統色』)

東洋経済オンライン
なぜ日本人の「色彩感覚」は世界で賞賛されるのか 「春の色」ひとつとってもこんなに多彩https://toyokeizai.net/articles/-/641802

【引用・参考】
・なぜ日本人の「色彩感覚」は世界で賞賛されるのか 「春の色」ひとつとってもこんなに多彩| リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン


まとめ

とっても奥深い「色」の話はいかがでしたでしょうか。
こうして、色を通してものごとを見てみると、いつもとは違った部分が見えてくるような気がしませんか?
普段、デザインをしているときに何気なく選んでいる「っぽい色」ですが、自分や国のルーツに「っぽい」と感じる手がかりが隠されていることに改めて気付かされました。

色を使いこなすのはとても難しいですが、ファッションと同じように、楽しみながらいろんな色を使ってみましょう!

それでは、次回もお楽しみに!




徳島県吉野川市のデザイン事務所 きらきら工房

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