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「水中で固まる砂」について考える

水の中に入れると凝集し、粘土みたいになる砂があります。
一年近く前に100円均一で購入してレビューしたんですが、今回は違った視点でお話しします。

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この砂の成分は二酸化ケイ素です。疎水性なので水の中に入れると二酸化ケイ素同士で集まり、水をはじくために空気も引き込みます。
原理が分かっていても不思議に感じます。
水の中で凝集して固まる一方、油の中では何も起きません(以下の動画の最後の方)。

観察していて気付いたのは「これもゲルの一種」だということです。
一般的に、ゲルは高分子などでできたネットワークの中に、水などの溶媒を含んだ材料を指します。
ところが、中には溶媒を含まないゲルもあるんですね。

溶媒を失ったゲルをキセロゲルと呼び、その代表がシリカゲルです。
99%以上が空気の、エアロゲルという特殊なゲルも存在します。
これらのゲルを踏まえて「水中で固まる砂」を見てみます。
水中では粘性の高い粘土のようにふるまいます。
それは無数の二酸化ケイ素粒子が繋がってできたネットワークで構成されていて、空気を媒体としています。
外側は水です。
つまり、一般的なハイドロゲルの逆なんです。
そう考えると、とても面白いですね。

二酸化ケイ素のキセロゲル2-119

ゲルという視点で固まる砂を見たことで、新たな知見を得たような気がします。
水中に出し入れすることで簡単にネットワークが出来、そして崩れるところが他のゲルに無い特徴だと思います。

この砂は「ねりっと砂」という商品名で売られています(もしくは、それに似た名前)。
ショッピングモールや家電量販店の玩具コーナーなどで探してみて下さい。
100円均一ではごく稀にみかけます。

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