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Gelate 研究ノート

趣味のゲル研究や化学のニュース・興味深い研究について、一歩踏み込んだ内容の記事をお届けします。基本は以下の3本です。 〇化学に関するニュース解説 〇連載:科学と歴史(不定期) 〇…
月に3本以上(最低3本)、化学と個人研究に関する月額マガジン専用記事を投稿します。 〇化学に関する…
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#生命

ゲルと生命の謎⑨ 〜刺激応答性ゲルとエントロピー〜

「ゲルと生命の謎」連載は終了しましたが、今回は本編の補足をお話します。 連載の中でも刺激応答性ゲルについて取り上げましたが、今回はその時の内容を補強するものです。 各記事単独でも分かるように書いているつもりなので、これまでの連載を読まれていなくても大丈夫です。 刺激応答性ゲルというのは、私が研究している温度応答性ゲルのように、何らかの外部刺激で色や大きさなどが変わるゲルです(電気、光、pH、溶媒組成)など。 では、刺激応答性ゲルが脳の記憶と何の関係があるのか?

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ゲルを見て思う、まぁ良いじゃない、という考え方

少し時間におくれそう。 思っていたものと違っていた。 仕事が思い通りに進まない… 物を落として壊してしまった… でも、まぁ良いじゃないですか。 それで死ぬわけじゃないんですし。 どんな事でも完璧に、自分の思い通りになることはないので。 そして、寛容に生きていれば、幸せを感じることも多くなるんじゃないでしょうか。 20年近くハイドロゲルの研究をしていますが、 ゲルを扱っていると、そんな事をたまに思います。 ハイドロゲルは曖昧な材料です。 精密に制御し、思い通りの構造と機能

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ゲルと生命の謎 深堀編② ~生命誕生の奇跡~

太陽から程よい距離にあり、水と光と有機物が存在した。 地球が今の位置から少しずれているだけで、生命は生まれなかった可能性があります。 そもそも、地球のもとになった石に含まれる元素が違っていたら、水が無かったら、生命は誕生しなかったかもしれません。 あるいは、私たちには想像もつかない特殊な生物が生まれていたかもしれません。 あるとき、海から陸上に上がった生物が登場し、巨大化していった。 そして、陸上を支配していた恐竜たちは、ある時、忽然と姿を消します。 隕石の衝突による大きな

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ゲルと生命の謎⑧(終) ~生き物に見る生命のカギ~

半年以上続けた連載、今回が最終回となります。 人の身体に焦点をあてた記事が多くなりましたが、今回は生き物全体についてお話しします。 生き物の中には、存在そのものがゲルと言える種がいます。 クラゲやアメーバはその一例ですね。 以下は連載外で取り上げた記事です。

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ゲルと生命の謎⑦ ~眼の不思議~

眼は様々な部位で構成され、その機能は複雑です。 そして、眼は多量の水を含むハイドロゲルでもあります。 高い透明度やピント調節など、あらゆる機能をゲルで実現しているわけです。 基本的なことは以前投稿した記事で取り上げました。 この記事で取り上げなかったことを中心に、眼の驚異的な性能と不思議についてお話しします。

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ゲルと生命の謎⑥ ~階層構造と高分子~

階層構造とはなんでしょうか? ファイルシステムの階層構造は分かり易いですね。 他にも、様々な階層構造があります。 なんとなくお分かり頂けたでしょうか? 今回お話しするのは、高分子の階層構造についてです。 高分子材料は、様々なスケールの構造から成り立っています。 大雑把に言うと、数ナノメートル → 数マイクロメートル → 数ミリメートルという具合に、小さなサイズの構造がより大きな構造を形作っています。 この階層構造は生物にも欠かすことのできないものです。

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ゲルと生命の謎⑤ ~筋肉の驚異的な性能~

筋肉は、水を含んだゲルとは思えない驚異的な機能を持っています。 どこが驚異的なのか、なぜそのような機能を持っているのか、深堀します。 筋肉の不思議筋肉を使わない日はありません。 歩く・物を持ち上げる・立つ・座る・食事 etc. 挙げればきりがありませんね。 では、筋肉を動かそうと意識して動かしたことはありますか? ほぼ無いと思います。 やろうとする動作と筋肉の動きはリンクしていて、ほぼノータイムで身体の様々な部位を動かすことが出来ます。 脳から瞬時に指令が届き、筋肉が動い

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ゲルと生命の謎④ ~体内の化学反応を司る、酵素のメカニズム~

生物の体内では常に化学反応が起きています。 代表的なのは、タンパク質の合成ですね。 しかし、材料となるアミノ酸だけでは合成できません。 媒体となる水はもちろん必要ですが、他にも必要なものがあります。 それが酵素です。 酵素は、化学反応の触媒として働きます。 触媒とは、それそのものは変化せず、化学反応の方向を決める物質のことです。 以下の図のように、反応に必要なエネルギーを下げ、化学反応を促進します。 目の前に大きな山があると、登るのに大きなエネルギーを必要とし、簡単には登れ

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ゲルと生命の謎③ ~生命のカギを握る、生体膜のインテリジェンス~

前回は脳について考察しました。 生物は外から得た感覚などを電気信号で脳に伝えます。 では、その信号はどのようにして発生しているのでしょうか? 生体膜の役割生体膜(細胞膜など)は、細胞の内と外を隔てる膜です。 以下のような図を見たことがあると思います。 膜が細胞核と細胞質を取り囲み、外の環境と隔離しています。 この膜には様々な機能があります。 栄養分の摂取や、活性物質の分泌、イオンの透過などを行います。 つまり、物質を選択して通す機能を持っているんです。 生体膜の持つ、

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研究レポート 2022.01 ~温度応答性ゲルのメカニズムを再考~

ある温度に達すると、大きさや色を変えるゲル。 この温度応答性ゲルの構造と応答メカニズムは、40年以上前から研究されてきました。 特定の温度に応答する仕組みは、ある程度モデルが確立されています。 ただ、従来説は違うかもしれないと、最近考えるようになりました。

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ゲルと生命の謎① ~高分子と水~

ゲルと生命は切っても切れない関係です。 生命を解き明かすことは、ゲルの真理に迫ることだと言っても過言ではありません。 今回から複数回にわたってゲルと生命について考え、その謎に連載を通して迫ります。 地球上の生き物の多くは、身体の大部分がゲルで出来ています。 私たち人間は、骨や歯を除けば殆どがタンパク質と水でできたゲルです。 ゲルとは、高分子で作られた網目構造の中に水などの液体を含んだ材料のことです。

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化学ニュースピックアップ Vol.15 ~乾燥を防ぐ特殊なタンパク質~

タンパク質はアミノ酸が鎖状に繋がってできた高分子です。 そして、タンパク質には様々な種類が存在します。 以下の記事でご紹介したように、加熱しても変性しない特殊なものもあります。 今回ご紹介するのは、生物の乾燥を防ぐ特殊なタンパク質です。 どのようにして乾燥を防ぐのでしょうか?

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