やわらかものづくりの視点[1]~人口減に打ち勝つイノベーション~
「失われた20年」の出口はまだ見出されていない。
日本の低迷は、欧米の投資家の間では「ジャパニフィケーション(日本化)」として恐れられている。日本化の定義は決まっていないが、不景気で金利を下げても景気が上向かず、不景気と低金利が常態化したような状況に使われているようだ。
日本の低迷の原因は何か。世界的に言われているのは、日本は課題先進国だということ。人口減により、少子化と高齢化が同時に進行している。
統計によれば、人口の増減は消費者物価と連動しており、人口減は物価低迷、すなわち、低インフレと連動しているというデータがある[日経新聞特集「人口と世界」]。人口減は産業に深刻な悪影響を及ぼす。
それに打ち勝とうという取り組みがある。欧州の小国、人口63万人のルクセンブルクは、かつて農業などの労働集約型の産業から、金融などの意識集約型の産業への展開を図った。1人当たり実質労働生産性で世界のトップを争っていた。人口が少なくても、高い生産性を誇る優等生だった。
ところが、最近、ルクセンブルクの生産性の成長率が日本をも下回るようになった。金融などでのデジタル化が急速に進み、対応できる専門人材の育成が遅れたせいで、現在はリスキリング(学び直し)の導入による失地奪回に取り掛かっているというのだ。
ここから先は
2,222字
/
2画像
¥ 100
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?