オリンピックのために徹夜で働いた僕が

僕はスポーツ観戦が大好きだ。
プロ野球、MLB、海外サッカー、アメフト、テニス、箱根駅伝。
ひいきの選手やチームがいなくても、
とにかく気になる試合は出来るだけ見逃さないようにしている。

もちろん、オリンピックもめちゃくちゃ好き。
開会式と閉会式は録画して何度も見るし、
注目してる競技は明け方だろうがちゃんと見ます。
もちろん日本がメダルを取って欲しいけど、
いろんな国の選手がガチで戦ってるのが好きだ。

東京オリンピックが決まった時はすごく嬉しかったし、
今でも、本当にうまくいくんだったら開催できたらいいなと思っている。

でもなんだか、コロナやオリンピックに関わるニュースのあれこれを見ていて、
「本当にやるつもりなのか…?」なんて、
なんだかムワッとした気持ちになることが多い、ここ数日。
ちょっと思ってることを書いてみたいと思う。

ここでも何度か書いてますが、
僕は広告制作会社で6年ぐらい働いていた。
広告業界において、もちろんオリンピックは超超大イベントで、
どのクライアントも「オリンピック特需」に湧いていた。

その中でも僕は、わりと本体寄りの大仕事に混ぜてもらって、
運良く「オリンピックを作ってる人たち」の近くで働くことができた。
そのために僕も徹夜して働いたし、
多くの人が身を削って、この人生で一度あるかないかの一大イベントを
成功させるためにがんばっていた。

僕もがんばったし、
がんばってる人をたくさん見てきたから、
「やってほしい」という気持ちはもう本当にわかるんだけど、
一部の偉い人や強い組織が「やる」という結論ありきに見えることには、
なかなかイヤなものを感じている。
(ここからは、いつも以上に思い込みと偏見満載ですすみません)

さて、オリンピックを成功させるために頑張っていた人たちは、
何のために頑張っていたのだろう。
国民に勇気を与えるため?
震災からの復興を世界に示すため?
経済のため?
単純にスポーツが好きだから?

それだけじゃないよね?
と思う。

自分の名誉のため。自分の実績のため。自分の利益のため。自分の優越感や満足感のため。
そういうものが渦巻いてるよな、と思う。

さて、この一大イベントを大きく動かしている国や代理店が生み出した、
「世の中の大きな仕組みのようなもの」って、
基本的に「強い人は弱い人を使って余計に強く、弱い人はどんどん弱くなる」ものだと考えている。

オリンピックの仕事にしたって、
正直、僕がどれだけ徹夜しても、給料も上がらないしどこかに名前がクレジットされることもないし、まあわかりやすいメリットはなかった。(メリットがないからイヤだったというわけではない。仕事は楽しかった)

じゃあ、僕みたいな人が徹夜をして、仕事が進んで、誰が得するかっていうと、
「オリンピックを作りました!実現させました!」
という、偉くて強い人たちだ。

おまけに、偉い人たちはローコストで、つまり僕らみたいな末端の方にいた人たちを安価でたくさん使ったことで「利益を上げました!」と、もっと偉い人たちから褒められる。
(お客さんは「都から予算が削られてるんですよ」が口癖だった)
そうやって、強い人はどんどん強く、弱い人はどんどん消耗していく。

さて、遠回りしてしまいましたが、
オリンピックやれるのかやれないのか問題。
この明らかにやったら色々ヤバそうな中、
かたくなに「開催させます!」といってる人は、
オリンピックがあることでより強くなれる偉い人だ。

この仕組みの中で強い人が開催を強行したら、
弱る人は、もっともっと弱るんじゃないだろうか。
強行して何か不利益をこうむる弱い人がいたとしても、
偉い人たちはきっと助けてくれない。

もしオリンピックが実現して、万が一その後にコロナが増えても、
きっと偉い人たちはオリンピックのせいだなんて認めないし、
「自分が悪かった」なんて絶対言わない。
これは3万円ぐらい賭けてもいい。

世の中は、
もうコロナ禍の世界が示している通り、
民衆の声みたいなものは偉い人たちにはもう響かない。
どれだけ反対の空気があっても、
やれるってなったら、やるでしょう。
もうそれはどうしようもない。

そうなった時、じゃあ、僕は。と。
じゃあ、僕は、どう思えばいいだろう。
と、そんなことを考えている。

どう思えばいいのか、
その答えはまだないから、
だからここ数日、ずっと心がムワッとしてるんだと思う。

今日も徹夜で働いている人が、
よい3連休を迎えられますように。



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