文芸誌「氷卵Vol.1」

800円/A5二段組/108ページ

　「Ｘ」の「Ｘ」による「Ｘ」のための文芸誌。　　　　　　　　　　　　　どこかにいる「Ｘ」に届くことを願って。

Vol.1　テーマ「水葬」

　SF・ファンタジー・現代ものと様々なジャンルの水葬をお届けします。

収録作品
〈巻頭エッセイ〉水におぼれる（守宮泉）　　　　　　　　　　　　　　　　守宮が小学生の頃死にかけた話。全4ページ。

〈小説〉泡沫の夢（都鶴）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　偽物人魚〈フィクトシレネー〉を造った博士である「僕」は引退することを決めたが、国の陰謀により軟禁され……。「僕」の過去と人魚の関係とは。
　詩のような地の文が特徴の近未来SFです。全8ページ。

〈小説〉誘い（守宮泉）（初収「季刊ヘキvol.9」）　　　　　　　　　　　　時は大正。雪深い町の酒蔵に三男として生まれた三保（みつやす）はある日華族のわけあり娘幸子（さちこ）と結婚する。しばらく幸せな結婚生活が続いていたが……。
　なんちゃって時代小説。季刊ヘキに収録した作品の再録です。全10ページ。

〈小説〉九九（53の3）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　新人警察官の小鳩は音信不通となっていた幼馴染、重陽と再会。彼は自衛官になるという幼いころの夢を捨て、ただのニート生活を送っているように見えたが……。巷をにぎわせる過激派テロリスト"ツクモガミ”との関係は。
　現代警察ものです。全13ページ。

〈短歌〉言葉の葬列（黄堂里衣）　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　水葬をテーマにした短歌15首。

〈戯曲〉思い出水葬（九朱もら）
　小さな村役場の地域生活課。補助金申請のための調査をしに行く若き課長島田とその同僚比和は、物の記憶を映しだす発明品に出会う。それによって地域生活課の前課長との二人の関係が明らかに……。
　明るいラブコメディです。全13ページ。

〈小説〉水槽の人魚姫（鶴見ゆきえ）
　貴族の所有する人魚を世話している召使いの少年。ひょんなことから人魚と仲良くなった彼は、楽しく日々を過ごす。ある日、その家に強盗が入ってきて……。
　どこかのおとぎ話のような語り口が特徴です。全7ページ。

〈小説〉MY SWEET HOME（ヤミリー・ジョイ）
　海で拾われた「ぼく」は自分のことを何も覚えていない。船の子どもたちは皆記憶がなく、時と共に思い出す。一向に記憶が戻らない「ぼく」は最終手段に出る……。
　海外児童文学風のファンタジーです。全18ページ。

〈小説〉帰る場所（水森千也）
　異常なほどの暑さの夏の日に水死体が発見された。かつての後輩竹本に、遺体の身元が分からないと聞いた木場。その夜、パトロールに出ると海辺に人影が……。
　町の交番のお話です。ほんの少しホラー要素あり。全9ページ。

〈対談〉水と死ぬこと（53の3×守宮泉）
　水のイメージ、または死ぬことについてを適当に話した記録です。対談ほど整理はされていませんが、考え方が違うのでなかなかおもしろい（？）ことになっています。「氷卵」創刊のきっかけとなるエピソード、作品数の多さの秘密などが含まれているため、最後に読むことをおすすめします。

　性癖の詰まった一冊になっています。濃いです。

　現在在庫は10冊以上あります。

【お知らせ】
　Vol.2の発行は11月の文学フリマ東京を予定しています。テーマは「都市伝説」（仮）。公募枠を設けるつもりですので、6月末の続報をお待ちください。