【絵本原作】ぎゅうにゅうまく
ぼくは 牛乳が 大好きだ
冷たい牛乳も いいけれど、
冬に飲む あたたかい牛乳は、
本当にさいこう!
心もからだも あたたまる。
でも、
『ぎゅうにゅうまく』は
ちょっと苦手。
もちろん残さないで
ぜんぶ飲むよ。
だって お母さんが
「もったいないから、ぜんぶ飲みなさい」って言うんだもの。
それに……
『アイツ』がじーっと見ているから。
最初は おばけ? って思ったよ。
だけど アイツはこうやって 昼間も顔を出してくる。
ぼくが 牛乳を飲んでいる ときだけに。
ある日、ぼくは 気がついた。
あの 白い シワシワのからだは、
よく 見ると 『ぎゅうにゅうまく』!
アイツは きっと ぎゅうにゅうまく の ようせいだ。
アイツは何もしないよ。
牛乳を のんでいる ぼくを
ただただ じーーーーーーっと見ているだけ。
まったく……なんなんだよ。
ぼくが ぎゅうにゅうまく を のこすのが 心配なのかい?
そういえば
きみは、あまり 人気が ないもんね。
ぼくの ともだちも
「ぎゅうにゅうまく は 好きじゃない」
…って言ってたし。
あーあー
そんな顔しないでよ。
はいはい
わかった、わかった。
ぼくは そろそろ 出かける時間だし、
ここから 一気に のみほすよ。
ヘンな奴……
行ってきまーす。
12月の青空には ぎゅうにゅう のような 白い雲が、
ぷかぷかぷかぷか うかんでいた。
おーい! ぎゅうにゅうまく
きみの 名前を さかさまにして
『ぎゅうにゅう くま』だったら、
しろくまみたいで 人気が 出たかな?
それとも 『ま』と『く』のあいだに
『す』のもじを 入れて、
『ぎゅうにゅうマスク』なんて どうだろう?
うん、冬だから、きっとやくに立つぞ。
ぼくもヘンなの。さっきからずっと、アイツのことばかり考えているよ。
次の日
ぼくは また ぎゅうにゅう を あたためて もらった。
今日は めずらしく まくが できて いない。
「お母さーん! もう少し あたためてぇ!」
《おわり》
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