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マンゲキ芸人座談会〜ネイビーズアフロ×コウテイ〜後編
『月刊芸人KANSAI』の2020年賞レース振り返り座談会、第2弾は、7月に『第41回ABCお笑いグランプリ』で優勝したコウテイと、10月に『第50回NHK上方漫才コンテスト』で優勝したネイビーズアフロが登場。
取材は、ダブルアート・真べぇがプロデュースする大阪・千日前の居酒屋「こっちこっち~」で行われ、写真撮影はポートワシントン・笠谷が担当。1つ1つの発言に四者四様の個性が際立つクロストークとなった。(後編)
―では、ちょっと質問を変えまして、この2組で座談会というのは、過去にもありましたか?
皆川:座談はないですね。でも結構、仲のいい2組だと思います。僕、ほんまに九条と2人で遊んでましたし……。銭湯に行って……。
はじり:そのエピソードしかない!?
下田:ずーっとね、ずーっと1個をこすってる。
皆川:いろいろあるよ! いろいろ行きましたもんね? 自転車で大正まで行ったりしましたね。
九条:あ、行きました! うわ、懐かしい! 覚えてますわ。あと、祇園花月の本公演で手に入れたというでっかいパネル、家のテレビよりでかいんですけど、それを部屋に飾ってて。「これ見てくれ~」て言って、それ見ながら酒飲んで、「すごない?」ってずーっと僕に言ってました。
はじり:あったな。チケットみたいなやつな。
下田:めちゃくちゃでかい。
九条:畳一畳くらいの。
皆川:いや、ほんまに言ってくれるんですよ、九条は。「頑張ろうと思ったのは皆川さんを見たからです」って、めっちゃよく言ってくれるんですよ。それこそ「皆川さんの姿を見て、月3回、単独やってます」とかも言ってくれるので……。そういう後輩が何人かいるんですよ。
はじり:誰?
皆川:えっとね、こいつと、天才ピアニストの竹内とかですね。
九条:……2ぃ!
下田:2やで。
皆川:でも、今後、九条の姿、竹内の姿を見た後輩が頑張ろうと思ってくれて、それが脈々と受け継いで行けたらいいなと思ってます。
下田:皆川さんも誰かから受け継いだんですか、それは。
皆川:そんなことないかな、俺は。
九条:おお、すごい。カッコイイ。
皆川:ただ、いろんな人のいいところを盗んだって感じです、僕は。
――では、皆川さんからご覧になったお三方のいいところはどこですか?
皆川:そうですね、九条に関してはストイックやし、まっすぐやし、芯がありますよね。それは僕にはできないことなので……。それはすごいことやなと思います。自分が正しいと思ったら、他の人に何を言われようが、「いや、僕はこれなんで」って言える人やと思うんですよ。それはほんと、すごいところやと思います。
下田:諸刃やけどね、それは。本当に。相方から言うけど、諸刃や。
皆川:まあまあまあ。こないだの大阪都構想の住民投票でもわかるように、意見って別れるものなので。下田のいいところは、嫌いやとか、腹立つとかなんや言うても、やっぱり信じてると思うんで。
相方のことを信頼して、自分のするべきことも一生懸命している。小道具を作ったりとか。それは九条に出来ないことだと思うので。九条がネタを考えて、まっすぐにいろいろやってくれている分、九条の不得手の部分を補おうと。
コウテイの縁の下の力持ちじゃないですけど、そういうところで活躍していると思いますね。
九条:はじりさんは?
皆川:僕たちは基本的には2人でネタを考えているんですけど、はじりは僕が思いつかないボケを急にポンって。あ、そんな発想ある!? っていうのをよく出してくれるし、瞬発力がすごいんですよ、舞台上で。漫画とか、映画とか、いっぱい見て育ってきた人なので。僕はあんまり興味なかったので、そっからの発想力はすごいなと思いますね。
九条:真べぇさんは?
皆川:真べぇさんは、不景気の昨今、飲食店が1年以上続くっていうのは非常に難しいと思うんですけど……。
ダブルアート・真べぇ(以下、真べぇ):お笑いのことを言うてくれよ。
皆川:真べぇさんは僕、よしもと漫才劇場(以下、マンゲキ)で一番ツッコミが上手いと思います。ツッコミがきれい。間の取り方、声のトーン、一番ツッコミに向いている人やなと思います。
真べぇ:マンゲキのアンケートあったやん? 「ツッコミナンバー1」。あのナンバー1、誰って書いたん?
皆川:(令和喜多みな実)河野さんです。
真べぇ:むちゃくちゃやん!
――では、はじりさん、九条さん、下田さんから皆川さんのいいところを教えてください。
九条:そうですね、頑張ってます。すっごい頑張ってます。頑張りすぎている。
はじり:あとね、頑張ってますよね。
皆川:ありがと、ありがと。いろんな声が聞きたい。他、何かある?
下田:僕、ない……っすね。
皆川:え? 頑張っては……
下田:ないですね。「頑張っている風」なだけで。
皆川:あ、そこの基準も超えてないか。
下田:いや、でもほんまに(ネイビーズアフロは)劇場で一番ネタ合わせしていると思いますよ。冗談抜きで、芸歴10年の中でネタ合わせはダントツしてると思います。
――劇場に行ったらいつもいらっしゃる。
下田:ずっといてますね。ずっとネタ合わせしてる。その姿勢はすごいと思います。
――触発されますか。
下田:されますね、やっぱ。ネイビーズさんであんだけやってるんやから。あんだけやってもNHK1個……。言い方は悪いですけど、あれだけやってもNHK1個……。
九条:悪いなぁ。
下田:なのでほんま、もっとやらなあかんっていう道標になりますよね。
皆川:でもこれね、僕らもコウテイを見て全く同じこと思ってるんですよ。こんなに頑張っていても『M-1』も今年は決勝に行けへんかった。
下田:無理。
皆川:あんなにやってたのにって。だから、それを見た僕たちがやる、それを見たコウテイがまたやる。ほんまに、切磋タクマーですね。
下田:ん?
はじり:切磋琢磨している人を「タクマー」とは言わへんから。
――そんな中で、コンビ間の気持ちが、お互いが同じ力で向き合っている時と、そうじゃない時があるのではと思うのですが、そういう時はどういう風にお互いのバランスを取り合うんですか?
はじり:それは補ってくれているんかな、僕の感覚的には。
――はじりさんのことを皆川さんが補ってくれている。
はじり:はい。僕がちょっとしんどいなって思っている時は、こっちが補ってくれていると、僕個人は思っていますね。
皆川:やっぱり人間なので、そもそも「これくらいやればいいか」の基準が全然違うので。「コンビやから一緒や、費やす時間は五分五分じゃないといかんやろう」って8年目ぐらいまでは思っていたんですけど、去年、今年はそうじゃないなと。
そうじゃないからこそ面白くなるんやろなって気づいて。今年はある程度にして、その分、僕がやれるところをやって、僕ができへんところをやってもらうという感覚に変えましたね。
コンビを組んだ頃は「いや、仕事やねんから半々、同じ労力でやらなあかんやろう」って思ってたんですよね。
で……、ん?
皆川:(目をこするそぶりをしながら)何かしてた?
九条:古っ(笑)。目をこする人、久しぶりに見た(笑)。
皆川:(笑)、で、今は高校生の時の関係性にちょっと戻った気がしますね。2人が一緒にやっていくには出会った時の人間性が一番、良好な関係だと思うんです。完全には戻れてないですけど、そこに戻りつつあります。
――コウテイのお二人はどうですか?
下田:そうですね……九条は結局、走るので、僕がそれについていってる感じですね……。……しんどいっす。
――速度が速い。
下田:速いっすよ……、速い。
皆川:背中が見えない。
下田:背中が見えない。しんどすぎ(笑)、マジで。壊れてしまう。下ちゃん、壊れちゃう。
――コンビを結成して、いつその速さに気付いたんですか?
下田:いや~、2年目とかですかね。最初、僕がネタを書いてたんですけど、途中からターっと九条がネタを書くようになって、「こいつ速いな~」ってなって、しんどなってきました。
――九条さんは気が付いたら速くなっているんですか?
九条:動物で言っていいですか?
――はい。
九条:ぎんぎつね。
下田:……しんどいでしょう?
皆川:速いな、確かに。
下田:これ、どうやってつっこみます? 普通につっこんだらおもろないでしょ? 「いや、ぎんぎつねて! チーターとかやろ!」って言っておもろいですか? 何個先のボケをやってるか、もうわからんのですよ。壊れちゃう、ほんとに。下ちゃん壊れちゃう。
――では最後に、2021年の目標を一言ずつ、お願いします。
九条:僕からでいいですか? 数字。数字でいいですか。「61」。
下田・皆川・はじり:ふぅ~……(ため息)。
はじり:……下ちゃん。
下田:え~、34。
はじり:6.3。
九条:あった、あった、小数点はあった。わかる、わかる。
皆川:6兆!
一同:……。
ポートワシントン・笠谷:カシャカシャカシャ……
皆川:6兆の何をそんなに撮るところがあんねん!
九条:音おもろ!
皆川:ちゃんと言いますね。ペースを落とさず、ほんまに『M-1』優勝です。もう今から賭けてます!
――コウテイのお2人は何かありますか? 数字でいいですか?
下田:僕はもう、ええかな……。しんどぃ。
皆川:ええの?
下田:じゃあじゃあ、壊れないように、自分のペースでやっていきたいと思います。
はじり:そうやね、体調管理もしつつ。
下田:体調管理もしつつ。はい。
皆川:マジのやつ、いいの?
はじり:大丈夫です、大丈夫です、はい。
皆川:好きなアニメの話とかせんでいい? 『至急豚肉加工品太郎』の話とかせんでええの?
はじり:いや、『とっとこハム太郎』や!
九条:なんて言いました?
皆川:『至急豚肉加工品太郎』。
九条:至急……? あ、「とっとこ」を至急?
皆川:はい。で、豚肉加工品でハム。で、太郎。『至急豚肉加工品太郎』。
九条:あ~……。
下田:わかっても面白くはない。
皆川:もうちょい早くわかればな。時間経ってるからおもんない。もうちょいはよわかればおもろい。
■ネイビーズアフロ プロフィール
2011年結成。皆川(左)、はじり(右)。NSC大阪校33期生。
皆川:ミスチル、コブクロの曲は全曲歌詞なしで歌える。
はじり:暗記とゲームが得意。
■コウテイ プロフィール
2013年結成。NSC大阪校35期生。下田真生(左)、九条ジョー(右)。
揃いの赤いマオカラースーツの衣装が特徴的。
下田:ギャンブル狂で卓球と将棋が得意。
九条:アメブロでは短編小説などを執筆している。
■取材協力
「こっちこっち~」
住所:大阪府大阪市中央区千日前2-4-12 2F
ネイビーズアフロINFO
コウテイINFO
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ライター/岩本和子
撮影/ポートワシントン・笠谷
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