トイレの芳香剤愛を語る〜ねこ屋敷山崎愛子・前編〜
「悪臭を撃退」「ニオイのもとを消臭！」などといった惹句で売り出されているトイレの芳香剤。置き型、壁掛け型、スプレー型などその形状も様々で、そこにはトイレを快適に過ごしたいという人類の思いと英知が詰まっている。そんなトイレの芳香剤をこよなく愛しているのが、ねこ屋敷の山崎愛子だ。山崎はトイレの芳香剤をリビングに常備し、枕元にも置き、出かける際もカバンに忍ばせる。そして隙あらばさっと嗅ぐ。前編では、そんな彼女がトイレの芳香剤と共に送るライフスタイルを聞きました。
今、使っているのは「スクラビングバブル」（ジョンソン株式会社）のトイレスタンプなんですけど、スタンプのつけかえを買ってきて、本体に設置せずそのまま使っています。これが家に何本もあります。普段も持ち歩いていて。スタンプのつけかえ用は蓋がついているのでめっちゃ便利なんです。
家ではリビングのテーブルの上に置いています。すぐ手が伸びるところにカゴがあって、その中に全部入れているんですけど、結局ほとんど取り出して机の上に置いてますね。在庫もあります。
色によって匂いが違うんですけど、常時使用しているものが6本と、まだ開封していないものが7本あります。形が小さいものもあるんですよ。これもスタンプで、くまさんの形。ポーチとかに入るサイズで便利ですね。あとは寝室のベッドの脇とか。置き型のタイプはトイレにちゃんと置いてます。
ーー購入先は主に量販店。行きつけの店で定期的に棚をチェックし、サンプルを嗅ぎ、新製品は必ず買う。香りの種類はラベンダー、ライム系、フローラル系と様々で、その時々にハマっている匂いや、新商品をメインに嗅ぐという。そして「たまにスタンプの色と服の色を合わせたりする」とおしゃれも楽しんでいる。
スタンプも最初はトイレ用に買ったんですけど、トイレで匂うたびに「これはめちゃくちゃいいな」と思うようになって、つけかえ用を買いに行きました。その前はろ紙に液体をつけるタイプを使っていて、ろ紙に鼻を近づけて嗅いでましたね。芳香剤との距離がだんだん近くなって、直でいかないと満足できない体になってしまいました。
嗅ぐ時は、香りの違う2本を交互に嗅いでいます。同時に両方を嗅ぐということも興味本位でやることはあるんですけど、基本は1本のみ。同じ匂いばっかりかいでいると鼻が匂いになれちゃうので、1回リセットするために違う香りを嗅ぐという、ちゃんぽんと言うか、そんな感じでやってます。
ーー常に持ち歩いているトイレの芳香剤は、よしもと漫才劇場の楽屋にも持ち込むこともある。以前は『M-1グランプリ』の予選の現場に持参したこともあった。そして、その時のことが、置き型からスタンプ型へとスタイルを変えるきっかけになった。
昔、ろ紙の置き型タイプを持ち歩いていて、『M-1グランプリ』の予選の時に楽屋でどうしても嗅ぎたくなって、こっそり匂ったんです。そしたら周りの芸人さんが「なんか匂いがする」って言い始めて。これはよくないなと思って、それでスタンプのつけかえ用にしました。
よしもと漫才劇場の楽屋でも、ネタを書いている時とかテーブルに置いているので、最初の頃は「それ何？」ってめっちゃ聞かれました（笑）。
「トイレ掃除用のスタンプです」って言ったら、皆さんちょっと引いてましたね。でも、なかには「ちょっと嗅がせて」って共感してくれる方もいらっしゃいます。
ドーナツ・ピーナツのピーナツさんはたまに「スタンプ貸して」って言ってきます。あとは、放課後ボーイズのガーヤマ（ちゃん）さんとか。見取り図のリリーさんには、匂ってるところを1回見られて、「おまえ、頭おかしいな」みたいなことを言われました。
相方（河野菜摘）にも、最初はキモがられたんですけど、もう慣れたみたいで。なんだったらたまに「匂わせて」「貸して」って言ってきます。
「この匂いええなぁ」とか言って、今は受け入れてくれていますね。
ーー肌身離さず持ち歩いているが、ある日、持参し忘れたことがあった。その日、訪れた居酒屋のトイレで壁に設置するタイプの芳香剤を見つけた。匂いに飢えていた山崎はすかさず、嗅いだ。
あの時の匂いが忘れらなくて……。キンモクセイの香りだったんですけど、調べたら業務用のもので、個人では手に入れられなかったんです。それもあって、キンモクセイの季節になって、花の匂いを嗅いだら、あの日の居酒屋のことを思い出します。あれから同じ匂いの芳香剤を置いている居酒屋に遭遇したこともないですし、どのお店だったかも覚えていなくて……。いつかまた嗅いでみたいです。
だいぶ執着しちゃっているので……。
1回辞めようと思ったこともあったんですけど、捨てられなくて。家に帰ったらあるのでやっぱり駄目でしたね。無理でした。私もこんなに長く続くとは思ってなかったんですが、中毒性がありますね…（笑）。
to be continued
後編では、山崎はなぜトイレの芳香剤にはまったか。その理由を探っていきます。
■ねこ屋敷 プロフィール
河野菜摘と山崎愛子のコンビ。
2017年8月30日結成。NSC40期。
河野の特技はギター、山崎の特技は似顔絵、イラスト、小道具作り。
2021年1月今田耕司オススメ芸人として『さんまのまんま』に登場。
ねこ屋敷INFO
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取材・構成／岩本和子
写真／月刊芸人編集部
写真提供／ねこ屋敷・山崎愛子
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