オリックス愛を語る〜滝音秋定・前編〜

昨年はコロナ禍で半ばあってないような、いや、確かにあったけれどモヤモヤが残った日本プロ野球。だからこそ今年のプロ野球は一味も二味も違った楽しみ方ができるはず。すでに滝音・秋定は自分なり楽しみ方で大好きな球団を応援している。去年以上に。というわけで、秋定、オリックス・バファローズへの愛を語ります。

元々、オリックス・ブルーウェーブ時代からのファンなんです。
なんでファンになったかと言えば、グリーンスタジアム神戸（現・ほっともっとフィールド神戸）が本拠地だったこともあって、地元の小学校とかに時折、無料観戦チケットが配られるんですね。
それでよく見に行くうちに自然とファンになっていくという（笑）。

それに僕が小学校の時はむちゃくちゃ強かったんです。
仰木監督、イチロー時代ですね。だから普通に当時はオリックスファンてたくさんいたんですよ。子どもからしたらそら強いし、盛り上がってたらファンになりますよね。でも、イチローが大リーグに行ったり、チームも色々あったりで、同級生たちは離れていくんですけど、僕はずっとブレずに今も応援してます。

なんかパチンコとかでずっとハズれていると、いつか当たるんじゃないかと思うじゃないですか、なんかあの感じですね（笑）。
あと、神戸っ子として応援せざる得ないんですよ。

正直、弱すぎて見てない時もありました。ダイエーと勝負して29対1とかっていう信じられへん試合もありました。けど、結局、来年こそはという一縷の望みを託して応援し続けている自分がいます……。でも、すっかり負け慣れしてきているので、負けの中でもシングルヒットきた！　いいスイングした！と、価値や美学を見出したり、掬ったりして喜んでます。ちょっと麻痺してるところもありますが（笑）。

よく「阪神タイガースも一緒やで」とか言われたりするんですけど、ちょっと違うとおもいます。阪神ファンはどっか心に余裕があるんです。彼らはハッピ着て甲子園行くでしょ、そして勝っても負けてもそのままの姿で、甲子園から阪神電車やJRに乗って帰る。

オリックスファンは球場までは私服、そして現場でハッピやユニフォームを着る。そして球場出たら、全員脱ぐんですよ！　オリックスファンということをバレたくないというか、沿線に潜む阪神ファンに見つかりたくないというか……例えるならユニバーサル・スタジオ・ジャパンやディズニーランドでおっさんたちがマリオの帽子かぶったり、ミッキーのカチューシャしてるけど、テーマパーク出たらハズす感じに近いかも（笑）。

まぁだから見かけないですよ。着たまま歩いてはる人を見たら、脱ぎ忘れてますよって声かけたくなりますもん（笑）。
オリックスのグッズも色々あるんですけど、阪神は主張強めの、ファンですよ！ってわかるような物が売れ線やと思うんですけど、オリックスのはロゴが小さい、あんま見えへんやつが売れるんです（笑）。そういうとこも好きですね。慎ましさが出てると言うか……。

あくまでも個人的な意見で全てがそうではないのをご理解いただきたい。とはいえ、オリックスに対して自虐的になればなるほど、余計にオリックスへの愛が深まっているのがわかる秋定の語り。それはさらに深くなる。

オリックス、応援歌がかっこいいんですよ。初心者は覚えにくいかもなんですけど。僕の好きな、安達了一選手のコールがいいんすよね。

♪猛（たけ）れ雄々（おお）しく行けぇ 本能の侭（まま）に 気魄（きはく）出してぇここで今見せろ！　力振り絞れぇ我武者羅（がむしゃら）に喰らいつけぇ上州男が張っ飛ばすっ！　了一！　 了一！　 張っ飛ばせー！って。

ただ、正直、いまだにちゃんと覚えてなくて、雰囲気だけで内野席で応援バットを叩いてますけど（笑）。

オリックスがしっかりしてるのは、阪神は人気が安定してるので、そんなに特別なサービスをしなくても人が集まるんですよ。でも、オリックスは普通にやっても人が来ないっていう意識があるのか、めちゃくちゃサービスしてくれるんです。まず、イニング間でのイベントショーが充実してますし、屋台も結構珍しいやつが出店してたり。そして入場者プレゼントもむちゃくちゃいいんですよ。ユニフォームをタダでくれたり……ユニフォーム付きチケットなんて2,000円～3,000円くらいで購入できたり。そんなんユニフォーム代に消えてるやんって思うんですけど、オリックスのこういうサービスが凄いとこなんですよね。

そういえば昔、ほっともっとフォールド神戸に行ったら『真・女神転生』ってゲームソフト配ってましたし、農家の人とタイアップしてジャガイモ配ってたりもしてましたねぇ。とにかく物で釣ると言うか（笑）。裏を返せばファンになって欲しいっていう熱意とがむしゃらさが溢れているってことなんですけど。まぁ、あとは球団が強くさえなればファンがもっともっと増えるのに～って思います。

さらに秋定は、オリックス沼のズブズブさゆえの苦しさも語る……。

僕は、さっきも言いましたが安達了一選手が好きなんです。
一度、たむらけんじさんにコロナ禍前、飲み会へ誘っていただいたことがあって、その時にオフシーズン中のオリックス選手も参加してはったんです。長テーブルの真ん中にたむらさんが座って、会話を回してはったんですけど、途中で僕が安達選手のファンやからと、彼も含む選手たちの真ん前に座らされたんですよ（笑）。けど、選手たちからしたら、僕のことを知らないし、僕自身も好きな選手を前にして、好きが溢れすぎて緊張しまくりで、会話にならず30分くらい、ただただ顔真っ赤にしてメシ食ってました（笑）。

オープン戦が始まりましたけど、やっぱり勝つと毎日が楽しいですね。
僕のメンタルにも関係してきます。大きな影響はないですけど、1日のモチベーションは確実に違ってきます。もちろん負けた時はちょっと落ち込みますけど、負けの中の美学を見つけて楽しむようにしてます。

とりあえず早く、京セラドームに行って応援したいですね。よく、オリックスの仕事があったらいいんちゃう？って言われたりするんですけど、仕事の依頼はそりゃ嬉しいです。でも、好きすぎるファンなんで、正直、近づきたくないんです。

以前、一度オリックスの仕事をしましたけど、これまで生きてきた中でベスト3に入るくらい緊張しました（笑）。
だって、選手はもちろんですけど、まずファンに嫌われたくないんです。自分も応援団の一人と思ってますから。とはいえ、いつか始球式はしたいですね。その時はきっと『M-1グランプリ』の決勝より緊張すると思いますが、その“いつか”の始球式のために、お笑いを頑張りたいです。

後編、さらに秋定はオリックスへの深すぎる愛を語る。次回配信までにオリックス・バファローズは勝ちまくっているのか？　それとも……。

■滝音プロフィール
さすけ（左）と秋定遼太郎（右）のコンビ。NSC33期。
2020年　ABC「第41回ABCお笑いグランプリ」決勝進出
2020年　キングオブコント決勝進出

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ライター／仲谷暢之
撮影／月刊芸人編集部