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“芸人が憧れる芸人”囲碁将棋が語るそれぞれのターニングポイント(前編)

大宮セブンとしての活動や『アメトーーク!』(テレビ朝日)出演などで注目を集めている囲碁将棋文田大介根建太一)。

4月からCSテレ朝チャンネルにて、初の冠番組囲碁将棋の山はなんでも知っている(全6回/不定期放送)も決定するなど、勢いが止まりません!
東京吉本を代表する漫才師として、芸人仲間から慕われる“芸人が憧れる芸人”でもある彼らを、月刊芸人ラフアンドピースニュースマガジン(以下、ラフマガ)』のYouTubeチャンネル『ラフマガチャンネル』による連動企画にて大特集することになりました!

『月刊芸人』では、囲碁将棋のインタビューを掲載。
芸人になるいきさつからそれぞれの思うターニングポイント、後輩たちを“真似したくても絶対にできない”と唸らせる独特な漫才のネタ作りなどついて、前後編にてお届けします!

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前説の仕方がわからなくてフリートークした

――4月でコンビ結成18年目に突入するお2人ですが、まず芸人になったいきさつを教えてください。

文田:誰でも有名人になりたい欲求ってありますよね。僕にもあって、めちゃくちゃケンカが強かったら格闘家でもよかったし、めちゃくちゃ歌がうまかったら歌手でもよかったんですけど、特にそういう特技がなかったので芸人に。芸人っていちばん敷居が低いじゃないですか。NSCに入って卒業すれば、誰でも吉本には入れますからね。

根建:誰でもなれるっていう意味ではそうだな。僕は正直、芸人になるとかは考えてなくて。文田に誘われてなりました。



――文田さんはなぜ根建さんを誘ったんですか?

根建:ほんとだ。なんで?

文田:仲よかったからっていうだけですね。こいつが面白いとか、こいつだったら売れるとかではないです。誰とやってもいけるだろうなというイメージがあったし、自分に自信を持ってました。

根建:自分に自信があるって素敵だね。僕は日本でいちばん自分を持ってない人だと思うんですよ。親に行けって言われたから、私立の中学校に行きましたし。

文田:僕は東海大学の附属に高校から入ったんですけど、こいつは中学からいた本当の東海ボーイで。

根建:いや、東海ボーイなんて言わねぇって。

文田:途中から入った僕と違って、生粋の東海ボーイなんですよね。

根建:競走馬じゃねぇんだよ(笑)。大学も行けって言われたから行きましたし。僕は誰かが敷いてくれた道を延々と歩いてるだけなんで、文田からお笑いやろうって言われたからやっただけです。今まで自分で決めて何かやったことは、1回もないんですよね。

文田:『ウォーキング・デッド』みたいなものかもしれないよね。生きながら死んでる人。歩く死体。

根建:うん。もうすでに余生なのかもしんないっす。

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――(笑)。高校卒業してすぐNSCへ入らなかったのは?

文田:高校卒業してすぐに入るとなると、親の承諾が必要になるじゃないですか。それが嫌で、20歳超えてしれっと始めようと思ったので、大学へ行ったんです。4年生になって授業がちょっと減って暇になったタイミングで、ナベプロのオーディションに行ってみたんですけど受からなくて。人前でやったことがないのに、いきなり事務所のオーディションに行ってもさすがに受からないってことがわかったので、お金を払えば出られるインディーズのライブにちょっとだけ出るようになりました。その頃、野田くんに出会ったんですよ。

根建:10代だった野田クリスタル(マヂカルラブリー)ね。

文田:そうそう。ゴリゴリにトガってた野田くん。あの頃に出会っていることもあってか、今だに仲がいいんですね。僕らは当時、吉本の養成所に入る選択肢はまったくなくて、オーディションでどこかに入ろうと思ってたんです。けど、実績が欲しかったんで、根建に大学卒業したらNSC行こうって誘いました。

根建:誘われたんで、僕はオッケーですって言って。
文田 600人くらいの同期と競争して選抜クラスに入れなかったら辞めようっていう気持ちでやってたんですけど、割と最初から調子よかった。(入学前に)ちょっとだけ助走がついてたというか、お客さんの前に立ってたのがよかったんでしょうね。


――NSC東京9期生はハリセンボン、ライス、しずる、サルゴリラなど独創的な発想や表現力を持った個性派が多いですよね。また、1期下にオリエンタルラジオがいて。当時、ヨシモト∞ホールから毎日生放送していたCS番組の前説を、9期生が担当していたのを覚えています。

文田:NSCって大事なことを教えてくれないんですよ。前説なんて観たこともなかったから、何やっていいかわからなくて。

根建:今だったら拍手するとか声出しするとかわかってますけど、本当に知らなさすぎたよね。

文田:15分くらいあったんですけど、毎回、2人でトーク番組みたいな感じで喋っちゃってて。横浜の人はみんなビブレで買い物をするんですけど、年明けの前説で横浜のビブレで買った福袋の中身を出して、ドラフトみたいに一巡ずつ好きなものを取っていくっていうのをやったりしてました。

根建:(洋服のサイズが)LLで同じなので、福袋1つ買ってね。

文田:それをやってる時、客席の上のほうで社員さんが僕らのことを指してるのが見えて。俺ら、めちゃめちゃハマってるんじゃない? 売れるんじゃない?って思ってたら卒業だって言われて。ほかの曜日の前説を観に行ったら、みんな声出しとかしてたんですよ。NSCで教えるべきだよね? 前説のやり方。

根建:まぁね。けど、当時はニュースタークリエーションだから、一気にスターになる人に前説の練習はいらねぇのかなっていうことで落ち着きました。

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“住みます”芸人になったことで趣味から仕事に変わっていった

――これまでの17年間を振り返って、それぞれが思うターニングポイントは?

文田:僕は、2011年に神奈川県“住みます”芸人になったことですかね。神奈川に住んでたんですけど、“住みます”芸人になったら東京に家を借りてもらえると思ってたんで、東京都“住みます”芸人になりたいって言いに行ったんです。そうしたら、「(住むところは)自分でお金出すんだよ」って言われて。

根建:思ってたのと違ったよな?

文田:うん。で、神奈川県“住みます”芸人をやればって言われて。最初は断ろうと思ってたんですけど、せっかくだからって引き受けたんです。結果、やってよかったですね。“住みます”芸人には各都道府県にエリア社員さんがいて、僕らには若松くんっていう今、川崎フロンターレで働いている新卒の子が付いてくれたんです。それまでは営業とかに呼ばれて5分とか10分のネタをやっても、あんまりウケなくて。若手の劇場で若いお客さんを前にやっていたし、ウケないと“あぁ、こういう普通の人たちにわからないことをやってるんだ”っていいことに思っちゃってたところがあったんでしょうね。けど、“住みます”芸人になって、大学卒業したばかりの22歳の子が自分たちのためだけに仕事を取ってきてくれた現場でスベるとキツいんですよ。

根建:あれ、マジでキツかった(笑)。

文田:そこから寄席っぽいネタもやるようになって、2~3年かけて段々ウケる回数が増えてきた。趣味でお笑いやってたところから仕事に変わっていったのがこの時期で、お笑いが好きな人たちだけを笑わせてたところから、初めて観る人にもわかるところまで探れるようになりました。ちょうど『THE MANZAI』で2回決勝に行って、仕事が増え始めたタイミングでもあって。それまではウケを狙い過ぎてたところもあったもんね?

根建:いいんだけどな? ウケを狙っても。けど、突飛だったっていうか。

文田:プロの芸人を名乗ってるのに、なんで誰もが知ってるようなことをやらないといけないの?みたいな気持ちもあったんです。けど、誰でも知ってる見たことがある流れで笑わせられるのがプロの技術なんだとわかって、取り入れていったというか。まぁ、その辺は悩みましたけどね。お客さんに寄せすぎると自分たちの良さが薄れていくだろうし、賞レースに残るためにどうするのかみたいな気持ちもあったので、ちょうどいいところを探る感じもありました。コンビ間でネタの話をよくしてたのも、この時期だと思います。……あの時、あんなふうに考えなかったらもっと面白いことしていたかもしれないし、20年近く売れなくて突飛なことをやってるイタい人になってたかもしれないなって。イタいのが悪いっていうわけじゃないんですけど、(自分たちの考えを)変えてなかったら稼ぎはなかっただろうし、結婚もできなかったんだろうなとは思いますね。

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――根建さんはいかがですか?

文田:ターニングポイントのタイミング、僕と違うと思いますよ。

根建:まだ来てないような気がしてるんですよ、ターニングポイントって。マジで。

文田:いや、あったよ。チャンスも絶対にあったはずだし。

根建:そうだよなぁ。チャンスをつかんだことってあったのかな?




――『THE MANZAI』決勝に2回出られたことは、チャンスではないんですか?

文田:あれは会心の一撃でしたよね。ただ、思ったより何も変わらなかった。ずーっと薄~く思ってることってあるじゃないですか。シアターDからルミネ(theよしもと)に出られたら何かが変わるかな?……出ても変わらない。若手のランキングシステムから、上のリーグに入れたら変わるのかな?

根建:変わるべ。

文田:変わらない。賞レースは変わるよな、さすがに。

根建:変わるべ!

文田:決勝に行ったら変わるよな?

根建:変わるべ! 変わるべ!

文田:あぁ、変わらないって。

根建:だから、ターニングポイントはまだ来てないんじゃないかなって。『爆笑オンエアバトル』(NHK)とかも、初めてオンエアされたら人生が劇的に変わるんじゃないかって勝手に思っちゃってたけど。

文田:あぁ、思った。『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)とかもそうだよね。……俺ら、なんにもしてないようだけど、ネタ番組はひととおりちょっとずつ出てるもんな。

根建:そうそう。『あらびき団』(TBS)も出たし、『エンタの神様』(日本テレビ)も出たし。けど、変わらなかったんですよね。

文田:はしゃいだのは、『THE MANZAI』の初めて決勝に行けたってわかった1週間だけだったんじゃないですかね。

根建:あと、決勝の次の日。いろんな駅を歩いたもんな?

文田:新橋とか新宿とか一応歩いたんですけど、一切、声をかけられなかったですね。


●連動特集企画
ラフマガチャンネル 『まだ知らないの⁉囲碁将棋特集!』

囲碁将棋の2人を慕う後輩芸人や大宮セブンメンバー、2人の漫才を観て芸人を志した超若手漫才師、神奈川県“住みます”芸人である彼らを支えた元エリア社員などの証言から、囲碁将棋の魅力を掘り下げたインタビュー動画となっております!

出演者:囲碁将棋(文田大介、根建太一)
マヂカルラブリー(野田クリスタル、村上)、すゑひろがりず(南條庄助、三島達矢)、ダイタク(吉本大、吉本拓)、ニューヨーク(嶋佐和也、屋敷裕政)、オズワルド(畠中悠、伊藤俊介)、ナミダバシ(たくみ、太朗)、元神奈川県住みます芸人担当(若松慧さん)
/ナレーション:相席スタート・山添寛



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囲碁将棋
2004年結成。大宮セブンのメンバー。
文田大介(左)根建太一(右)の高校の同級生コンビ。



■撮影協力

Jリーグ 川崎フロンターレ


■囲碁将棋INFO

囲碁将棋の冠番組『囲碁将棋の山はなんでも知っている』が
CSテレ朝チャンネルで4月放送予定!
15分全6回で不定期放送
・番組内容:囲碁将棋が現代人の悩みに答えるトーク番組 

・事前特番『囲碁将棋の山はなんでも知っている[標高0m]』
3月31日(水)深夜3時20分 放送

初回一挙放送
4月28日(水)
夜8時~8時10分『囲碁将棋の山はなんでも知っている[標高0m]』
夜8時10分~9時40分 『囲碁将棋の山はなんでも知っている』全6話
CSテレ朝チャンネル1(ワン)で放送予定


大宮セブンツアー~スリーアイランズドリーム(三島の夢)~東京公演
日程:2021年4月11日(日)17:30開場 18:30開演
会場:銀座ブロッサム(中央会館)ホール(東京都)
出演者:大宮セブン(囲碁将棋、マヂカルラブリー、GAG、タモンズ、すゑひろがりず、ジェラードン)


大宮セブンツアー~スリーアイランズドリーム(三島の夢)~
日程:2021年5月14日(金)17:30開場 18:30開演
会場:なんばグランド花月(大阪府)
出演者:囲碁将棋、マヂカルラブリー、GAG、タモンズ、すゑひろがりず、ジェラードン


【囲碁将棋 Official YouTube Channel】



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ライター/高本亜紀 撮影/越川麻希



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