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〜The origin of Laugh〜 feat.タイムキーパー

笑いを追求する芸人の起源て何だろう。
ふとそんなことを思い立って聞いてみました。
今回はNSC41期生、芸歴2年目の、タイムキーパーによる笑いのオリジン。

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お笑いの元

安土 僕は末っ子でお兄ちゃんが2人いるんですけど、次男がお笑い好きなんですよ。その影響を受けて『ワンナイR&R』、『笑う犬の冒険』、『ガキの使いやあらへんで』とかを見るようになって、芸人さんってかっこいいなと憧れてました。

中学生の時に学園祭で『アリス・イン・ワンダーランド』をコントでやることになりまして、タイトルは『安土の国のアリス』やったかな(笑)。それがめっちゃウケたんですよ。あ、ウケるのってかっこいいなという快感を知りまして、高校生の時も学校の行事で漫才をやったりして、その都度ようウケたんですよ。そこで、自分は芸人になろうって決めました。

とはいえ、高校3年生になってみると、いざ現実と向き合った時に芸人で食べていけるってほんのひと握りやってわかってましたから一応、大学に進学してそこで相方を探しつつ、もしいい就職先が決まったらそっちに行こうと思ったんです。

そしたら相方も見つからず、いい就職先も見つからずで。それで両親や兄弟にも相談したら最初はえ〜ってなってたんですけど、結局、厳しい世界を経験しといてもいいんちゃうかってことでNSC(吉本総合芸能学院)に行きました。

多分一番上のお兄ちゃんが京大行って、しっかりしたとこ就職して、美人の奥さんもらって、孫もできて、真ん中のお兄ちゃんはほんまはカメラマンを目指してたんですけど、それを諦めて普通に仕事してますから、末っ子ぐらいは好きなことしてもいいんちゃうかって気持ちやったんちゃうかなと思うんですけど(笑)。ほんま自由なことさせていただいてありがたいです。

まつい 僕は小学校の5〜6年の時、『爆笑レッドシアター』、『爆笑レッドカーペット』、『エンタの神様』の3本しかネタ番組って見たことなかったんです。本当に好きな番組でしたね。ほかのバラエティ番組なんて全く興味なかったくらいでしたから。

小学6年生の時、学校でお笑いを披露することになって、『爆笑レッドシアター』でやってたコントをカバーしてやってみたら、まぁネタが面白いから当たり前ですけどウケたんですね。それがきっかけになって将来の夢は”お笑い芸人”になりました。

中学校や高校の時も、修学旅行でネタを披露したりして、みんなの前でやることを楽しんでいました。当時はジャングルポケットさんやロバートさんが好きでその影響でグループコントをやってましたね。

高校の時、進学をNSCにするか大学にするかって迷ってた時に親からは、最低限大学に行ったほうがいいと言われ、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)の映画学科の俳優コースに入りまして2年間演技の勉強してました。目的はお笑いの相方探し。でも自分が思う面白いヤツがいなかった。映画の勉強も同級生とは好きな作品が全く違ってなんか浮いてる感をずっと抱いてて。

そんな時、テレビでフースーヤさんのネタを見て「大好きな漫才や!」と雷に打たれたみたいになって、ここにいてもアカンわと中退を決意したんです。それで家族でご飯を食べに行った時に「相談がある」って自分の気持ちをぶつけたら、意外や反対もなくてええよって言われまして、それで大学を中退して翌年NSCに入学しました。


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NSC入った41期生として出会うまで

安土 NSCに入学して3日もしないうちに”相方探しの会”ってのが行われまして、その時「この見た目で、この声なんで、僕はツッコミしかしないです。面白い人来てください。」ってみんなの前で自己紹介したんですよ。

そしたら意外とボケをやりたい人が何人か来てくれまして、その中の1人に可愛らしい顔の、パーマかけたちっちゃい男がいたんですよ。自分がこんな感じなんで、顔が整ってるやつと組みたいなぁと思ってたんでいいなと。

で、そいつと一緒に飲みに行き、いろいろ話しているうちに組もうって決めたんです。

で、地元が近く、共通の知り合いがおったということでまついも立候補してくれてたんですが、コンビを組むのを決めた後、地元で飲みに行ったんです。その時に「俺、相方できたわ」って報告したんですね。そしたら「じゃあ俺、無理っすやぁん」って言うたんですよ。

その時の顔が可愛くて、愛嬌あるなぁって(笑)。それで考えたら家近いし、近いんやったらネタ合わせもたくさんできるやろうし、可愛いし、ファンもたくさんできそうやしと思ってまついの方を選びました。

まつい そんな感じで僕と組んだんや(笑)。僕も同じく”相方探しの会”に出た時に一発ギャグをしたんですよ「平仮名の“み”と平仮名の“き”を同時に言うて“ひ”に聞こえるようにします。“み”って言うたんですよね(きっと文字にしたら何も伝わらないと思いますが……本人談)。

それがその場でややウケでして。僕の中では100点やったんですけど(笑)。そんな勝手な自信の中、安土がさっき言うてた自己紹介を聞いて、これは相方として認めてくれるはず、絶対に声をかけようと。

でも、地元で飲んだ時に「相方できたわ」って言われた時、そんな入学して間もない時ですから「しゃあないなぁ、ほかの人を探すかぁ」って気持ちで言うたんですけどね(笑)。とはいえ、結果その時に発した言葉での表情が決め手になって選んでくれたのは嬉しいです。


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コンビを組んで

安土 組んだとはいえ、お互いまったくお笑いの力なんてわかってない時ですから、あくまでもお試しくらいなスタンスでした。NSCで組んでそのまま今もやるってコンビほとんどいないですからね。

それに相手がどんなお笑いを好きかもわかってない。だから2ヶ月くらいからズレが生じてきて、ぶつかり合い出して……。それでもなんだかんだと話し合って、興味のあること、好きなことをネタとして出し合って、足したり引いたりしていくうちに何となしに見えてきたというか。でもコントではなかったんですね、2人とも。漫才をやりたいって言う揺るぎない核があるからブレずにやれてるかなって思います。


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よしもと漫才劇場

安土 ときヲりぴーとと五臓六腑って同期におるんですけど、すでにめちゃめちゃファンがいたんですね。そのおこぼれで僕らがよしもと漫才劇場入った感じなんですが(笑)。

舞台に出ることができる入れ替え戦があって、1回戦の時にタイムキーパーってコンビ名やのに漫才の時間、タイムオーバーで落選したんです。その後の入れ替え戦で合格できたんですが、まだまだ僕ら未熟なんで、2ヶ月に1回、入替え戦というシステムは正直しんどいです。

でもまだまだネタは作っていかないといけないですから頑張りたいと思ってます。

まつい ちょうどコロナで劇場が閉館中に自分らが納得できるネタがブラッシュアップできたんで、それを劇場が復活して最初の入れ替え戦の時にかけたら出番に戻れ、ランキングの2位にもなって、賞レースにも残れるようになってきたので『M-1グランプリ』の敗者復活戦でも爪痕を残せたらと思ってます。

後、来年の大阪の『ytv漫才新人賞』、『NHK上方漫才コンテスト』、『ABCお笑いグランプリ』、『上方漫才大賞』という賞レースで優勝したいですね。

安土 僕はバイトをやめて、お笑いだけの仕事の給料で食べていきたいですね。

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思い出の店

「鳥貴族 枚方店」

安土 まついが「じゃあ俺、無理っすやぁん」って言うて、その顔を見てキュンとなってコンビを組むのを決めたお店がここです。

その時に、まついが終電を逃したんですよ。それが初めての2人の共通のエピソードってことで、コンビ名をタイムキーパーにしたんです。そう言えば、まついは最初“オーバー・ザ・タイム”にしようっと激推ししてたんですけど、ダサいと言うことで却下しました(笑)。

通う店

「コーヒーハウス ケニア」

まつい ランチが美味しくて好きなんですよ。特にハンバーグ系が。それを食べながら2人でネタ作りしてます。

基本ドリンク一杯で粘るんですが、なくなったらお冷やをお代わりでついでくれはるんですが、何度もお代わりするうちに、しまいにコップを大きくしてくれて。


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ネタ合わせ

「高速道路 第二京阪高架下」
まつい 枚方の茄子作のところにあるニコニコパチンコのすぐ近所なんですけど、高校の時からそこで練習していたので、相方にもここが練習場所としてはいいと教えました。

安土 行き止まりのある車道で、周りが畑やったので大声を出しても全然大丈夫。実家でしたから原チャリでここまで来て、とにかく納得いくまでやってました。誰よりもネタ合わせしてると思います。それはこの高架下があったから。

まつい 難波とかでみんながよく集まるとこでネタ合わせすると、結局みんなと話してしまうやないですか。僕らはあえて集中できるように、地元でやってました。


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“S”

まつい 実はNSCでの最後の時のライブから毎回足首に“S”の文字をマジックで書いてます。願掛けとかミサンガみたいな感じで。ヒップホップが好きなんでそのSOULの“S”です。

お弁当

まつい 節約のためにお母さんにお弁当を作ってもらってます。

安土 家からラップに包んだおにぎりを持たせてもらってきたりして分けてくれたりします。でもこの前、ホットケーキ焼いてもらってラップに包んできたのはびっくりしました(笑)。

タムキパチャン

安土 コロナ禍で仕事がなかった時に、自分たちのことを知ってもらおうとやり始めました。お互いの興味のあることとかをこれからも発信していけたらいいなぁと思ってます。

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■タイムキーパー プロフィール
NSC大阪41期生の安土範彦とまついあきらのコンビ。2019年結成。
2020年 M-1グランプリ準決勝進出。

タイムキーパーINFO

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ライター/仲谷暢之
撮影/矢橋恵一

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