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~The origin of Music~ feat. Runny Noize

音楽を追求する芸人さんの起源て何だろう。ふとそんなことを思い立って聞いてみました。今回はいつもの笑いの原点特別編。
2021年12月1日(水)に、4枚目にして初のフルアルバム『HAKKIYOI!!!!!(ハッキヨイ)』をリリースするラニーノーズのバンド、Runny Noizeの音楽の起源。

RunnyメインA写 (1)

音楽の原点

洲崎:高校2年の時、ゴイステ(ゴーイングステディ)に目覚め、ELLEGARDENにハマりました。それまではJ-POPばかりでケミストリーとか聴いてましたから彼らの音楽は衝撃でした。ELLEGARDENは英語の曲が魅力的で、最初は洋楽だと思って聴いてたんで日本人やったって知ったのも衝撃で。そしてCDに付いてた英詞と、その和訳を見比べながらさらにハマりましたね。正直、今もそこから音楽的ジャンル成長できてないかもしれないです。

山田:僕は中学くらいからお兄ちゃんの影響でブルーハーツを聴きだして、高校の頃から洋楽のパンクロックにハマりました。最初はSum41。そこを入口にポップパンクからメロディックハードコアでNOFX、日本人アーティストでハイスタ(ハイスタンダード)を知り、聴き倒してました。バンドをやりたいなと思ったのはやはりSum41ですね。

児玉:僕はBOOMと米米クラブでしたね。でもリアルではなく、米米クラブは解散してからだいぶ経ってからハマり、再結成した時には冷めてましたが(笑)。ドラマーとしてはSlipknotやマリリン・マンソンでしたね。

テツヤ:東京事変と聖飢魔IIでしたね。ベーシストとしては、東京事変で今回のプロデュースをしていただいた亀田誠治さんです。

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15曲入りフルアルバム『HAKKIYOI!!!!!』

洲崎:これ完成するの、無理ちゃうかなていう気持ちが、作りながらありましたけど、できあがった音源を聴いて、あぁやっとできたんや!という達成感は感じました。

テツヤ:
今作を作ろうという話から1年半伸びたしな。

洲崎:発売も7月の予定やったけど。12月になったし……とはいえ、プロデュースをしていただいた亀田誠治さんの力もしっかりお借りして納得いく作品に仕上がったと思います。だから早くみんなに聴いてもらうのが楽しみですね。

山田:全く一緒の意見です。

洲崎:ずるい、ずるい。

山田:(笑)。でも僕はちゃんと完成すると思ってましたよ。とはいえ、これまでのアルバム作りからすると、制作期間がいちばん長かったので、なんか完成してみると不思議な感覚ですね。まだリリース前なので皆さんのところには届いてないですし、まだ制作の延長線上にいるというか。多分、12月28日に行うワンライブでやっと達成感を感じるんじゃないでしょうかね。

テツヤ:今作はぶっちぎりで音がいいですね。パワフルでいい音になりましたね。マスタリングという工程があるんです。それがこれまであまり理解していなかったんですけど、今回時間もあったのでしっかり勉強して、マスタリングにも参加できたので、思い残すことのない作品になりました。

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山田:このアルバムの推薦資料があって、一番最初のページにドドーンとデカい文字で「最高の音質」って書かれていて、トップの推しが“音質”って珍しいなって思いました(笑)。でもこれまでとは本当、断然違います。

テツヤ:
音質というより、バンドサウンドな。

児玉:ドラムに関して言うと、1年半前から制作してたので自分のやりたいことを練ることができたなと。これは個人的にデカかったですね。今までレコーディングの前日に曲ができて、時間ない中、なんか仕込んで、なんかよくわからないまま東京行って、それでレコーディングみたいなことをしていたので、結果、順序的にドラムが最後にフレージングを考えたりするので余裕がなかった。でも今回は、全てにおいて丁寧にできたので良かったです。あと、アートワークもこれまではデザイナーさんにお願いしてた部分が大きかったんですけど、今作ではメンバーとこうしたい、ああしたいと意見を出し合って完成させたので満足してます。

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洲崎:確かにこだわれる時間があったな。コロナ禍というのもあって、正直、締め切り伸びた~って思ったし(笑)。

テツヤ:
みんなでめっちゃ集まれたもんな。

山田:スタジオにも通って、ただ今やから言えますけど全員コロナウィルスに感染してしまいましたが。

児玉:それでワンマンやレコーディングも延期になってしもたし、迷惑おかけしました。

亀田誠治さんとの仕事

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洲崎:亀田さんがいてくださって、編曲してくれはったのを練習して臨んだですけど、現場でも「やっぱりこうしようか」って、わざわざブースに入ってきて教えてくれる瞬間とか、すげー!って思いました。それこそ、テツヤが大ファンなのもあって。

テツヤ:中学生の頃から大ファンで東京事変の曲全般をコピーしてたので、あの頃の自分に「将来お前は、亀田誠治さんと仕事する」って言いたい(笑)。

洲崎:亀田さんの曲をやってて、やっぱあれ? この感じ知ってるなって思ったらテツヤやったんです。すごい亀田イズムの影響を受けてたんやって再認識しました。

児玉:ドラムのフレーズであったりとか、ここ脚一個抜こうかとか、抜いた方が楽曲的にいいのかとか、足すことばかりじゃなく、引き算的な部分も必要だと勉強になりました。

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山田:すごく優しい方でリモートで打ち合わせした時からフレンドリーに接してくださって、やりやすい空気にさせてくれました。だから実際、初めてお会いした時、らせん階段を降りながら着てらっしゃったコートを脱いではったのを見ながらあまりにも神々しくて、そのコートを受け取りそうになりました(笑)。

テツヤ:
亀田さんのアレンジってまさに神業で、例えば僕らが好きなアレンジと何が大きく違うかと言うと、全員が全員、別のことをするんです。僕らは基本、全員が揃えるというので作ってたんで、最初言われた時は“これ、大丈夫なん?”みたいな状態やったんですけど、いざプリプロ(作品作る上の設計図みたいなもの)を作って聴くとバッチリでしかも厚みがあったりとか。

洲崎:勉強になったなぁ。

テツヤ:音に関してぶつかり合いをするまでもなく、ひたすら亀田さんのアレンジを吸収させてもらったという方が大きかったと思います。

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洲崎:仮で弾き語りを、音質の悪い状態で亀田さんにお渡しして、返ってきたやつがしっかりしたバンドサウンドになってたんですけど、個人的には弾いてたやつとちょっと違うなと思ったアレンジだったので、勇気を出してレコーディングの時に言うたら、全然、洲崎くんの思ってる感じでいいよって言うていただいて。

山田:
結構、こちらの意見も呑み込んでくれはったのは僕ら的にもありがたかったです。アレンジしてくださって曲を僕らがさらにアレンジしたら、それで行こうってなったり、そういうやりとりは刺激的でした。

カナダへバンド留学

山田:元々、大学の時にカナダへ当時組んでたバンドメンバーとカナダへバンドやるために留学したんですが、ベースとドラムがホームシックになって、僕の誕生日に帰国して残ったのが洲崎で。結局、カナダでは留学最後の方に現地の人と一回ライブしたくらいでした。で、帰ってきて、僕の子どもの頃からの夢がお笑い芸人やったなぁと思い出して、その世界へ入るのも年齢的にギリギリかなと。それを帰国してからよく遊んでた児玉に相談したら「音楽だけやるより可能性あるんちゃうか」って背中を押してくれたんで決めました。でも一人ではなあってことで、洲崎を誘ってみたら「ええよ」って言うてくれてNSCへ入りました。

洲崎:お笑いに関しては人並み程度の興味しかなかったし、まさか自分がやるとは思わなかったです。でも、山田から誘われて、正直、悩みはしなかったですね、面白そうやんって感じで。舐めてるわけではないけどやってみたいと思って。でもそれで当時の彼女にはフラれましたけど。

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お笑いとバンドの両立

洲崎:5up劇場時代に、二人で当時の支配人にお笑いとバンドを両立させてほしいって言いに行ったん覚えてる。その時に意外にも「ええやん」って言われたんですよね。

山田:baseよしもとの時は考えられないですけど、僕らの時はお笑い一本でやれみたいなのはだいぶ緩和されてましたね。得意なスキルを伸ばせばいいんちゃうかっていう雰囲気になってて、もちろん、それはちゃうやろって意見もありましたが。

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バンドのふたり

児玉:お笑いの部分がバンドにもしっかりいきてるし、バンドのパフォーマンスも笑いにいかされてると思います。凄くいいバランスでやってる感じです。

テツヤ:たまに劇場でコントとか参加させてもらえるので、すごい嬉しいです。

児玉:「歌ネタ王決定戦」にも出ることができたし、なんばグランド花月にもバンドマンとして立てて、普段なら見に行くことはあっても、舞台に立てることなんてないですからね。

テツヤ:ちゃんと両立させてるんですよ。ただ、バンド目線で言うと、ライブ当日は、丸一日空けてほしいなって。 でも、ふたりは忙しいじゃないですか。だから現場に飛び込んできて、バーっと演奏して、終わったらさーっと飛び出していくみたいなんは割とあるんですけど、ライブはきっちりやってるし、見ててすごいなぁと思います。

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山田:マネジャーが仕事熱心すぎて、ワンマンライブの日に、漫才2本してやったことありますから(笑)。

テツヤ:
だから本音を言えばセッティングは一緒にしてほしいな…とは思うな。

洲崎:リハーサルも、仕事と被ってふたりに任してるときありますから。

山田:ちゃんと両立してるって言うてくれましたけど、やっぱり甘く考えてた部分はあるなと。特にスケジュールの管理はちゃんとこれからも考えないとなって思いますね。

児玉:仕事の兼ね合いでライブ断ったりとかあるしな。

テツヤ:音楽の世界は横のつながりが大事やのに、そういう感じなんで横のつながりがなかなか広がらない…(笑)。

洲崎:友だちがいないバンドなんで(笑)。

山田:ツアーもなかなかできないし。そういう問題は多々ありますね。でもなんとか頑張りたいです。

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歌ネタ王の優勝は励みに

山田:ラニーノーズとして歌ネタをやってる身にしたら「歌ネタ王決定戦」は、まず獲りたい賞だったので、2019年に優勝して芸人として結果残せたなと思います。

洲崎:音曲漫才というジャンルもなかなか若手がいないので誇れますしね。

亀田誠治プロデュース4曲解説

「Love&Peace」
テツヤ:元々古いアメリカンロックのようなリフを作ろうと思って、そこから考えてたんですけど。今風のメロディと昔のアレンジと懐かしいメロディを亀田さんにアレンジしてもらったら、めちゃくちゃポップになって。昔だけのノスタルジックだけじゃなくタフな曲でもあるので。そこが聴きどころですね。

「Star Betray」
テツヤ:カラッとしたラブ&ピースに対して、振り幅大きく、泣きメロなインパクトのあるサビをつけたかった。最初はものすごい長いイントロが付いてたんですけど、亀田さんはそこをブチッと切って、Aメロの歌入りから始まるという。これってなかなか勇気がいるんですけど、そういうアレンジになってて、しかも、超正統派の刻みって言うんですかね、ギター演奏がものすごいエモーショナルなメロディにムッチャ絡んでくるっていうのが聞きどころだと思います。

洲崎:今回のアルバムの中でいちばんアレンジが大きかったよね。

テツヤ:勇気いることを普通にやっちゃうので、これからの曲作りにめちゃめちゃ参考になった。

「音の鳴る方へ」
山田:今までと違うのは、サビが3回あるんですけど、それを洲崎、テツヤ、僕がそれぞれメインで歌う3人ボーカルなんで、面白いと思います。

テツヤ:この曲は歌い出しを揃えるとか山田らしいこだわりのフックがあって、そこ楽しんでほしいですね。

「The Name」
洲崎:自己満足になっちゃうんですけど、自分の子どもが生まれたら曲を作りたいなって思ってて、作った曲なんですけど、最初、亀田さんにお投げして、返ってきた時にあんまりアレンジが変わってなかったんですよ。だからあれ? 変わってないと思ったんですけど、これって逆にアレンジしなくてもいいってことやったんかなと自分の解釈して。ソロも入れてくださって満足いく曲になりました。

テツヤ:でも実は亀田さんイズムが炸裂してます。

洲崎:最初はペラッペラの曲が結果、めっちゃ林檎サウンドみたいに(笑)。

テツヤ:亀田さんが「僕は楽曲をそんなにいじりません、ただ楽曲に僕はエクボをつけます。整った顔にもエクボをつけるとチャームポイントになるからね」と言うことをおっしゃってたんですけど、まさにこの曲はそれやなと。

洲崎:確かにそうやったな。東京事変が好きな人が聞いたら、あれ? これ!ってなると思います。

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思い出の場所

山田:ジャニス
心斎橋にあるライブハウスなんですけど、2017年10月2日にやったワンマンライブをしたんですね。その盛り上がりも凄くて。シークレットゲストで天竺鼠の川原さんが出てくださったんですけど、僕らが川原さんのオリジナルソングを作ってYouTubeでアップした後に行ったライブだったので、タイミングが良くて、その時の盛り上がりは思い出として忘れられないですね。

洲崎:沖縄
以前、「沖縄国際映画祭」でのイベントにバンドで呼んでもらったんですけど、目の前に海が広がった素晴らしい景色の中にでかいモニターが設置された野外ステージがあって、いかにもフェスみたいな環境でライブしたんですが、そういうことが初めてやったんで思い出の場所として残ってます。

テツヤ:難波の大黒橋川周辺
ライブ本番まで、空き時間がある時にウロウロするんですけど、バンドメンバーになってまだ浅い頃、2013年くらいかなぁ、アメリカ村のライブハウスでのライブの時も大黒橋にウロっとしてたら洲崎と山田がラニーノーズのネタを披露してくれたんです。忘れもしないですね、日本の政治をテーマにしたネタで、その時の時間と場所が思い出としてあります。

児玉:prime sound studio form
東京の池尻大橋にあるレコーディングスタジオなんですけど、ここで一流の方々にレコーディングを携わっていただいたんですけど、ドラマーとして挫折を味わって引退も考えた場所として残ってます。

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初めて喧嘩した場所

山田・洲崎・児玉:アメリカ村のライブハウス・サンホール

児玉:
喧嘩というより、山田がひたすら洲崎に怒られてた場所(笑)。

テツヤ:オールナイトライブで僕らが大トリ、で、ライブ終わりで楽屋に戻ると、すでに洲崎が椅子に座ってて、戻ってきた山田にひたすら怒るという(笑)。

児玉:出番の時間がド深夜だったので山田が酒に酔っ払って、それでライブに出たからMCが長いし、ポエトリーディングするし、僕は椅子に座らされてグルグル回されるし。

洲崎:僕は踊らされてた。だからええ加減せえよと怒りました。

山田:でもサンホールの人らが、勘違いして、オールナイトライブ終わってもラニー・ノイズはミーティングしてる、意識高い系バンドやって高評価。以後、他のバンドに伝説のように語られてて。実はただの酔っ払いが怒られてるだけやったんですけど(笑)。

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ネタ合わせや曲作りなどの恒例場所

山田:自分の部屋
洲崎:テツヤん家
テツヤ:僕の自宅
児玉:テツヤん家

テツヤ:今作のアルバムを作るにあたって、取り組んだことがいわゆるレコーディング前の設計図で、プリプロっていうのを録ったんですけど、それまではスタジオでちょっとこんな曲を書いてきたけどってとこからみんなで合わせてたんですけど、今回は僕がバンド用に一部屋借りてるとこでずっと集まってやってました。

最後に『HAKKIYOI!!!!!」を総括

洲崎:バンドとしてこれまで1枚目、2枚目、3枚目と、毎回アルバムをリリースするごとに成長しているなと思ったんですけど、今回の4枚目もちゃんと成長できたなと思います。もちろん、亀田さんの力を借りての話ですけど(笑)。個人的には、亀田さんに手伝っていただいた後に作った曲もあるので、それまでに学んだ要素の曲もあったり、既存曲も入ってますので、さらにパワーアップした曲をお届けできるはずですし、初めてましての方にもこれがラニー・ノイズだっていうのを知っていただけるアルバムだと思います。

山田:亀田さんからの影響が確かにあって、曲作りから変わったなぁと思いつつ、みんなが納得できるものができました。
そして今作は、力士が相撲を取っているジャケットで「ハッキヨイ」というタイトルが付いたことによって、外国の方にも注目してもらいたいんですよね。こいつら日本のどんなバンドなんだろう?って。
以前から海外ツアーをやりたいって言うてて、その夢を叶えるために日本はもちろんですが、世界中で聴いていただけたらって思います。

洲崎:アルバムのオープニングも相撲の呼び出しから始まるのもそういうことを狙ってやしね。

児玉:それ、レコーディングの2日前くらいにやりたいって言い出して、慌てて老舗の太鼓屋さんから太鼓をレンタルしてな、今で言うTHE FIRST TAKEでやりました。

山田:それは凄かったな。

児玉:ただ、ほんまの相撲の呼び出しをやってる方からはきっと怒られると思いますけど(笑)。

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4thアルバム「HAKKIYOI!!!!!」

2021年12月1日(水)発売開始!
初回限定盤 7,150(税込)/通常盤 3,080(税込)
新曲10曲と代表曲5曲の全15曲!Runny Noize 初のフルアルバムです!!

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■ラニーノーズ プロフィール
山田健人洲崎貴郁のコンビ。2012年結成。
山田健人の特技はギター、フリースタイルラップ。
洲崎貴郁の特技はギター、弾き語り、英語、イラスト。
2019年 歌ネタ王決定戦2019 優勝
2020年 第5回 上方漫才協会大賞 話題賞
■Runny Noize プロフィール
Vo/Gt.洲崎貴郁、Vo/Gt.山田健人、Vo/Ba.フクシマテツヤ、Dr.児玉とみー優也
Runny Noizeとは、洲崎、山田、テツヤ、児玉の4人組メロコアバンド。

■取材協力
「Le Premier Cafe(ルプルミエ カフェ)」
大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-3-28 ビギ1stビル 3F

「神戸アールティー アメリカ村心斎橋ビッグステップ店」
大阪府大阪市中央区西心斎橋1-6-14 3階

ラニーノーズINFO

Runny Noize INFO


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取材・構成/仲谷暢之(アラスカ社)
写真/渡邉一生(SLOT PHOTOGRAPHIC)、月刊芸人編集部





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