マンゲキ芸人座談会~爆ノ介×守谷日和×kento fukaya×今井らいぱち〜Vol.4
よしもと漫才劇場を卒業し、東京で活躍の場を移した守谷日和、そして同じく卒業し、今年20周年を迎えたザ・プラン9に新メンバーとして加入した爆ノ介、マンゲキを守るkento fukaya、ヒガシ逢ウサカを解散し、今井らいぱちによるピン芸人座談会の最終回は、ピン芸人のさらに厳しい現状とこれからを話してくれていますよ。
――最初は、守谷さんと爆ノ介さんへのマンゲキを卒業するという話から、徐々にピン芸人の厳しさというものに話が変わってきてますが、やはりピン芸人というポジションは大変ですか?
kento fukaya(以下・kento):そうですね。今井はこれからもっとわかってくると思うし。
今井らいぱち(以下・今井):まだヒガシ逢ウサカを解散してピン芸人としてはなりたての方なんで楽しくやってますけど、そこまでのツラさをまだ経験してない。
爆ノ介(以下・爆):ボディブローみたいに、なんか気づいたら効いてるのよ。
kento:いい例えですね。僕はピンやって、コンビ組んで、またピンに戻ってって皆さんとはちょっと違うんですけど、あまえんBってコンビの時の相方で、今は吉本新喜劇に入団してるんですけど、多和田(上人)さんていう、見た目が、コブ鯛みたいな特徴ありすぎる人で、人気と注目を一気に吸収されてしまったんですよ。それ以前のピン芸人の時はまだそこそこ人気あったんですけど、コンビ時代が一番人気なかったです。もう分かりやすいくらいに多和田さんに全て吸収されて、人気ないままピンに戻って今に至る感じで。
爆:多和田さんのデコにパンパンに吸収されてしもたんや(笑)。
守谷日和(以下・守谷):ファンがあそこに入ってるんやな。
kento:コンビの方がファンは確実に増えると思うんですけど。ピンになるとキモさが一個乗っかるんですよね。
守谷:なんで一人でやんの?みたいな。
爆:何かしら変なとこがあるから相方見つかれへんねやっていうフィルターがかかったりするもんな。
kento:まぁピンは全部100良くても100悪くても全部自分に還ってくるんで、そういう面はなんかいいですね。相方のせいとかにはならないのでストレスがたまらないというか。
爆:ほんまに一回ピンとコンビとの落差覚えたらマンツーマンというのがしんどいってわかる。
守谷:だからユニットコントとかをやると一切緊張しなくなったわ。
爆:わかります。誰かツッコミがいるから、なんとかしてくれるんで、安心してできる。
守谷:ほんまにだからコンビが同士でそれぞれ相方の悪口言うてる聞くのむちゃくちゃ嫌いやねん。ほんなら1人でやってみろやって思う。振ってもらって、ツッコんでもらって、ボケてもらって、フォローしてもらって、どんなけありがたいことかってわかってんのかって思うねんな。
爆:以前、一緒にマンゲキで極(きわみ)新喜劇に出た時の守谷さん、やりたい放題ですからね。吉本新喜劇の人、ツッコミ上手いから、なんとかしてくれると思って、好き放題してる。
守谷:爆ちゃんに振らなあかんセリフあったけど、4回公演中、4回とも振らんかったからね(笑)。
kento:ダメじゃないですか!
爆:そのフリがあって、俺が出て行ってボケんのに、振らへんからノーモーションでやったわ。この人とやるとむちゃくちゃパワーがいる。初めから何とかなると思ってるから。
守谷:ピンやからパワーあるねん、地力ついてるから(笑)。
kento:まぁピンは追い込まれたら強いですからね。
爆:ザ・プラン9はある意味ピンの集団なんで、(浅越)ゴエさんも、ヤナギブソンさんも、(お~い!)久馬さんも最強。居心地もいいし、みんな大人やから干渉も、し合わないんで。
今井:今はあかんけど飲みに行ったりしないんですか?
爆:そんなん大阪が決めてる5人位以上やから無理やねん(笑)。加入したけど今のところ一回も全員揃っての飲み会とかないねん。
守谷:コロナの影響一番受けてるとこや(笑)。
今井:ザ・プラン9さんが全員揃って打ち上げしてるところ目撃されたらコロナが収束したんだってわかりますね(笑)。
kento:本当の大阪モデル!
――話は変わりますが、ピン芸人さんのイベントの集客ってどうですか?
爆:あぁお客さんなかなか入らないんですよ。『R-1グランプリ』もコロナで中止にはなってなかったからなんとか試みてやったんですけど、難しかったですね。
kento:爆さんのプロデュース公演も凄いんですけど、もう一人シゲカズですさんもプロデュース能力が長けている方がいて一緒にタッグを組んであれこれ考えてやっていただいたんですけど、フタを開けてみたら厳しかったから、もう無理なんじゃないかなと……。
爆:なかなかやったな コロナに邪魔されたのもあるけど。
kento:まぁそれでもお客さん来てくださった方ですけどね。
守谷:東京でも売れっ子さんは別としてピンのイベントはなかなか厳しいって聞くからなぁ。
爆:一個ワンチャンあるかなと思うのは、ピンとピンのユニットイベントかな。組み合わせの妙ってのはあり。
kento:いろんな組み合わせですね。
守谷:kentoと今井は?
今井:もうやってるんです。
爆:そうなんや。それやったら小さな劇場からやるべき。
守谷:お試しみたいな形でな。まだ二人の正解を出してないからね。大きな劇場でやると、それが正解って思われる。それがこの人のマックスかって思われちゃうから。
爆:まずは道頓堀のZAZA POCKET’SとかZAZA HOUSEでやって、何ヶ月かに一回、マンゲキでやってとか……。
kento:もう2回連続……
今井:マンゲキでやってるんです……。
爆:あっ(笑)。
kento:もう正解たたき出してしまってるんです(笑)。
守谷:『キング・オブ・コント』は見据えてる?
kento:まだ全然わかんないですけど、一回ユニットコントはやってもいいかなと。おいでやすこがさんの例がハンパなかったんで。
爆:漫才よりもコントがチャンスあるよな。漫才は掛け合いで熟練の技が必要やけど、コントはまず、発想でいけるから。
kento:守谷さんは出られるんですか?
守谷:相手がいてないもん。
kento:守谷さんならマジでユニットでワンチャンあると思いますよ。
爆:守谷さん、誰とでもできるから。俺とも一回、月刊コントでやったけど、信じられへんくらいウケたで。
守谷:もっかい俺も言うわ、信じられんくらいウケたで。勘違いしそうになったもん。
kento・今井:(笑)。
爆:しかも、ネタの本質に入る前の、遊びのフリんとこで爆発してくれるから、ネタに入っていったらどんどんウケる。
今井:それこそ東京に行かれて、同期のバイク(川崎バイク)さんとやりはったらどないです? バイクさんもめっちゃコントできはる人じゃないですか。絶対ありやと思うんですけどね。
爆:名前、バイク日和とかいいじゃないですか。
守谷:可能性はゼロじゃないけど、そこまで魅力は感じてないんやけどね。
kento:気持ち的には大会だから一回くらいは出たいってのは?
守谷:確かに。一回くらいは出てみたいなとは思うけど。
今井:まだ出たことないっすよね。
守谷:予選のMCしかやったことない。
今井:1,000万円ですよ!
守谷:1,000万円なん!?
爆:そうですよ。布団、買えますよ!
守谷:1,000万円もらっても布団はいいねん。網戸の方がいい!
爆:なんでやねん!
今井:出はったら出はったで僕らからしたら脅威ですよ。
爆:しかもユニットで出られたらスペシャル感もあるし、笑いやすいもん。普段見られないもの見られたって。しかも名前のある人同士やったら。
守谷:いないよね、僕とやってくれるような人は。
kento:声かけてくれるの待ってる人もいるかもしれませんよ。
爆:くまだまさしさんとか。
守谷:めっちゃおもろそうやん!
爆:“体育”と“体育”で(笑)。 ※座談会Vol.3参照
守谷:でも自分のネタしか作れないから、2人用のネタを作れる自信がない。だからネタ作れる人から、声をかけられるのを待つしかない。
今井:kentoもそれ言うてました。
kento:コントを見るのは好きなんですけど、絶対物語作れないんすよね。まぁチャレンジしてないってのもあるかもしれないですけど。単純に苦手ですね。
ーーピン脳みたいなんになってるのかな。
爆:ピン脳みたいなんなってるのかな。でも掛け合いうまいで。
今井:お芝居もできるやないですか、映画も出てるし、演技もできるんやない?って聞いたら、できない、できないよって。めちゃめちゃコントに対してネガティブなんですよ。
守谷:作るんは別として、プレイヤーとしてできるんやない?
kento:台本があったらやってみたいってのはありますけど。
今井:僕も台本書けないんで。
kento:じゃ、このユニットダメじゃん(笑)。
守谷:0から1に部分を作ってくれる人おったらなぁって思うわ。何かきっかけを1個目だけ作ってくれたら、そっからはエチュード大会始まるから。
kento:それは守谷さんだけですよ(笑)。
守谷:一回、ニッポンの社長の辻とユニットコントをやった時、辻が一発目のボケだけ作ってくれて、「ここまでしかないんですよね」って言うて話し合ってるうちに、エチュード大会始まったら、30分もせんうちに、「あ、できたな。」ってなって舞台でやったんやけど、その時、コンビのネタってこんな簡単にできんの? なんなんこいつら、めっちゃ楽してるやんって思った。
今井:それはたまたまですよ(笑)。
守谷:そうか、そうか(笑)。
kento:守谷さん、後藤ひろひとさんの即興劇『インプロビアス・バスターズ 』とか出てはったから、下地がありますもんね。
守谷:うん、あれのおかげでめちゃくちゃ瞬発力というのを鍛えられた。
爆:俺は下手!
kento:いや、爆さんはうまいですよ。
爆:いや、俺は下手!
守谷:ちゃんと振ってボケる人とかを得意としてる人は苦手かも。
爆:僕はそういうタイプやと思うんで下手ですわ。
守谷:自分でやることを積み上げていく人は難しいと思うし、逆にその積み上げたものを崩す奴もいる。そこでも対応していかなあかんからね。ほんまにあれで力がついた。
今井:僕らもエチュード大会やってみよかな。
守谷:やったらええねん! ほんま勉強なるから。
kento:そうですね。
――では、最後にマンゲキを卒業する先輩にエールを。
kento:これからの活躍がめちゃめちゃ楽しみですよ。爆さんはザ・プラン9さんでどういった風に存在感を出されるのかとか、守谷さんは一番ピンの中で“陽”の感じなんで、そんな方が東京へ行くんですから、ぜひとも成功してもらわないと。こうやって大阪に残る僕らは成功は無理だと思うんで。
爆:俺も思う。
今井:僕も思います!
守谷:えーそんなに評価高かったん!?
一同:高いです!
守谷:めっちゃハードル上げてくれるやん!
今井:爆さんは大阪にいはるし、ザ・プラン9さんですし、一緒に舞台立ちたいですね。それで守谷さん、ぜひ東京で成功していただきたいですけど、まぁ今年の1月1日に劇場公演で会うた時、信じられへんくらい真緑の大きな鼻くそを顔につけてはったんで大丈夫やと思います。
守谷:何の話やねん! しかもそれをSNSにあげたんや! それでその後にやった単独ライブ、300人くらい減ったで、ピンやと900人は減ったことやぞ! めっちゃ営業妨害や!
■爆ノ介プロフィール
ザ・プラン9。特技は逆立ち、寝業。
■守谷日和プロフィール
特技はスキューバダイビング。
R-1ぐらんぷり2020(2020年) 決勝進出
■kento fukayaプロフィール
特技は架空の人物を描いてその人が言いそうなセリフを言う、書道
■今井らいぱちプロフィール
特技は書道、ドロップキック、ダイビングキャッチ、リンボーダンス、長座体前屈の姿勢から逆立ち、体中に洗濯バサミをつけて一気にとる
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取材・構成/仲谷暢之(アラスカ社)
撮影/月刊芸人編集部
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