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結成から約1年、オドるキネマの現状、2人の距離、そしてこれからについて

『月刊芸人』10月号巻頭インタビューは、9月4日(土)、9月5日(日)の2日間に渡って神保町よしもと漫才劇場で開催された『Jimbochoグランプリ』の総合1位となった、オドるキネマ(鈴木バイダン/南)
昨年7月にコンビを結成したばかりの2人。1位の喜びはもちろん、コンビ結成のいきさつ、それぞれの関係性の変化など語ってもらいました。

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貧血で卒倒、寝て起きたら1位だった

――1位おめでとうございます!

鈴木:ありがとうございます。いぇーい、やったぜ!って感じですね。

南:僕は喜ぶと調子乗りそうだなと思ったんですけど、そう思った時点で調子乗らへんなと自覚できて。素直に嬉しいなと思えました。


――土曜日に開催された第2部での登場で、1日経っての総合1位確定でしたが。

鈴木:こいつ、貧血持ちなんですけど、日曜日のライブ前に倒れてしまって。僕は急遽1人でライブに出ることになったんですけど、こいつのことが心配で『Jimbochoグランプリ』のことをピョンと忘れていたんです。社員さんから「第3部が終わったんですけど、今のままだと総合1位です」って電話をもらって、あぁそうだったと。で、「1位になったらもう1回連絡ください」ってお願いして、南にLINEしたんですけど既読すらつかなくて。

南:寝て目が覚めたら、総合1位になってましたね。

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――自宅で倒れてしまったんですか?

南:最寄駅に向かってたんですけど、気づいたら空が見えてて。たまにあることなので、10分くらい寝転んでから立ち上がって、もう1回駅に向かったらまたどこかで上向いてたんです。2回目は初やったんで、電話したっけ?

鈴木:うん。「一旦帰ります」って言うから、「わかった。ギリギリまで待つわ」って伝えました。飯を食うのと寝るのを忘れたから貧血になったらしくて。けど、3大欲求の2つを忘れることなんてあります?

南:いや、ちゃんと3つとも忘れてましたよ? 性欲はあった、みたいな言い方せんといてください!

鈴木:(笑)。当日はてんやわんやだったので、南が倒れてなかったらもっとストレートに喜べてたかもしれないです。

南:ん?

鈴木:いやいや、健康には気をつけてよ。仕事が増えたら、貧血なんて言ってられないんだから。

南:俺のことをとやかく言える体型じゃないですよね? 鈴木さんは倒れるとかじゃなくて、転がるでしょ?

鈴木:転がってるってことは、結果的に倒れてるってことだから。


南が鈴木を誘った理由とは?

――昨年7月にコンビを結成されましたが、なぜ組むことになったんですか?

鈴木:それぞれ組んでたコンビを解散するタイミングが、偶然一緒で。僕は発表するタイミングを遅らせないといけなかったので、解散することは誰にも言ってなかったら、南から連絡が来ました。

南:連絡する前日、9番街レトロの京極(風斗)さんと2人で会ってまして。「次の相方に鈴木さんを誘おうと思ってるんです」って言ったら、「あぁ、なんかわからんけどイケるんちゃう?」って言われたんです。

鈴木:補足すると、僕が解散することは京極も知りませんでした。

南:で、3人に会おうっていうことになって、鈴木さんに連絡したんですよね。

鈴木:南から「ちょっと相談したいことがあるんですけど」って電話が来まして。僕は解散のこともあったので「今度でもいいか?」って言ったんですけど、急ぎがいいと言われたので、よほどのことだなと思って会うことにしたんです。で、会って、一言目が「パンプキンショートケーキはいかがですか?」だったんですよ。それ、僕が組んでたコンビ名だったんですけど、あんまり慣れてなかったから普通にデザートを勧められたと思って。

南:そう。「大丈夫」って言われたから、“あぁ、もう断られた……”と思いました。

鈴木:間違えに気づいたから、「ごめん、どういうこと?」って聞いたら、コンビを解散して自分と組んでほしいって言われたので、「実は解散してることになってるから、前向きに検討するわ。(南とのコンビ結成は)ほぼ決まりでいいけど」って伝えました。

南:ほぼ即決のスタンスやったんで、僕は「いや、もうちょいいろんな人が声かけてくるのを待ったら?」って逆に止めてしまって。そこから後日会ったら、「俺のピンネタを作ってくれ」って言われたんです。

鈴木:2人だけで会ったんですけど、当時、僕は『有田ジェネレーション』に出演してまして。番組側に解散することを伝えたら、僕だけ残って出てほしいと言っていただいたんです。けど、1人で残るにはピンネタが必要だったので、誘ってくれた南に「ネタ考えてくれたら組んでもいい」って言ったら、いいネタを考えてくれたのでコンビを組みました。

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――南さんはなぜ鈴木さんを誘おうと思ったんですか?

鈴木:あぁ、聞きたい。なんで?


――あ、理由は聞いてないんですね。

鈴木:だって、こっぱずかしいじゃないですか。私のどこが好きなの?って聞いてるみたいで。

南:えっと、前のコンビの時に、いろんな人と漫才をするライブをやったんです。ゆにばーす・川瀬さんとか3時のヒロイン・福田さんとか5人とやった中の1人に鈴木さんがいまして。正直、鈴木さんとやった漫才がいちばんウケへんかったんですけど、イケるなって感じたというか。

鈴木:直感ってこと?

南:客観的にバケるなって思ったんです。野球選手の新庄剛志さんっているじゃないですか。

鈴木:歯が白い人?

南:肌を焼いてる結果、歯が白く見える新庄さんです。あの人っていろんなスポーツはできたけど、唯一できひんかった野球を選んだって言ってたんです。それです。

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――伸びしろを優先したということですね。鈴木さん、この理由を聞いてどうですか?

鈴木:全然嬉しくないです。何それ、合コンのハズレと一緒じゃん。

南:まぁでも、鈴木さんが解散するとは知らん段階で決めてたので、スキルとかトータルの力があるというのも選んだ理由ではありました。

鈴木:僕、天才がすごく苦手っていうか、喋っていても試されてる感じがして。みんなから天才だといわれている南も、どちらかというと苦手だったんです。そのライブで漫才やった時も、南の書いてきたネタのどこがおもしろいのかはわからないけど、否定したら自分が面白くない人間になってしまうかもしれないと思って、必死で台本を頭に入れて難を逃れたんですよね。けど……解散することが決まって、誰と組みたいかなと考えた時、現実的なラインでいちばんいいなと思ったのは南でした。


――2人とも第一希望だったんですね。個人的な感想ですが、お2人が組んだのは意外でした。

南:確かに、以前は絡みがなかったですもんね?

鈴木:そうだね。ただ、僕としては前のコンビと同じようなスタイルをやる人と組んでも意味がないなと思ってたところもありました。今、僕らはむっちゃ仲いいんですけど。

南:いや、そんなことはないです。


――(笑)。仲はよさそうですよ?

鈴木:ですよね? こんな感じになるとは思ってなかったです。南はずっと敬語を使っていたので、コンビを組んでからはタメ口になったり敬語になったりしていて。

南:俺はタメ口にしたかったんですよ? むっちゃキモいのが、タメ口が出た瞬間、ニヤッとするところ。あれ、不快でしたよ?

鈴木:(笑)。こいつの説明では、敬語とタメ口はガッチャンと意識を切り替えないとできないらしくて。“あぁ、こいつ、今がんばってガッチャンってしたわぁ”って思ったら、そりゃ笑うだろ? けど、そこも今では気にならなくなりました。

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結成して知ったそれぞれのいいところ

――では、コンビを組んでから改めて知ったところはありますか?

鈴木:南はかわいいヤツですね。天才だって周りからちやほやされてますけど、これ……天才史上初だと思います。弟思いです。あと、まっすぐに面食い。

南:えっ、それ何情報?

鈴木:男ってバカなので、道を歩いてるときに“あの子、かわいいな”って思うもんなんですよ。一緒に歩いてる時、僕が「あの子かわいい」とか「あの子、タイプ」とか言うと、南はいつも「あぁ、元カノに似てます」って変なマウント取るんです。よくよく聞くと、いろんな女の子にいろんな元カノが似てるんじゃなくて、全員1人の元カノに似てるって言ってるみたいで。あれ、なんで言うの?

南:ほんまに似てるっていうだけですよ。


――それ、まだ好きなんじゃないですか?

南:………ん?


――いろんな女性を見るたびに、元カノを思い出してるってことですよね? 忘れられてないんじゃないですか?

鈴木:あははは! あれ?

南:ちゃうちゃう、好きじゃないです!!!

鈴木:こういう話を聞くと、南もちゃんと若い男の子なんだって感じますね。とっつきにくいと思ってましたけど、人間が好きですし、お喋りも好きですし、友達も好きなヤツです。

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――南さんはどうですか?

南:僕はおおむね予想と変わらなかったですね。けど、思ったよりロジカル。意外とネタが書ける人なので、今は(ネタ作りでは)僕が案だけ出して、喋りながらお互いのところはお互いで決めるみたいな感じになりました。

鈴木:南の書いてくるネタは組んだ当初、やっぱり全部理解できてなくて。厳密には3人必要だなとかコンビではできないなとか、音響とかモニタが出てきたりとか、今まで僕が考えてこなかったアイデアを出されていたので苦労しました。組んで半年くらいは、作家さんにもめっちゃ怒られてましたし。

南:あぁ、怒られてましたね。

鈴木:「前のコンビとは違うんだから、もっと南に合わせたツッコミをしないと」ってな。で、年明けくらいにようやくだよな?

南:漫才が完成したのが、ですか?

鈴木:え、完成したと思ってるの? 息が合い始めたくらいにしておこうよ。

南:そうですね。アドリブとかやりやすくなりましたし。


――自分でも手応えを感じられるようになったと。

南:はい、地道にちょっとずつ上がっていった感じでした。

鈴木:順位的にもそうだったね。前のランキングシステムでも毎回2位ずつくらい上がってましたし、今のシステムになってからも真ん中くらいの順位からスタートして徐々に上がって1位になれたので、実感と同じように結果が出たのは嬉しかったです。

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コンビ結成時にした、今後についての約束

―今後についてはどんなふうに考えていますか?

南:コンビを組む前、どうなりたいかみたいな話はしましたよね?

鈴木:最初に「どんなに売れても劇場には毎日じゃなくても立っていたいし、年に1回、単独ライブはしていたい。これを飲み込めないなら、コンビは組めない」と伝えて了解を得た上で、コンビを組みました。南はテレビにいっぱい出たいみたいで。

南:正直、僕は売れたら、ネタをやらないでもいいかなと思ってるんです。


――意外ですね。芸歴1年目の時、よしもと幕張イオンモール劇場で開催された『千鳥の曲祭(クセまつり)』に南さんが前のコンビで出演されていて。鋭利なネタにお客さんがかなり引いていたのが印象として未だ鮮明に残っているので、世界観のあるネタをやっていきたい人なんだと勝手に思ってました。

南:あっ!

鈴木:あははは! お前、どこでもスベってるなぁ。

南:あのライブのオーディションが成人式やったんです。「休んできたんですから、絶対通してください」って言って出たんですけど……引かせてしまって、ほんまに申し訳なかったです。ライブ終わりに、出演者全員で大悟さんとノブさんに挨拶させてもらったんですけど、僕、最後のほうで。挨拶したら、僕だけにノブさんが「待たな!」って言ってくれました。……僕は『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)とか、テレビで喋りを売りにしてやっていきたいんです。


――鈴木さんは? 舞台でやっていきたいということは、憧れの人がいるんですか?

鈴木:バナナマンさんがすっごく好きで、日村さんみたいになりたいなと思ってました。今はああいう感じにはなれないので、自分の道でがんばろうと思いながらやってるんですけど、好きすぎるからなのか、コントとかで日村さんみたいな喋り方をしてしまってる時があるので、気をつけないといけないですね。

南:携帯の待ち受け画面が、バナナマンさんですからね。

鈴木:本当にめっちゃ好き。『ノンストップ!』(フジテレビ)に前のコンビで出たんですけど、ワイプで設楽さんが写ってたから初共演だと思って、スマホで写真撮っちゃいました(笑)。舞台でやっていきたいですけど、番組を持つのも1つの目標ではあります。あと、賞レースも出るからには勝ちたいなと思ってます。

南:僕は……面白いと思われたいだけです。そう思われるように、ただ面白くはなり続けたいですね。

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オドるキネマ
2020年結成。鈴木バイダン(左)と南(右)のコンビ。
9月度Jimbochoグランプリにて1位を獲得。

ライター/高本亜紀 撮影/越川麻希(CUBISM)
企画・編集/重兼桃子

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