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人生の欲はあるけど芸事ではないかもしれない……囲碁将棋が語るネタ作りと2人の未来(後編)

大宮セブンとしての活動や『アメトーーク!』(テレビ朝日)出演などで注目を集めている囲碁将棋文田大介根建太一)。

4月からCSテレ朝チャンネルにて、初の冠番組『囲碁将棋の山はなんでも知っている』(全6回/不定期放送)も決定するなど、勢いが止まりません! 
東京吉本を代表する漫才師として、芸人仲間から慕われる“芸人が憧れる芸人”でもある彼らを、『月刊芸人』&『ラフアンドピースニュースマガジン(以下、ラフマガ)』のYouTubeチャンネル『ラフマガチャンネル』による連動企画にて大特集することになりました!

『月刊芸人』では、囲碁将棋のインタビューを掲載。
芸人になるいきさつから2人の考えるターニングポイントを話してもらった前編に加え、後編ではネタ作りや漫才師として軸になる思いを語ってもらいました。

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漫才のスタイルはお互いがいちばんストレスのないかたち

――お2人の最大の魅力はやはり漫才にあると思いますが、ネタは2人で作っているんですか?

文田:そうなんですけど、ネタになったもののアイデア量は僕のほうが多いですね。意見はお互い出すんですけど、俺のほうが結果多いよね?

根建:どこで張り合ってんの!? いいんだよ、お前が全部作ってるで。

文田:いや、全部ではないんだけど、アイデアを出した量じゃなくて結果、作品になってるのは僕のほうが多いです。

根建:お前が全部作ってるでいいよ。

文田:75%くらいだよな、俺は。

根建:……いや、俺、25%もないよ(笑)。



――以前はよく、根建さんがセリフを毎回間違える、同じことが言えないみたいなことを話していましたよね?

根建:言えないっていうか、まずお笑いに向いてないと思ってます。向いてないっていうのは不適合者みたいなかっこいいことじゃなくて、できないに近いです。ツッコミもできないし。神様に教えてほしいですよ、いちばん向いてる仕事はなんだったのか。

文田:いや、お笑いがいちばん向いてるよ。

根建:ギリギリそうなのかな?

文田:うん。劇的に集中力がないから、ほかにやるとしても集中しなくてもできる仕事だろうな。だって、ああいう感覚はないわけでしょ? 本を読み出して、あぁ、もう5時間経ってるみたいな。

根建:絶対にないね。

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――ということは、ネタ作りにもあまり時間をかけないんですか?

文田:長くて1時間半くらいですかね。台本はほとんどなくて、題材みたいなワンセンテンスをホワイドボードに書いて、作家を入れてこれだったらこういう感じにしたいって説明しながら、ちょっと喋ってみてネタになりそうだなっていうものを見つけていくんです。だから、面白いなと思うことはメモを取るようにはしてますけど、ネタ作りはめちゃくちゃ緩いです。


――芸人さんの中には、てにをはまでこだわるという人もいますよね。

文田:(平然と)プロはそうっすよ。

根建:(同じく、平然と)うん、絶対にそうだと思います。


――いやいや、お2人もれっきとしたプロじゃないですか。

文田:僕らはそこにこだわっちゃうと、人前でやれるものじゃなくなっちゃうっていうか。

根建:めちゃくちゃ緊張するだろうね。

文田:人のネタ合わせとか作り方を見てると、そもそも(自分たちとは)アプローチが違うんだなと思いますね。細かく作ってめっちゃ練習するほうがいいとは思うんですけど、僕たちにはできない。

根建:うん、できないっていうのがいちばん正しいです。

文田:正直言うと、自分が2人いたとしたら、ネタをちゃんと作って練習していたと思います。性格上細かいので、てにをはにもこだわって時間も測って、やってみてウケなかったら削ろうとかどんどんスイッチングして試していって。そうやって理屈でネタを作っていきたいけど、2人でやるならあんまりネタ合わせしないでやるくらいの感じがいいんだと思います。まぁ、自分の思う理屈を言うようなネタもやってますけど。

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――たしかに、単独ライブでは文田さんがほぼ1人で喋る、独演会みたいな時間がありますよね。

文田:そうですね。ネタ合わせがあんまりいらないネタはそういう感じでやってますし、ほかは(根建に)好き勝手喋ってもらって、タイミングが変だったり、変なことを言ったりしてお客さんが笑ってくれたところを膨らませていくんです。だから、僕らってネタ感が薄いんでしょうね。あと、ネタ合わせをめっちゃする人たちって、相方がアドリブを入れたりして練習通りにやらないのがムカつくとか言うじゃないですか。僕らはネタ合わせをほとんどしないから、話の筋が変わっちゃうのも全然悔しくない。結果オーライだし、あんまり気にしてないですね。


――根建さんに、こんな感じでやってほしいっていうことはあるんですか?

文田:ありますけど、言うとキレちゃうんで。

根建:あはは! たしかにね。

文田:普通は「やれるように頑張るわ」って言うじゃないですか。じゃなくて、「やれねーよ! お前もできねーだろ!」って急にキレてくるんですよ。さすがにキレられると、俺もムカつくんでね。

根建:僕、キレやすいんです(笑)。

文田:だから、いちばんストレスのないやり方をやってるってことですね。まぁ、お客さんが笑ってくれて観に来てくれるから成立してるんだろうなとも思います。誰も観に来てくれなかったら、もうちょっと細かくやろうぜとか言ってたかもしれないです。あと僕としては、ちょちょっとテレビに出てちょっちょっと(舞台に)戻ってきたいなっていう願望が常にありまして。第一線でテレビに出て、クイズ番組を仕切ってっていうことがしたいとはあんまり思わなくて、売れても普通に漫才して終わるっていうのがいいなとも思ってるんですよね。

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芸人を辞めることがあっても解散することはない

――そういうスタンスで活動してきた中で、解散危機みたいなものはこれまであったんですか。

根建:解散危機っていうのはないよね?

文田:うん。どっちかが辞めてどっちかが残るっていうことはないんで、解散っていうことはないのかなと。解散しますって発表するってことは、どっちかが芸人として残るとか何かが残るってことじゃないですか。けど、そういうことじゃないんで、芸人を辞めることはあっても解散することはないでしょうね。


――では、これまでに芸人を辞めようと思ったことはありましたか?

文田:それはちょくちょく。後ろ向きなヤツじゃなくて、みなさんがほかの仕事を見て楽しそうだなぁみたいなことを思うのと一緒くらいにはあります。

根建:僕ももちろんありますよ。芸人に向いてないって思ってるんでね。

文田:だから、芸人がいちばん向いてるって。どの仕事をやっても割といい感じに力を発揮した気がするし、落ちこぼれでっていう感じでもない気がする。めちゃくちゃ出世しないわけでもないし、何年いてもいちばん下っていう感じでもない。同期が10人いたら、6~7番目くらいに出世するくらいだと思う。

根建:そうそう(笑)。ただ、なんの仕事で自分のマックスを叩き出せるのか知りたいなって思ってるんだよね。

文田:意外と靴磨きとかじゃない? 飯作るとかじゃないよな。

根建:わかる。たしかに、靴磨きは向いてるかも。

文田:好きだもんね、バイクとか。

根建:集中力ないけど、できるかな? 途中で投げ出しちゃうかもしれない。

文田:20分以内で終わらせればいいんじゃない。

根建:ルミネで芸人の靴磨こうかな。漫才師ってみんな、革靴履いてるから流行りそうだよね。

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――(笑)。先ほど文田さんちょちょっとテレビに出て、ちょっちょっと戻りたいと話してましたけど、芸人として売れたいっていう願望はあるんですか?

文田:うーーん、芸事ではないかもしれないですね。子供が海外留学したいって言ったときに費用を出せるようになりたいとか、死ぬときは親族にベッドを囲んでほしいとか、自分の人生の中ではありますけど。

根建:最終的にそうなんだ。願望かぁ。

文田:お笑いで世界制覇だよな? お前は。

根建:世界見てねーよ(笑)。でも、マジでなんだろう?……僕はマネージャーにやれって言われたら、なんでもやります!


――欲はないにしても、芸事への芯はあるように見えます。主催ライブと単独ライブを欠かさずに開催して、新ネタも作り続けてるっていう漫才師としての軸がちゃんとありますよね。

文田:たしかに、その辺はちゃんと選んでますね。寄席はもちろん別ですけど、ここ1~2年は僕らじゃなくてもいい仕事、例えばスケジュールが空いてるから入るようなものは全部断ってますし、その逆で囲碁将棋と誰かのライブをやりたいとかだったら大小関係なくやります。お客さんがチケットの情報を調べたときに、全部行ってみたいと思ってもらえるようなラインナップにしたいんですよね。歳を重ねて、今いてくれるお客さんを1人も逃したくないっていう体制に入ったので、数を増やしていくよりも今いてくれる人たちに出してもらう金額を増やさなきゃっていうか(笑)。いつも言ってるもんな? お金を払ってくれてありがとうございますって。

根建:言ってる。本当にそうじゃないですか。こんなことを言うのはみっともないですけど、この先も僕らの漫才を観たいって思ってくれるなら、みなさんがお金を出してくれないと続けられないですから。正直、どの業種でも誰かが出してくれたお金で生きてますしね。

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今後目指すのはスーパーパラサイト!?

――巡りめぐっていろんな人に活かされているのは、どの職種も一緒ですね。芸人としての活動は、今後どう考えているんですか?

文田:タレント化はしないと思うんですよね。コンビでネタをやらずに、囲碁将棋の文田で何かやるっていうこともない。別々になるのは、芸人を辞めてる瞬間だと思います。

根建:僕はみなさんが食わせてくれるなら、ずっと続けていきたいですね。マジでみなさん次第です! 食わせてもらえなかったら辞めます。

文田:だから、100人が100万円使ってくれて1億円になるっていう売れ方はしたいよね?


――100人がパトロンだと。

文田:そうです、スーパーパラサイトです。その100人のお客さんには、「俺が喫茶店を始めたとしても毎日通ってください」ってちゃんと言ってますし。

根建:こいつが喫茶店を始めたら、僕、そこで働きながら漫才するんで観に来てほしいですね。

文田:今、こう言ってますけど、こいつは絶対働かないと思います。俺、お前に給料払わないし。

根建:払えよ!

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――(笑)。囲碁将棋さんは人としてのタイプはそれぞれ違うのに、価値観を押し付け合わない感じがいいですよね。例えば、ネタ作りにしても俺は頑張ってるのにこいつは遊んでるとか言う人もいるじゃないですか。もちろん、そう思う気持ちも理解できますけど。

文田:お互いがほどよく頑張ってないので、言わないだけなのかもしれないですね。僕がめちゃくちゃ頑張っちゃってたら、めちゃくちゃムカつくのかもしれないですけど。ただ、もしすげぇ頑張ってたなら、相方も頑張る気がしますけどね。だって俺、こいつがめちゃくちゃ頑張っちゃってたら頑張っちゃうもんなぁ。

根建:でも俺、文田がめちゃくちゃ頑張ってたら、ちょっとキツいわ。

文田:どういうこと?


――付いていけなくなるっていうことですよね?

根建:そうです。朝5時まで毎日ネタ合わせしようぜ、とか言われたら、ちょっとキツいもん。

文田:まぁ、そうか。じゃあ、ほどよく融合したんだな。

根建:ネタ合わせしていても、帰りてぇなと思ったところで帰ろうぜって言ってくれるのも嬉しいですしね。

文田:厳密に言うと、帰ろうぜって言った時間に僕は帰れないんですけどね。こいつはバイクだから帰れるんですけど。

根建:あはは! そうだな。


――個人的には、囲碁将棋さんを好きな人がもっと増えればいいなと思っていますし、日の目を浴びてほしいなと思っています。

文田:浴びたい! 充分に浴びた気もするんですけど、もっと浴びられるかな。

根建:浴びたいよね。浴びられたと思った時が、ターニングポイントなのかもしれないですね。


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囲碁将棋
2004年結成。大宮セブンのメンバー。
文田大介(左)と根建太一(右)の高校の同級生コンビ。



●連動特集企画
ラフマガチャンネル 『まだ知らないの⁉囲碁将棋特集!』

囲碁将棋の2人を慕う後輩芸人や大宮セブンメンバー、2人の漫才を観て芸人を志した超若手漫才師、神奈川県“住みます”芸人である彼らを支えた元エリア社員などの証言から、囲碁将棋の魅力を掘り下げたインタビュー動画となっております!

出演者:囲碁将棋(文田大介、根建太一)
マヂカルラブリー(野田クリスタル、村上)、すゑひろがりず(南條庄助、三島達矢)、ダイタク(吉本大、吉本拓)、ニューヨーク(嶋佐和也、屋敷裕政)、オズワルド(畠中悠、伊藤俊介)、ナミダバシ(たくみ、太朗)、元神奈川県住みます芸人担当(若松慧さん)
/ナレーション:相席スタート・山添寛


■囲碁将棋INFO

囲碁将棋の冠番組『囲碁将棋の山はなんでも知っている』が
CSテレ朝チャンネルで4月放送予定!
15分全6回で不定期放送
・番組内容:囲碁将棋が現代人の悩みに答えるトーク番組 

・事前特番『囲碁将棋の山はなんでも知っている[標高0m]』
3月31日(水)深夜3時20分 放送

初回一挙放送
4月28日(水)
夜8時~8時10分『囲碁将棋の山はなんでも知っている[標高0m]』
夜8時10分~9時40分 『囲碁将棋の山はなんでも知っている』全6話
CSテレ朝チャンネル1(ワン)で放送予定


大宮セブンツアー~スリーアイランズドリーム(三島の夢)~東京公演
日程:2021年4月11日(日)17:30開場 18:30開演
会場:銀座ブロッサム(中央会館)ホール(東京都)
出演者:大宮セブン(囲碁将棋、マヂカルラブリー、GAG、タモンズ、すゑひろがりず、ジェラードン)


大宮セブンツアー~スリーアイランズドリーム(三島の夢)~
日程:2021年5月14日(金)17:30開場 18:30開演
会場:なんばグランド花月(大阪府)
出演者:囲碁将棋、マヂカルラブリー、GAG、タモンズ、すゑひろがりず、ジェラードン


【囲碁将棋 Official YouTube Channel】


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ライター/高本亜紀 撮影/越川麻希

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