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濱田祐太郎 「ラジオは耳で聴くものやから、目の見えない人にはぴったり、というのは安直なことだと思ってます」

2018年『R-1ぐらんぷり』の16代王者となった濱田祐太郎。先天性緑内障のため、幼少の頃より盲目ではあるけれど、それゆえにこれまで経験、体験してきたことを漫談スタイルで笑いに転化しオンリーワンの“笑ってもいい”ネタを繰り広げている。
最近は時事ネタも取り入れ、さらにYouTubeやTwitterといったSNSでも表現の場を広げている彼に“現在”を聞いてみました。

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—— 昨年からのコロナ禍、濱田さんはどう過ごされていました?

現状維持でしたね。基本的にインドアな人間なので、別に部屋にこもってる分には何の苦もないんですよ。
ステイホームって言われても「ずっと僕はしてますよ」みたいな(笑)。正直、日常生活を送る上ではなんの影響もなかったですね。コロナ禍を楽しむというのは不謹慎ですが、これまでの生活とは変わらずって感じでした。
新しいことで言うと、平日が暇なことが多いので、『濱田祐太郎のはまゆうチャンネル』ってYouTubeチャンネルを始めましたね。
それと、“大根”を切るようになりました。

——“大根”!? 料理を始めたってことですか?

いえ、料理を始めたっていうよりは、ただ大根を切るということなんですけど。一応、その切った大根は、味噌汁の具にして食べてます。
これまで味噌汁はワカメとか肉ぐらいしか入れてなかったんで、野菜を食べることができていいかなと。切る野菜はこれからも増えていくと思いますけど、大根は切ってるなぁって実感があります。

——では、コロナ禍でのネタ作りは?

最近は時事ネタが好きなので、そういうものをやるようになってから、テレビやラジオとかで聴いたニュースをどう喋ろうかって考えることは増えました。とはいえ、それもコロナ禍になる前からちょくちょくやってたので、より時間をたっぷりとってやれるようになったかなって感じですかね。

Twitterは、ラジオのリスナーさん達に言われてやり始めたんですけど、アイコンとかは入れずにやってるんです。自分は割とイタい人間だと認識しているので、なんかTwitterでやばいことを呟いたら、すぐに「あれは俺じゃない」って言えるようにしてるんで…(笑)。
だから、認証マークとか受け取らないです!!(笑)。

ちなみにTwitterは、喋って音声入力にしてアップすることもあれば、iPadを使って、画面に表示されるキーボードを触れば読み上げてくれるので、それで打ち込んだりしてますね。

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——そんなTwitterではオリンピック・パラリンピックのこともつぶやいてましたね。

そうですね。オリンピックはともかく、パラリンピックのことは聞かれたりするんですが、実は今まで見たことないんですよね。
ニュースでもあまりやらないじゃないですか。それこそテニスの国枝(慎吾)さんとかが、たまに何大会連続金メダルみたいなんが流れるくらいで、あとはほぼ知らないですからね。

「今やってんねや」くらいの扱いですから。メダルとった人が注目されるだけみたいな感じですし。メダルとってもニュースになってない人いるんちゃいますか?とりあえず、なんかネタになればいいかなというスタンスで、開催されるなら見ると思います。

——濱田さんの時事ネタに引っかかるのはどんなことだったりしますか?

僕がTwitterに書いてることが引っかかったネタが多いかもですね。
(インタビュー時点で)最近はオリパラの酒類提供のことですかね。
「オリンピックの競技会場で酒を提供するかもしれない」ってあって、それが世論からの批判や反発を受けて、急転直下で「酒類販売を断念します」っていう判断がされた時に「この会議をやってる人は酒飲んで酔っ払って赤ら顔でやってたんちゃうか」っていうのを呟いた。そういう感じのことですね。政治も茶化しますし、アミメニシキヘビが逃げたことも茶化しますし、そこらへんはみんなが広く知ってるようなニュースを取り上げて、笑いにできたらいいなと思ってます。

——このコロナ禍でYouTubeを始めたと言ってましたが、やってみていかがですか?

だいたい週一で『濱田祐太郎のはまゆうチャンネル』で、主にラジオスタイルでの動画をアップしているんですが、割と自由に好きにやらせてもらってるのでほぼ100%満足してますね。

最初、ひとり喋りがやりたいってことで始めたんですけど。めちゃめちゃ楽しいですね。ラジオなので、向こうから姿が見えないから何を言っても別に恥ずかしくないし、姿見られてるって思ったら恥ずかしいことでも、ラジオなら姿が映ってなかったら言えますから。
毎週火曜日に収録をしているんですけど、月曜日くらいになんとなく明日はこういうことを話そうみたいなことをまとめ出してます。

ラジオに限定して言うなら楽しいし僕に合っていると思います。
YES-fmでやってる『オンスト』(月~金16:00~18:00)も金曜日を担当してから、4年くらい経ちますし、ラジオ関西でやってる『ぽこいちラジオ』(第五週土曜日22:00~23:55)も、先ほど言っていた、Twitterを始めるきっかけを作ってくれましたし。

ちなみに番組名は、クロスバー直撃の渡邊さんに“ポコチン座頭市”ってあだ名をつけられたんですけど、その響きがちょっと気に入って、『あつまれどうぶつの森』の「あつもり」みたく略してつけました(笑)。

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声の聞き取りやすさでいうと、ラジオに向いてるのかもしれないですけど、たまに「目の見えてない人とかは、ラジオ向きだ」って言われることがあるんですけど、いやいや、全然そんなことないよと。

そもそもラジオは言葉だけで表現するっていうのはわかりますけど、じゃあその言葉で表現している元々のものって何やねんと考えたら、「この間、あそこのお店に行きました」とか、「この間、街を歩いていたらこんなおっちゃんがいて……」みたいな、元は目で見たものを言葉で表現して繋いでるわけやから、そこがないからめちゃめちゃ難しいんですよね、僕らは。

ラジオは耳で聴くものやから、目の見えない人にはぴったりっというのは安直なことだと思ってます。
ラジオのことをそんなに知らない人やあまり聴かない人とかなら、別にそういうことを言われても、まぁそうなるかって話なんですけど、たまに仕事の身内から言われることがあるのは腹が立ちますね。

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——コロナ禍の中、久しぶりのお客さんありの舞台はどうでした?

これも今回の緊急事態宣言でいうと二ヶ月ぶりくらいにお客さんの前でネタをやったんですけど、いつも通りというか(笑)。まぁラジオで喋っていたっていうのもあるかもしれないですけど。

でも、やっぱりお客さんがいてはる感じはすごくありがたかったし、反応を知ることができるのは嬉しかったですね。リアクションが返ってくるのはテンション上がりますし。

——濱田さんの下半期の動きとしては?

単独ライブに関しては、今まで一回しかやったことないですが、次回やるんだったら、漫談で1時間っていうのをやりたいんですよね。でも漫談で1時間って考えると結構いろんな要素的にしんどいなっていうのがあって……。だからもう少し自分の中で時事ネタをスムーズに作れるようになれば、単独ライブも半年に一回のペースで開催できるかなとは思うんですけど。

基本、今までネタ作りってしたことなかったし、言えば実際、経験した話をしてただけでしたから、新ネタとか、お客さんの前でウケるような出来事なんてポンポンあるわけがないじゃないですか。だからイベントってなかなか難しかったんですけど、頑張っていきたいと思っています。

あとは先にも言いましたが、ひとり喋りのラジオが楽しいので、そのスキルが上がるようにしていきたいのと、YouTubeラジオもさらに充実させていきたいです。

Twitterは炎上しない程度につぶやきたいですね。もし炎上したら対応策はアカウント消すか、iPadを外に投げ捨てるだけです(笑)。

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賞レースは、今までと変わらず予選には出ているので、決勝に残ればラッキーって思うくらいですね。

予選にも時事ネタを入れていったりするので、NHKの賞レースとかで小池(百合子)さんのこととか吉村(知事)さんの事をイジるネタをしてたりするので、なかなか残るのは難しいかなって思うんですけど、それが認められないんであれば、「別に残らんでもいいわ」くらいのスタンスです。

時事ネタをやっていると社会派って呼ばれたりするんですけど、それは別に構わないんですが、自分としては別に社会に訴えるメッセージは何にもないので。ただ茶化してるだけのネタなので。社会派って言われることに関しては、そう捉える人が捉えてるだけのことなので、僕は別に関係ないかなと思ってます。

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——濱田さんの夏の過ごし方は?

基本インドアなので海もプールも行かない。第一、泳げないので家にいてます。今はNetflixとかがありますからそれでアニメ見てますね。子どもの頃にハマっていたアニメ『デジモン・アドベンチャー』を去年の夏は見直してました。あと、『ONE PIECE』は、ずっと追っかけて見てます。この2本がNetflixでやってるんですけど、もう20年以上前の作品ですよ。

一番最初の主人公や登場するデジモンとかとどちらも名前が一緒なんですよ。でも、僕が小学生の時にリアルタイムで見てたストーリーとなんか違うから、「あれ、これどうなんやろ」と、Netflixで見返したらやっぱ全然ストーリーが違っていて、どういう扱いやったんだろうと。
リメイクなのか、パラレルワールド的なことなのか僕の記憶が勝手にリンクさせていたのか……。結局、懐かしくて全部見ちゃいましたね。と、いうことで今年の夏もアニメを見ていると思います。

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ちなみに現在、見ているアニメは『ONE PIECE』に加えて『東京リベンジャーズ』と『イジらないで、長瀞さん』、それと津軽三味線を引くアニメ『ましろのおと』ですね。どれもハマってます。

そうだ! 自分自身、アニメも好きだし、声優さんも好きなので、そういうことを扱った番組をやりたいですね。これは下半期から、来年に向けての目標にしたいですね。

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濱田祐太郎 プロフィール
趣味はフォークギター、アコースティックギター、フィンガーピッキング、大食い。
特技はあんまマッサージ指圧師、針師、自分の好みに合わせて丁度いいかたさでお米を炊ける事。
2018年『R-1ぐらんぷり2018』優勝

濱田祐太郎INFO

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ライター/仲谷暢之(アラスカ社)
撮影/渡邉一生



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