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芸人が語る「お笑いライブ」の醍醐味~アイロンヘッド辻井~

ヨシモト∞ホールで看板芸人として活躍する若手芸人「ムゲンダイレギュラー」に、”お笑いライブの醍醐味”をコラム形式でお届けする企画。

第8回目はアイロンヘッド・辻井亮平
芸人それぞれのお笑いライブの醍醐味をお楽しみください。

自分のライブについて


僕は、僕自身のお笑い能力の自己評価がかなり低いです。

14年間やってきてライブで凄い人達を目の当たりにしてきた結果、あぁ、自分は特別に面白くはないんだなということにかなり前から気が付きました。辻井のお笑い能力は本当に低いのです。これは自分を卑下している訳ではなく、冷静な分析なのでご心配なさらず!

だからこそ、普段自分が出るライブで戦う為に色々考えます。早く気付いてよかったのです。お笑い能力が低くても決して何も出来ない訳ではありません。

僕が楽器を弾いたり、スポーツをやったりして特技をたくさん見せているのは、お笑い能力が乏しいからです。他の人には出来ない特技をたくさん披露し、それをフリにしてボケます。

∞ホールに所属する芸人で、強烈で面白いボケを放つ芸人として大自然のしんちゃんを例にあげましょう。

普通に戦ってはライブでしんちゃんには絶対に勝てません。ならどうするか。しんちゃんに出来ないフリで前に出るのです。


例えば、ギターを弾いてから何か一言ボケる。

ギターが弾けないしんちゃんにはこのボケ方は出来ません。僕なら出来る。

何やったら持ってるギターを弾かないだけでもボケになります。ギターが弾けるからです。これもしんちゃんには出来ません。

こういう事を増やしていくのです。
相手が出来ない事を。

普段からとにかくフリを作ります。僕は面白い人達にボケは到底敵わないけど、フリに関してはまぁまぁ幅広い自信はあります。出来ない強いボケを考えて悩むのではなく、弱いボケでもどう見せて何とかウケさせるかを常日頃考えているのです。

細かいことも考えます。

なら、ギター芸人とライブが一緒になったらまたまた勝てないのか?

そうでもありません。

∞ホールにはギターを弾く芸人は多々います。

例えばトニーフランク。即興で何でも弾き語って笑いに変えます。とんでもない才能です。だからこれと同じ事をしては勝てません。

ならどうするか?


トニーが弾けないジャンルのギターを弾きます。

僕はトニーよりブルースやロックンロールを弾く事に長けています。トニーが弾けないジャンルのギターを奏でてから一言ボケる。

これはトニーには出来ません。

ギターが被ってもその中でまた相手の出来ないジャンルを見つけるのです。

正面からぶつかっては勝てないので、ちょこちょこセコイ事ばっかりやってる様でダサいですけどね!まぁ仕方ないです。自分をわきまえて戦うしかないのですから。

フリを変えるだけで同じフレーズでもウケが全く変わります。ここで悩んでる芸人は本当に多いと思います。

【なんで面白いボケが思い付かんのや?!どうやったら面白いボケを言えるんや?!】

ボケに取り憑かれちゃうんです。芸人は。気持ちは痛いほど分かりますけどね。だってどんなフリでも、それを超える面白い事言いたいんですもん。

でも僕はそこん所良くも悪くも諦めてますから。

フリを考え直してみるだけで同じボケでも意外とウケたりします。

普段からふざけてるイメージのある学生が『プゥ!』って言うより、普段から真面目な校長先生が突然『プゥ!』って言った方が笑ろてまうでしょ。同じ『プゥ!』でも見え方変わるんです。

なので、フリが決められているストレートな大喜利ライブなどではもうタコ殴りにされてます!

自由が効くコーナーなら何とかなるんですけど、こればっかりはどうにもなりません。

ストレートな大喜利ライブ的な時の僕を見ていてください。前に出てくる回数が圧倒的に少ないです。少ないのにやっと出てきた思うたらスベります!スベって『てへへへ!』言うてます!地獄の時間です。そんな時は、

『あ、辻井、タコ殴りの時間やな。』

そう思って見ていてください。

さすれば、そこもまた笑えてきますよ。

他にもライブで意識している点はたくさんありますが、細い事を言い出すとキリがないので今日はこの辺で。大まかにライブでボケる時に意識していることはこんな感じです。また機会があれば書かせてもらいましょう!

ほな失礼します!


■アイロンヘッドINFO

アイロンヘッド新衣装お披露目漫才公演「メイク・アップ」
日時】2022年5月21日(土)開場18:30|開演19:00
【会場】北沢タウンホール(〒155-8666 東京都世田谷区北沢2-8-18)
【出演者】アイロンヘッド
【料金】会場チケット 前売2,500円/当日3,000円/配信チケット2,000円


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