「花一匁」「氷菓子」(2023/11/29)

 暑い日が続く。もういっそ絶滅した方が人間は幸せになれるのではと考えてしまうほど、夏は暑い。
 私はコンビニでソーダ味のアイスキャンディを買って公園のベンチで座っていた。しきりに鳴く蝉が鬱陶しい。

 私はアイスキャンディを袋から取り出して一口齧る。ソーダ味の清涼感がこの暑さをほんの一瞬だけ和らげてくれるのだ。
 公園を見渡すと、休日で体力を持て余しているであろう子どもたちが目一杯楽しんで各々の遊びに興じている。鬼ごっこであったり、ブランコであったり、花一匁であったり。
 花一匁、懐かしい響きである。私も子どもの頃この公園でよくやったものだ。いつの時代も子どもの遊びとは変わらないものなのか。
 子どもの頃といえば必ず思い出す顔が二つ。ハルトとヒナタ。私たちはいつも3人一緒で、楽しい時も落ち込んだ時も共に乗り越えてきた。
 いずれ2人と1人になるだろうことは、わかってはいたけれども。

 鞄から紙切れを取り出す。そこには"ご出席"と"ご欠席"という文字が並んでいる。
 蝉が鳴いている。
 アイスキャンディの青い雫がぽつりと落ちて、紙切れを濡らしてしまった。

 紙切れを眺めていると、子どもたちの声が聞こえてきた。

「負けて悔しい花一匁」

 溶けりゃ終いの氷菓子。



お題提供:ピカソケダリ メロス(花一匁)/ポポポ(氷菓子)

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