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劇団森 新入生へのブログバトン④ 『出会い』

こんにちは、劇団森2年代の小川竜駆といいます。
今回のnoteでは、自分が演劇に出会い、ハマっていったきっかけをお話ししようと思います。

僕の演劇との出会いは約二十年前にまで遡ります。
つまり人生のほとんどを演劇と共に歩んできたといえます。

浅草の小さな大衆演劇の芝居小屋で、白塗りの人々がカラフルな衣装を身にまとい、爆音の歌謡曲で見得を切っている。隣の席では柿ピーを食べているおじちゃんが、座長の名ゼリフを先に言ってしまう。すると、座長がすかさず「おっちゃん先に言うなや!」ってツッコんで大爆笑が起こる。

これが、僕の演劇との初めての出会いでした。

あの原体験の面影を探すようにして、僕は様々な演劇に出会い、その度にその新たな演劇に衝撃を受けてきました。

能楽堂や歌舞伎座の檜舞台、オペラ座や芸術劇場のロビー、下北沢の小劇場の壁、テント芝居の入り口、そのすべてにワクワクする演劇の醍醐味が詰まっていました。

だけど、実際のところ演劇というのは実にコスパが悪いんです。
たくさんの時間やお金をかけて、ほんの少しの人々にしか見てもらえない。
活字や映像のように複製して遠くの人に配ることもできない。

配った途端にそれは映像作品になってしまうから。

絶対に「いま、ここ」にしか存在できないのが演劇の一番困ったところで、でも同時に一番愛すべきところなんだと僕は思います。

遠路はるばるここまで来て、今ここでしか生きられない人やら作品やらに出会う。

たしかにあの頃の芝居小屋では観客が舞台を壊していました。事実しっかりした大劇場のスタッフさんは「乗り出さないでください。」って注意します。
でも、僕はやっぱりあの観客に壊されてしまう演劇がたまらなく好きなんです。そこには分かり合えない人々の異文化交流があって、観客も役者もみんなバラバラなのに分かり合える気がしました。
これこそが演劇の「出会い」の力です。

新しく演劇に出会う皆さん。

ちょっと勇気がいるかもしれません。
新しいなにかに出会うのはそれなりに労力もいるでしょう。

でも、きっと面白いはずです。

少なくとも、僕はまだ演劇の虜です。

小川竜駆


(写真撮影:倉田そら様)


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