演劇に対して(の過程で)感じる愛〜遼〜

どうも清川役の役者、遼です。

運命の人なんていない。
「君じゃなきゃ駄目なんだ」なんて嘘。

そこじゃなきゃできないことなんてない。
「その志望動機なら他の会社でもよくない?」そんなのあたり前田のクラッカー。

でも何故かその人と居る。何故かそこに居る。
演劇への愛なんてのも、きっとそんな感じ。

僕は「演劇大好き人間」ではありません。
キャンプファイヤーみたく熱い何かに惹かれて飛び込んでしまっただけの、一匹の虫。
なんで燃やされ続けてるのに、ここに留まってられるんだろうか。

やっぱり、人間が好きです。情熱が好きです。

まず僕がここに立っているのも、まごうことなき愛の為せる業。別に1回限りの完璧な公演を打ちたいだけなら、経験豊富なベテランと、最強の役者だけを集めればよかったはず。いつだか言われた「君の代わりは他にもいるんだよ」は、目を背けがたい真実。
それでも僕みたいな初役者が選んでもらえた。それはやっぱり、この空間を次に繋げていくため、紡いでいくため。自分の愛した場所を残そうと、それを他者へ向ける。これは間違いなく愛でしょう。やる気しかないくせにすぐ凹む、そんなベイビーな僕を稽古場のみんなが愛情たっぷり育ててくれます。
できないところをどうしたらいいか一緒に頭を抱えて、自分の稽古だって必死なはずなのに僕の稽古を見てはアドバイスをくれ、へこたれた時はチョコくれて、ああ僕はいつもみんなからたっぷり愛情受け取ってます。デカくなるよ、デカくなるよ、代わりなんていなくなるくらいに。期待に応えてみせましょう。

僕は斜に構えているし、自己開示も苦手だし、高校卒業してから本当の友達ってやつをつくるのは大変です。それでもそれでも、仲間ができた。
ちょっと前まで顔も名前も知らなかった相手と、週6で稽古をする。姿は見えないけれど、他部署で舞台を立ててくれる人がいる、ステージを照らしてくれる人がいる、目に訴えかける衣装を、耳に訴えかける音楽を、こんなものを書く場を、全力で用意してくれてる人たちがいる。
この歳になって何十人もの誰かと一つの物を創るために汗を流せる、なんてことはそうそう無い。話す言葉も生まれも育ちも年齢も違うけど、同じところを見ているなら、きっともう僕らは仲間なんでしょう。

そもそも、これだけの時間と感情とエネルギーを捧げたところで一銭だって稼げやしない。それどころか友達との付き合いを、バイトのシフトを、単位を削ってここにいる。
愛の一言で済ませてしまえないほどの、
溢れんばかりの感情を携えて。
そこに何もないわけ、ない。
演劇に限らず、良い表現に触れるといつも思う。「グッときた」よりも「上手かった」が先に込み上がってくるものなんて、軒並みクソだと。拙くたっていい、泥臭くたっていい、何か迫るものがあれば、それでいい。

本番までの2ヶ月、
嫉妬も怒りも焦り葛藤も、
ぜーんぶまとめて。
ここに湧いた感情を全部、愛に変えて。
客席に届けられますように。
舞台裏に届けられますように。

恥ずかしがらず口にしましょう、
みんなのこと大好きです。

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