人面藻
モリの木の幹には人面の模様が浮かび上がるという伝承があるらしい。
真相に興味を持った生態学者たちは
モリを管理する国の機関に許可を取って足を運び、確かにそこで人面模様の幹を見つけた。
ところどころに赤褐色の筋が入った灰色の木肌に、大きな卵形の紅色、燻んだ黄色、艶やかな橙、ライムグリーン。色彩豊かな人面模様がポスターのようにへばりついていた。
人面は剛毛で、模様のどこに触れても毛むくじゃらであったそうだ。
学者は調査後に体調を崩した。
人面模様から採取した毛状のサンプルを分析したところ、遺跡の石垣でよく発見される生き物と近からずも遠くない"地衣類"と呼ばれる藻類と菌類の共生体であることを解明した。
学者は人面藻が見つかった世界自然遺産モリを論文中で"不気味の森"と表した。
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