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大手企業が先行する共同輸送

サントリーと大王製紙が共同輸送を強化するそうです、これは2022年夏から鉄道による関東関西間のコンテナ輸送やトラック混載を始めていたのですが、これを強化し関東四国間の輸送も拡大するそうです。これは、もともと片方が少なく、片方が多い輸送量をシェアすることで輸送の効率化、コスト削減にメリットがあるとのこと。これには、迫る2024年問題への対処にもなるということだそうです。

ちなみに、2024年問題とは、労働環境改善の政策によりドライバーの時間外労働時間の上限が年間960時間になるとのことです。そのため、トラック輸送においては、労働者の数にも限りがあるため輸送できる物量が抑えられてしまう問題です。この政策、一見経済を止めてしまう様な感じもしてしまいますが、トラック運転者の過労による事故の問題があることと、実際に労働者が過酷な状況に置かれているので、制限がかかることは仕方ないと思います。また、この背景にあるもう一つの理由が二酸化炭素(CO2)排出の削減です。SDG'sの流れでいけば労働環境の改善とGreen対応にもなるわけです。この観点では、モーダルシフトにより長距離輸送がトラック中心から鉄道や船舶に切り替わっていくという背景もあります。

そこで、限りある物量を共同輸送により融通し合うことに取り組んだのが今回の話につながっていくわけです。大手企業ではこの共同輸送に取り組み始めているところが増え始めています。

今回の話は大手企業の話ですが、物流の問題は中小企業にとっても大きな問題になっています。というのも、最近の原油高により輸送コストが上がりつつあるからです。さらに、2024年問題により、物量が細る可能性があるため。何かしらの対応が必要になってくると思います。その解決策として共同輸送は有効だと思います。中小企業が集まってこの取り組みを行うためには、何かしらの共同体をつくりや協定などつくり、輸送会社との交渉のうえ進める必要があります。この場合は、集まった会社の中でリードする会社が必要になります。なので、言うは易し、行うは難しと言うことです。

とはいっても、ニーズが高まればサービスというのはどんどん生まれてくるので、共同輸送のサービスがこれから多く立ち上がるとも思います。(共同輸送のマッチングサービスなどはすでに存在する。)

この様な取り組みを実際に進めやすいのは、同業者の組合や、同じ地域のつながり(商工会)などでしょうか?ただ、一番難しいのはそれぞれのニーズが一致していないといけないという部分ですね。なので、マッチングサービス等は有効な気もします。

先の、サントリーと大王製紙の場合は、サントリーは関西から関東への輸送量が少なく、大王製紙は多い状況だったので、今回の共同輸送によりトラックから鉄道コンテナへの切り替えが有効だったそうです。また、サントリーは関東から四国への輸送量が多く、大王製紙が四国から関東への輸送量が多いため、共同で鉄道コンテナをシェアすることで往復の積載量をフルで積み上げることができるそうです。これがマッチングの好例ですね。

ちなみに、コンテナは、行きも帰りもフルで運ばないとコストとしては割高になるため、業者も片道が空なのは嫌がります。最近は日本の港の利用量がおちてしまい、アメリカから日本行きのコンテナ量が激減してしまった(コンテナを利用したくてもコンテナが来てくれなく使えない)という問題も起きてきています。こちらは港湾政策の改善が求められているところです。

今回は、SCMの一番わかりやすい物の輸送について話をしました。実はSCMって結構奥が深くて、ちょっとした改善で劇的にモノやサービスの流れがスムーズになり、経営にとって良い効果を生むモノです。しかし、なかなかその部分を理解してもらえないために、結構無駄が生じています。こんな話をしたきっかけが、私が所属する診断士協会の組織でSCMをテーマに何ができるかを考え始めたからなのです。今後もこのSCMをテーマにこちらのnoteでも発信して行こうと思いっています。

いずれにしても、共同輸送をリードする何かしらの機関や取組む会社が増えていくことを望むのが現状と言えますね。


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