心の声。

普段は、はんなりの関西弁を話すことが多いけれど、会社ではフツーに標準語を話すようにしている。心の距離が近い人であれば話し方なんてどうでもいいけれど、仕事で関わる人たち全員とそういうわけではないからだ。

年末のある日、多すぎる会議とトラブルの連発でいつもはかなり楽観的な私も疲れと苛立ちがピークになっていた。そんな状態で参加した会議。会議は、ファシリテーターを誰がするかで大きく展開が変わる。カタカナで書いてみたけれど、簡単に言うとその会議を仕切る人という意味なのだけれど、そのポジションはかなり重要で、仕切り屋がグダグダだと会議そのものも結論が出ないままに終わってしまう。
その日の会議の仕切り屋は、事前に資料も送ってこなければ、会議が進んでもホワイトボードもろくに使わず、ひたすらだらだらと話していた。
苛立ちが顔に出ないようにするのが必死で、いい加減誰か彼を何とかしてくれと思っていた。
しかも主催は私の部署ではなかったから、でしゃばることもできず苦しい状況。
仕切り屋の彼もだんだん皆の苛立ちを感じてきたのか、ますます支離滅裂な展開に突入していた。
一瞬、彼と目が合った。
その時の内容は微妙に私の部署と関係がなかったのもあり、「知らんがな」と思っていた。
すると、その場にいた人が一斉に私の方へ顔を向けてきた。舞台でよく見るちょっとオーバーなリアクションな感じ。何も反応していないのに大げさなと思っていた。

会議が終わると、仲良しの人が「あのタイミングでの知らんがな、おもしろかったね」と言ってきた。

口からではなくいきなり血管にアルコールを注入されたらこんな感じかも、というくらい顔から全身にいたるまで真っ赤になっていた。

知らんがなという言葉を発したのは違う人です!
誰かがきっと乗り移ったのです!
と、街頭に立つ立候補者のように、会議の参加者全員に右手で握手、左手をその相手の方の手に添える勢いで一人ずつ言って回りたかった。

疲れているときは、出来るだけ脳内で感情をあふれさせないようにしようと心に誓ったあの日。

次の会議では、顔は全く上げずに資料に没頭しているフリをした。

温かいお気持ち、ありがとうございます。 そんな優しい貴方の1日はきっと素敵なものになるでしょう。