恋愛弱者の日常
今日起こったことをありのままに話すぜ!!
今日はとある通知の音で目が覚めた。時刻は朝の6:30
いつもならそんなもの気にせず二度寝三度寝を繰り返し7:50までぐっすり寝ているはずだった。
でも、なぜだろう、なんだか嫌な予感がした。
ゆっくりとスマホの画面を確認する。
そこに表示されていたのはインスタのフォローリクエストの文字。
だれだこんな時間にと目を開く。
そこには元彼の名前がデカデカと表示されていた。
は????????????
一瞬で眠気が覚める。脳みそがフル回転した。
頭はハテナマークでいっぱいだった。
元彼?あの赤髪の?
伝説のnoteにて私に一生消えない言葉を吐き捨てたクソ男?私の頭を殴って音信不通になったあの??もう何事かと一瞬で正座になる。落ち着け。たぶん幻覚だ。寝起きで頭が変なんだ。
一度深呼吸してまじまじと確認した。
これは幻覚では、ない、このゴールデンレトリバーのアイコン、約1年忌々しくも私のトーク画面に居座っていたのだ。見間違えるはずがない。
奴だ。
過去を思い出して胸が苦しくなる、心臓の鼓動が早くなるのを感じた。
唐突なフラッシュバックに頭がクラクラする。
気が動転しすぎた私はなぜかリクエストを許可してしまった。
私はなんて馬鹿なんだろうか。
こんなにボロカス言ってはいるが、それでもかつては私の想い人。たくさんの困難苦痛を経験したが一時でも愛していたのは事実である。微かな期待、同情、憐れみ、気色悪いノスタルジックな感情が私をそうさせたのだ。
きっとこれは悪い夢だと思いもう一度布団を被る。そうして私は現実から目を背けるように眠りについた。
なぜこんなに動揺してしまったか。
訳を話したい。
目覚める数秒前、私が見ていた夢の話を。
朧気な記憶、その時なぜか私は無性にイチゴを求めていた。つい先日、現実世界でしっかり食べたというのに、奴らは夢の中にまで侵食してきた。
スーパーの買い物袋を手にどこかのエレベーターに乗る私。袋の中身はもちろんイチゴ。
甘ったるい香りに包まれて、気分は最高潮。
扉が開いた、その時である。
奴が現れた。
現実世界でも、夢の中でも、既に過去の人となった人物。
イチゴのような赤髪の、元彼が。
刹那目が合う。
お互いに軽く会釈を交わし、私は逃げるようにその場を去った。
場面は自室に切り替わる。
イチゴを頬張りながら先程の光景を思い出す。
そういえばあんな顔だったな。ぶん殴りたくなるような腑抜け顔、ヒョロガリのそれは確かに昔愛した男だった。
嫌なもんを見てしまった。
ピロン
通知だ。インスタから。
DMだ。
誰からだろう。
差出人の名前を確認する。
そこには、
元彼の名前があった。
「やっほーげんき?」
「さっきおったよな笑 イチゴうまそう」
お分かり頂けただろうか。
そう、正夢だったのである。
このクソほど中身のないメッセージを読んだ数秒後、私は目を覚ます。
例の通知によって。
そのため最初、私は夢と現実が混合しているのだと錯覚した。
まさか現実だとは思いもしないであろう。
なんせ奴は完全に私の前から姿を消し同時に縁も葬ったのだ。
なぜ、今更、、?
私には現在、お付き合いしている大切な彼氏がいる。
未だに私を不幸にするのか、お前は。
いつまでも私の貴重な心のスペースを陣取るてめえは一体なんなのだ。
頼むからもう邪魔をしないでくれ。
私は、幸せに、なりたいんだ。
ピピピッ
アラームの音で目が覚める。時刻は7:50
どんよりと重い足取りで起き上がる。
視界に入るスマホ。
もう現実であることくらい、とうに分かっていた。
出勤する。
奴からは何も来ていない。メッセージが来るものだと身構えていたが、拍子抜けだ。
どうせ何か来たとしても、私は彼氏がいる身。しょうもない内容ならすべて無視してTPOで返してやるつもりだった。
1時間後、まだなにもこない。
私はその間、とてつもない罪悪感に苛まれていた。
彼氏の事を考えていたのだ。
まだ何も会話はしていないが、繋がっているという今この瞬間が裏切り行為ではないかと心底悔やまれた。
ここで一度断言しておく。
元彼にもう未練はないと言っちゃ嘘になるが、もう一度付き合いたいとは全く1mmもスーパーミラクル思っていない。
こいつといると、私は不幸になるのだ。
「元」がついている事がその証明といえる。
私は今の彼氏を愛しているのだ。
私はこの人と幸せになりたいのだ。
しばらく考えたあと、私の大親友、もとい元彼との仲を取り持ってくれた張本人に一通のメッセージを送る。
「元彼からフォロリク来たテラワロスʬʬʬʬʬʬʬʬ」
たぶんこんなかんじ、いや実際はもっと深刻だったな。
そこで私は己のしでかした罪と向き合う。
親友は、繋げた私にも責任があると言わんばかりに自ら仲介役を買ってでてくれた。
親友が元彼に、どういうつもりなのアンタ?!?とメッセージを送る。
哀れな奴と違い私が既に彼氏持ちであること。
私に未練がないのならもう関わるなということ。
奴はどうやらお手つきの私に興味はなかったらしい。
そう聞くとあっさり身を引いた。
未練があったのかなかったのか、今ではもはやどうでもいいが、半端な気持ちで関わるなということ、もし未練があるのならなぜあの時私を大事にしてくれなかったのかということ、色々な感情が私を揺さぶった。
親友のおかげで私たちはすぐにいつもの日常を取り戻した。
フォロワー欄に、元彼の名前はもうなかった。
私はそっと元彼のフォローを解除した。
もう一生会うことはないだろうけど、おまえも幸せになれよ。という気持ちを込めて。
結局一言も会話を交わすことはなかったが、脳裏に浮かぶ奴との思い出が懐かしくもあり、寂しくもなり、憎らしくもあった。
人生とはこんなもんだろう。
おばあちゃんがよく言っていた。
出会いがあれば、別れがある。
とりあえず、あの夢は一体なんだったのだろうか。こんなにも見事な正夢は初めてだ。
赤髪の分際で夢にまで侵食してくるなんて。
生霊でも飛ばされていたのだろうか。
私は親友と縁切り神社に行くことを約束した。
かつての想い人の登場に胸騒ぎを覚えたが、なんとか平和を取り戻し安堵する。もうあんな恋はこりごりだ。
恋愛ほど人の心をかき乱すものはない。
今は大好きな彼氏と共に、新たな人生を再スタートさせるのだ。
そして絶対に幸せになってやる。
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