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30代からのイギリス大学院留学:Personal Statementの作成方法&合格した実物を公開


こんにちは、gegegenta_です。

今回はタイトルの通り、Personal Statement(PS)の作成ステップや注力したことを紹介したいと思います。
また実際に提出し、無条件合格をいただいたPSを公開します。
(個人情報のカタマリなので、こちらは有料エリアにします)

前回の記事にも記載しましたが、私は

  • 30代

  • 大学時代の専攻と異なる

  • 職歴とも直接は関係なし

という状況で大学院に出願しています。同じような状況の方で(もちろんそうでなくても)イギリスの大学院への留学を考えており、これからPersonal Statementを書く方はぜひ参考にしてみてください。

Personal Statement(PS)とは

イギリスの大学院(主にTaught Masters:研究ではなく、講義中心のコース)に出願する際に提出する書類です。
応募書類の中で最も重要です。ある大学の事務局担当者の方によりば、多少成績が足りなかったり、学歴や職歴がマッチしていなくてもPSが良ければ通過する場合もあるし、逆にそれらがよくてもPSの内容が弱いと不合格になる場合もあるそうです。
制限字数は、私が出願した学校では最小で500words, 最大で1000words程度でした。この字数の中に、専攻のテーマに興味を持った理由から、関連する過去経験・この大学で学びたい理由・将来のビジョンを詰め込みます。

PSの構成

PSは、「自分はどういう人物で、なぜ貴校で学びたいのか、そしてなぜ合格するに足る候補者なのか」を端的に説明するための文章です。
大きく以下のような章立てになります。詳しくは留学コンサルや各大学のHPにも記載があるので、ぜひ調べてみてください。

  1. 書き出し・専攻に関わる興味や問題意識をもった理由

    • たくさんの応募種類の中から「おっ」と思ってもらえるような書き出しから始めます。

    • 主に、この専攻に興味を持った理由や持っている問題意識、学びたい理由を記載します。

  2. 過去の学歴や職歴、そこで得た・実践した学びや経験

    • 自己アピールの章です。大学の専攻や課外活動、インターンやフルタイムの職歴、その他ボランティア等の経験について記載します。

    • 作成のポイントの箇所でも述べますが、ただ羅列的に書くよりも、大学院の専攻領域につなげる・優秀な学生であることを伝えるのがポイントです。

  3. 大学院で学びたいこと、この大学院を選ぶ理由

    • これまでの経験を踏まえ、「次のステップに進むために大学院で学びたい、具体的にはこういう内容を学びたい」ことを書きます。

    • また「なぜ(他校・他コースではなく)この学校・コースなのか」に答えるための理由を列挙します。始めからやりたいことと志望校が明確に決まっている場合は易しいかと思います。

    • 詳細は後述しますが、私の場合は検討開始がやや遅く、解像度が低かったので、コースの比較検討と並行しながらPSを書く、というよりはPSのドラフトを思考の整理の場として活用し、書いてみてしっくりこないor書けない場合はインプットを入れて修正・アップデートする…というプロセスを踏みました。

  4. 大学院修了後の進路イメージ

    • 大学院終了後、大学院での学びを活かしてどういった進路に進みたいかを記載します。

    • 自分の進みたい進路がその大学の卒業生の進路と大きくズレていないか、大学院で学んだ内容とリンクしているかを確認しましょう。

  5. (結び)

    • 限られた字数で最大限アピールするためにも、「一生懸命頑張りますのでよろしくお願いします」のような中身のない文章にならないようにしたいですね。

    • 私はエッセイ全体で述べた「大学院で学んだことを活かしてこういった形で世の中に貢献したい」という内容を再度サマライズする形で結びの文章としました。

作成のポイント①:これまでの経験をかき集めてストーリーを練る

PSでは、これまでどんな学業や職務経験を積んできたかを記載します。そこではただ羅列するのではなく、以下の2点をアピールすることが重要です。

  • これまでの経験が大学院の専攻分野に繋がっていること

    • 関連する学歴や職歴があればベストですが、こじつけでもいいから繋げることが大事です。

  • 自分が優秀な学生であること

    • 優れた成績や業績があればベストですが、それ以外でもリーダー経験や異文化経験、ストレス・プレッシャー耐性など、周りの学生や教授とうまくやれます、大学院の勉強をやりきれます!と示せるものがあると良いでしょう(就活と同じですね)

とはいえ、特別な経験やスキル、この分野でアピールできる経験や実績なんてない!という方も多いと思います。

ただ、何かしらこの分野を学ぼうと思った理由やきっかけはあるはずですし、これまでのお勉強やお仕事、その他の活動で、何らか自分の身になったような経験があるはずです。
そのときは今の専攻に繋げようと思ってとった行動でなくても、何らか今の専攻につながる学びや気付きがあったとか、こじつけでもよいので、「こういうきっかけでこの分野に興味を持った」「仕事を通してこういう経験やスキルを得て、大学院に行ってもっとこういうふうに視野を広げたいと思った」というストーリーを練りましょう。

私の場合はこんな感じです。

  • 大学時代から国際協力に興味があったので海外のローカルなNGOでインターンし、人々を助けるにはかえって国家・超国家レベルの枠組みや政策が大事だと感じた

  • 就職してUXコンサルの業務を通してインタビューやリサーチ、課題解決のスキルを培った

  • 人生が進む中でジェンダーやセクシャリティに基づく格差や差別の問題を見聞きしたり、実感するようになり、転職した会社では採用AIのジェンダーバイアスの検証を行ったりした

  • が、ビジネスで片手間的に取り組むことの限界を感じたので本格的に勉強して、ジェンダー/セクシャルマイノリティの権利保護・向上をキャリアを通して取り組んでいきたい

どれも当時は今の専攻に繋げようと思ってやったことではなく、その時その時の興味関心とか、偶然やったことばかりです。
それを結果的にではありますが、私が今ジェンダーや人権を勉強する理由になっている!というふうに繋げました。自分なりにConnect the dotsしていくような感じでしょうか。

作成のポイント②:思いの強さよりも、何をしたいかを具体的に

最初のパラグラフでは、専攻分野への興味や持っている課題意識について記載するのですが、私は最初のドラフトではすごく気合を入れて「女性やLGBTへの差別をなくしたい!」という思いを実際の体験も交えて書きました。
ところが「熱意は伝わるけど、やりたいことが漠然としていて広すぎるね」というフィードバックを受けてしまいました。

どうやら「幼少期に病気になったときに医者に救われたので私も医者になってみんなを救いたいです」的なストーリーはありきたりなようで、それよりも実際に何を勉強したいのか?その経験を活かして修了後どうなりたいと考えているのか?という具体性が大事だそうです。

私にとってはジェンダーや人権は未経験の分野で、どんなことが勉強できるのかの解像度が高まっていなかったので、基礎的なオンライン講座を見たり、入門レベルの本を読んだりして、こういう問題に取り組みたい!というのをできる範囲で具体化して書いていきました。

作成のステップ

私の場合、ざっくり「女性やLGBTがもっと生きやすい世の中にしていきたい」ぐらいの課題感があったのですが、興味に合いそうなコースがたくさんあり、かつそれらの違いもあまりわからなかったため、最初の段階では学びたい内容も、志望校も絞りきれませんでした。
ただ時間もあまりなかったので、いったんPSのドラフトを自分の思考のアウトプットとして使い、しっくりこない・内容が浅いと思ったらインプットを増やして書き直すという進め方を取りました。

ステップはこんな感じです。

  1. まずは一通り書き方や参考例を読み込む

  2. メモを日本語で書いてみる

  3. 漠然としているので、ジェンダーやLGBT、人権、開発学などに関する本や記事を読んだり、オンライン講座を見て、自分の動機や学びたいことを言語化する

  4. 各校の紹介ページやコースモジュール、オンラインの掲示板などを漁って学べる内容の違いを比較し、どれがより面白そうか考える

  5. 3.4.をもとにメモをアップデートし、英語版のドラフトを作成する

  6. PSレビュー※を受ける

  7. 2−4をもう1周し、日本語のメモとドラフトを書き直す

  8. ドラフトを留学コンサルに提出し、添削を受ける(主に文法や語彙)

  9. 添削内容の反映+字数や各校のコースに合わせてカスタマイズ作成

  10. 再度添削に提出し、最終化

大体2ヶ月半ぐらいかかりました。事前に十分に興味・関心や問題意識が固まっており、志望校も固まっている方ならもっと早いと思いますが、私のようにどちらかというと留学したい!という気持ちが先にある人でも何とか書けるんだなという例としてご参照ください。

※PSレビューと添削は、留学コンサルが提供しているサービスです。
これは本当に受けてよかったです。
レビューでは、実際にネイティブの大学教員の方にドラフトを見ていただき、貴重なアドバイスをたくさんいただけましたし、添削も複数回していただいて、最終的にはお褒めの言葉もいただき、自信を持って提出することができました。
文法などの個別のアドバイス以外では、特に以下が役立ちました。

  • パラグラフ(章)ごとに伝える内容を意識して、話が混ざらないようにしっかりと構成しよう

  • 選考担当者の立場に立って考えよう

余談ですが、インターネットでPSに関する記事を色々見ているとPSではI was〜とかI did~のように、Iを使うなというアドバイスが散見されます。
ただ、特定のトピックを客観的に論じるレポートや論文ならともかく、自分の経験や実績を書くエッセイでIを使わないのはさすがに無理がありますよね。
もちろん大半の文がIで始まるとちょっと拙いというか、中高生の英語のような印象になるので書き方にバリエーションはあったほうが良いですが、Iを使わないことにこだわりすぎる必要はないと思います。私のPSでもバンバンI使ってますが合格もらえたので。

本編は以上です。
これから海外やイギリス大学院留学に出願する皆様、頑張ってください!
ご質問があれば、Twitter(X)のDMなどでお送りください。


以下、有料パートでは実際のPSをアップしております。

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