日常の練習 2/28

心が減速している。朝から家を出るまでに本を読めるようになった。これまでは出勤までが憂鬱で、カンフル剤のようにテレビのお笑い番組を観ていた。その日のニュースなんかチェックしなかった。どうせ昨日までのニュースとなんら変わらないし、それは昨日家に帰る前に少しだけ触ったSNSで充分に把握できているから。出勤前に多くの人がそんなものを観ているのが理解できなかった。でもそれはたぶん、私が刺激を求めすぎていたからだと思う。本を読むようになって思う。私は平穏な時間に続く憂鬱な勤務時間が怖かった。私の人生がこのまま終わってしまうようで嫌だった。だから、少しでも華やかになってほしいと祈りを込めて、朝にお笑い番組を観るようになった。だけど、最近はお笑い番組と勤務時間の落差に疲れてきていたのだと思う。日常の面白さと非日常の面白さは違う。ハレとケ。生活をおろそかにしてしまう癖があるのは、日常の面白さと非日常の面白さに優劣をつけ、後者のほうを重視してしまうからだ。別の面白さがあるからいいのに。最近はそう思える。少しだけ生活に前向きになれている。

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