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【IRIAM】音楽著作権 IRIAMライバー向けまとめ

皆さんは音楽著作権についてきちんと理解していますか?

私はできていません。

音楽著作権関連の話はややこしく、深く考えれば考えるほど複雑化していきます。

IRIAM事務所のスタッフとして働き、ライバー向けに説明をしたり資料をまとめたりする立場ではありますが、完全に理解しているかと尋ねられると、強くうなずくことができません。

なので今回は備忘録がてら、IRIAMで音楽利用する場合に的を絞って、簡単にまとめてみます。(ついでにXの場合も軽く触れます)

弊社で所属ライバーにご案内するために作成した資料を一部引用するので、参考になれば幸いです。


IRIAMでできる「歌枠」

そもそも歌枠とは、というお話。

文字通り歌に関わることを主目的とした配信ですが、IRIAMでしようと考えた時、あまり気兼ねせずにできることは以下となります。

  • アカペラで歌う

  • 弾き語りをする

  • 演奏する

  • 歌詞を読み上げる

後ろの2つは歌枠かといわれると微妙ですが、それは置いておいて、IRIAMで問題なくできることは以上になります。

IRIAMは音楽著作権の管理団体であるJASRAC・NexToneと契約しているため、それらが著作権を管理している楽曲に関しては、利用申請さえ上げれば上記4つを行っても著作権侵害にあたりません。(著作権については後述します)

あれ?カラオケ配信は?

カラオケ音源(オフボーカル音源)を流して歌を載せる。

配信を見回しているとよく見かけるコンテンツですが、実はめちゃくちゃハードルが高いです。権利関係が複雑なので、気軽にやっちゃダメです。


IRIAMでカラオケ配信するには

説明は後回しにして、IRIAMでカラオケ配信をしたいという場合、

  1. 音楽著作者の許諾を取る

    1. JASRAC・NexTone管理曲の場合はIRIAMから利用申請を上げる

    2. JASRAC・NexTone管理曲でない場合は著作者本人から許諾を取る(※)

  2. カラオケ音源製作者の許諾をとる

以上の2点が必要となります。

(※1-2:JASRAC・NexTone管理曲でない場合は直接連絡して本人に許諾を得ることは実質不可能なので、著作者の運営サイトやSNSアカウントにて利用可否が書いてあるかを確認してみてください。記載があればその内容に則って利用OK、記載がない場合は楽曲自体を使用しないのが確実です)


カラオケ音源の制作者にも許諾をとりましょう

YouTubeチャンネルなどアップロードされているカラオケ動画。
そこで使われているカラオケ音源(オフボーカル音源)には著作権とは別の権利が発生しています。

よって、カラオケ音源を作った人や団体には、楽曲そのものとは別に、音源を使用して良いかの許諾をとる必要があるのです。

カラオケ配信を見て回っていると、IRIAM上での楽曲の利用申請はきちんと上げていても、カラオケ音源の制作者から許諾を得ていないことが多い印象です。音源を使う際はカラオケ音源制作者からも許諾を得てから使用するように気を付けましょう。

まずIRIAMでの歌枠のやり方としてはそういうものだと思っていただけたら結構ですが、
以下に少しややこしい説明を書いておきます。


著作権と著作隣接権

ざっくり「著作権」「著作隣接権」という2つの概念があります。
それぞれの説明と、違反となってしまう場合の具体例を見ていきましょう。

著作権

著作権は作曲者・作詞家、曲を作った人(著作者)が持っている権利です。
作った音楽をどこで誰が使っていいか、使うにあたってお金をとるかなどを決められる権利となります。

著作権を著作者が直接管理すると、作った楽曲を広く公開したり、有名になったりした時に管理が大変になります。音楽を使いたいという依頼に対していちいち対応し、勝手に使われてしまったときに著作者本人がとがめる必要が出てしまいます。

そこでそうした手続きを仲介してくれるのが、JASRACやNexToneといった著作権管理団体です。

著作権管理団体は使用依頼への対応、許諾のない使用の取り締まり、使用料の請求などを代行してくれます。

著作権違反の例

IRIAMはJASRAC・NexToneと契約しているのでそれらが管理している楽曲は使用できる、というのは前述のとおりですが、逆に、管理していない楽曲を歌ってしまうとアウトとなります。

この例外にあたりやすく引っかかりやすいのはボカロ曲です。ボカロPに限らず、インディーズミュージシャンや、一部のメジャーなミュージシャンも著作権を自己管理している可能性があります。

著作権管理団体に登録していない楽曲は、個別に著作権者(作曲者)本人に使用許諾をとらなければなりません。

(が、直接連絡して本人に許諾を得ることは実質不可能なので、著作者の運営サイトやSNSアカウントにて利用可否が書いてあるかを確認してみてください。記載があればその内容に則って利用OK、記載がない場合は楽曲自体を使用しないのが確実です:再掲


著作隣接権

著作者(作曲家)本人ではないものの、楽曲に関わっている人・団体に認められる権利です。実演家(楽曲を演奏した人)、レコード会社、放送局が持っています。

カラオケ音源の制作者が持っている権利はこれです。

著作隣接権と一口に言っても色々な権利が含まれているのですが、ライバーが気にするべき点は、それぞれ自分の携わった楽曲の二次利用を制限できることです。

また、JASRAC・NexToneなど著作権管理団体の管轄外になり、IRIAM側で許諾をとっていないところとなります。

よくある質問:カラオケBoxの歌枠は問題ない?

結論、カラオケBoxでの音をそのまま使って配信で歌枠を行うことは著作権違反でNGです。

楽曲の著作権はクリアされるかも知れませんが、カラオケ音源に関してはJOYSOUND、DAM、UGAなどを運用する各企業が実演者として著作隣接権を有しています。

つまりカラオケボックスでカラオケ配信をする場合、各企業から音源の使用許諾をとらない限り、著作隣接権を侵していることになってしまいます。

(※ちなみにカラオケBoxの音源を使わず、配信のための防音室やスタジオとして使用することは出来ます。そして音源を使う場合は音源配布元の許諾を得たものを自分で持ち込んで利用する分には問題ない、という位置付けになります。)

YouTubeチャンネルに掲載されているカラオケ音源も同様です。音源の製作者から許諾を得ないと著作隣接権違反です。

個人的にカラオケ音源を製作し掲載しているチャンネルは多いですが、事務所のスタッフとしてリサーチしてみた結果、IRIAM配信に使用許諾を出しているチャンネルは少ないと分かりました。

IRIAMはギフトを完全に禁止する機能がないので、商用利用と判断される場合があります。
また事務所に所属している場合も問答無用で商用利用となり、使用料を請求される場合がほとんどです。


余談:クラシック音楽の音源

著作権が切れているクラシック音楽でも、演奏家やCDなどにしたレコード会社、あるいは演奏会などを放送した放送局に著作隣接権は発生します。

BGMなどにクラシック音楽を利用する際は注意しましょう。


ならX(旧Twitter)は?

Xに投稿する場合、IRIAMでカラオケ配信をするよりシビアです。

なぜならXはJASRAC・NexToneと包括契約を結んでいないため、JASRAC・NexToneが管理する楽曲を使用して歌を投稿したい場合、まず原曲の著作権から許諾を取る必要があります。

なので基本アカペラすらダメです。

ただ、抜け道もあって、動画として直接アップロード投稿するのではなく、YouTubeなどに投稿した動画リンクを投稿に貼るのはセーフなので(!?)Youtubeを上手く使って対応してみてはいかがでしょうか。


まとめ

このように権利関係がややこしいため、軽率に歌ってみた配信をやってはいけません。

でも歌枠を開いてる人は多いけど?

と思われるかもしれませんが、知ってか知らずか権利侵害をしている可能性がかなり高いです。

この辺、無法地帯になっているのが実情ではないでしょうか。

音楽に限った話ではありませんが、他者の権利を守ることは、自分の身を守ることに直結します。例えるなら、信号無視をしていたら事故にあっても文句は言えない、という事です。

カラオケ音源の利用は本当に微妙なラインですので、楽曲ごとに使用許諾を確認する必要があります。配信で使用する前によく確認しておきましょう。

事務所所属の方は事務所と相談してみるのもいいでしょうね。

以上、歌枠周りのややこしいお話でした。



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