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上を向く手

著作.岩満陽平

上を向く手

海岸の近くで知性や力について考えていた
力の頂点にはいつの日かの幼げな自分がいた
知性はまだ頂点に達してない、それが私だった
まるで大きかったはずの私は、新たな術を身につける為、小さくなったようだ

「林の黒板に、私が夜空に昼飛んでおり、
それは私ではないとか翼がないとか
時折、度の強くない、度の強い、酒を食べる」

こんな支離滅裂なわけ分からん人間だった私は誰にも分からない世界が内側にあった

私は、力などあまりないと思っていたのだが、実は日本一くらい力が強かったのだ
過去世はね、

その過去世は、今世に紛れていたんだ
だが、途中から、ほんとに今世だけになる分かれ目があった

そこには知性しかなくなっていた

トンネルを抜けると、下降気味に道が連なっていた、あたりは、海の近くらしい潮の香りが漂う、空腹に耐えられないような感覚になる

強さに未練がなくなり、頭がこんなに変だったのかと、自覚するにもまた大分時間がかかった
強さはなんとなく、俺より強いのはいくらでもいる、人に喧嘩売るような気にもならんかったが
知性の世界へ移行すると、私は、ほんとに未熟であった
私の知性は赤ちゃんであったのだ、才能があるとか言う以前の問題だ

下降気味の道をしばらく走ったあと、車から降りた、そこには薄ぼんやりと、黄色や白、緑、色んな色が、散らばっていた、それに触れようと手を伸ばすと、手は上を向いていた。

手は上を向いている、という道の始まりであった。


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