見出し画像

発達障害と感覚刺激 ~その4~

発達障害を持つ私も娘も、
それぞれに感覚刺激に対する
過敏や鈍麻を持っています。

感覚過敏は、刺激を感じすぎて辛い。
感覚鈍麻は、刺激を感じにくくて困る。

しかも、他人に理解されにくい。

どちらも、自分で
コントロールできるものではなく、
訓練できるものでもないので、

発達障害を持つ人間の生きづらさの原因の
大きな部分を占めるものだと
当事者としては思います。

今日は当事者だからわかる
感覚刺激への困り感や
個別にしている対処法を書いてみます。

今回は、前庭覚の鈍麻についてです。

前庭覚の鈍麻(娘)

娘は、幼少期にある行動をしていました。
それは、その場でクルクルと回転することです。

当時の私は、娘の自閉症を
この行動を見て確信したものです。

私が昔から知っていた自閉症の人の
イメージそのものだったからです。

娘は、公園の一角や家の中などで
ひたすら回っていましたが、
全く目が回っておらず、
ピタッと回転をやめた直後でも
眼振もないし、体をふらつかせることは
全くありませんでした。

特技にも思えますが、
娘の脳は、目がまわるほど体が振り回されて
体内の血液が遠心力で偏っても気づけず、
もう止めようと思えないので危険なのです。

これが感覚鈍麻の怖いところ。
人間は、痛いとか熱いと思うから
その原因になることを止めようと思えるし
不快だと思うから、危険な状態を回避できます。
でも感覚鈍麻を持っていると、
身に危険が起きても気づきにくく、
身体的には危険なこともしてしまうのです。

例えば、味覚・臭覚鈍麻だと
腐ったものを見極められなくて食べてしまい
食中毒になる、逆に美味しさを感じることが
できず、食べないでいてしまい、
必要な栄養が摂取できなくなる、

痛覚鈍麻だと、火傷するほど熱い鍋を
素手で持ってしまい大火傷する
また、怪我をしても痛くないので
治療の必要を感じず悪化するなどが
わかりやすい例になると思います。

ブランコで感覚刺激を入れる

娘は赤ちゃんの頃から
ブランコも大好きでした。

表情の乏しい赤ちゃんでしたが、
娘を抱っこ紐で抱っこしてブランコに乗り、
軽く揺らしてあげると
とても嬉しそうに笑うのでした。

私はその笑顔が見たくて、
公園へ行っては娘とブランコに乗りました。

後から知ったのですが、
幼稚園の頃に娘がお世話になった
作業療法士さんによると、

娘のような前庭覚の鈍麻がある人には
ブランコやジェットコースターなどで
頻繁に前庭覚に関する感覚刺激を
入れてあげることで、
その鈍麻が改善される場合があるそうです。

娘本人は、自分では気づかないまま
つい脳が求める感覚刺激を
自らの体を回転させることで入れていたのです。

また、改善はなくても、
本人が喜ぶ感覚刺激を入れてあげた後に
何か集中力を要する作業をすると
普段よりしっかり集中することができる
ということもあるようです。

ですから、娘は作業療法の前半に
丸太に跨るようなブランコで
かなり大きく揺らしてもらってから
手指の不器用さや体の協調作業の苦手さを
改善する目的の訓練(遊び)をしていました。

娘はその後もブランコが大好きで、
小学校では6年間、ほぼ毎日ブランコで
大きく体を揺らして楽しんでいました。

その効果があったのかどうかは
分かりませんが、現在の娘は
特に注意をすることをしなくても
その場でクルクル回転する行動は
なくなりましたし、

小学校高学年の頃からは、
少しですが目が回るようになったそうです。

ある時は、
車で山道を走行中に本を読んでいて
少し車酔いするということも出てきて、
ホッとしたのを覚えています。

そう、発達障害を持つこどもを持つ親は
思わぬところに障害を感じ、
思わぬところに成長を感じて
密かに喜んでいるんです(笑)

また、ジェットコースターも大好きで
同じくジェットコースターが好きな夫と
遊園地では必ず乗っています。
(私はジェットコースターは苦手なので
荷物係&写真係をすすんでして回避しています)

ADHDを持つ人にも効果あり

また、感覚過敏や鈍麻とは
関係がないとは思いますが、

多動や衝動性の強い
ADHDのお子さんにとっても、
先に体を大きく動かす、その人が好きな作業
(校庭を好きなように走り回る、
縄跳びをする、ブランコに乗るなど)
をしてから、すぐに学習に入ると
何もせずに始めるよりも長く集中して行える
ということも多いそうです。

もし、集中力に悩まれている大人の方も
ジョギングをしてから、作業をするなど
工夫してみてはいかがでしょうか?

今回は短いですが、これで終わります。

次回は、嗅覚の過敏について書いてみます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?