大物司会者との共演時における注意点(2)

昨日書いた内容と、フジテレビ「ホンマでっか!TV」冒頭で明石家さんま氏本人が「俺は優しい」と自分で言っていたことが重なったことに、ああ考察が間違っていなかったと確認できたことにまず喜びとどこに向けていいかわからないが感謝を報告したい。

そしてお笑いコンビEXITの兼近が同じくさんま氏を「優しい」とすでに理解したうえで、EXITのお二人がその盤上で自身と司会者との間に築かれた関係性を番組進行に大きく貢献していく姿勢は今後の芸人として彼らがさらなる成功を手にするための大きな信頼を手にし、番組スタッフとの更なる良い信頼関係を生むことだろう。

「明石家さんま」という芸人が指し伸べている手をどれだけの若手芸人が気づけているか。

ベテラン枠となる今田耕司、東野幸治、蛍原徹が彼の脇にいるだけでその番組の面白指数が上がることになる。また、中堅と呼ばれるポジションにいる芸人のなかで、彼のサポート生存争いに抜け出せている芸人が明石家さんま氏の面白さを、番組の質を、更に底上げしている。陣内智則、中川家、麒麟川島、バイキング小峠、ハリセンボンなど年齢的には随分離れた後輩にあたるものの、しっかりと番組の指針を打ち出せる存在が増えてきていることは嬉しい限りだ。単純に番組時間中の笑える時間が増える。

上記三名のベテラン陣は、生存厳しいお笑い第3世代と呼ばれる芸人達に揉まれて育った方々。彼らはもう司会者として番組をいくつも経ているがその経験故か明石家さんまというビッグネームに臆することなくツッコミを入れ、フォローしながらも厳しく嫌悪し、絶対にヨイショを忘れない。

そして中堅陣に見られる傾向は、さんま氏の言動を「諭す」「正す」ことで新しい笑いを発掘している。間違っていますよ、ちょっと黙ってて、あんたもそうや!などかつて氏が若手当時に出演した番組中、桂三枝(現桂文枝)氏に絶対言えなかったような一瞬即発ともなりかねない言葉を浴びせることで、師匠クラスにはできなかった「目上の人が正される笑い」を誕生させた。若手陣がこれをやろうと勇気を振り絞るだろうが、ただのケチつける若いやつになりがちで、原因としては言葉や語彙の準備不足であろう。精進願いたい。

第4世代といわれる芸人達が司会者として出演し続けることもあり空いていたポジションで機会を与えられた、暴走しがちな司会者を遮るツッコミもでき、ニーズ以上に応えるボケも出せる麒麟川島やバイキング小峠のような中堅芸人が出演することにより、平成後期少しマンネリ化してきた番組をテコ入れすることなく新しい笑いのパターンを生み出したことが今後彼らの財産になっていくだろう。

そんな彼らにただのお笑い好きなおっさんが偉そうにも注文したいことがあるとすれば、関西ローカルの明石家さんま氏の番組を過去数年分吸収して欲しい。間寛平氏、村上ショージ氏、松尾伴内氏らは勿論、中川家や次長課長らとの決まったパターン、所謂「定食」を踏まえた上での絡みが見たい。やはり関東では集められない情報がそこには無数に散りばめられている。情報が少ないせいで笑いが半減していることも多々ある。飲み込むまでもなく知っているだけでも反応がグッと変わっていくだろう。関西在住の若手芸人がこれを知らず共演することがその番組でよくあるのだが、彼らは一体何の準備をして大番組に出演し爪痕を残そうとしているのだろうか。自身のことで精一杯ではあろうが、うまく切返せることでお笑いコンビアインシュタインのように関西ローカルとはいえ長寿番組レギュラーを獲得するチャンスをものにできることは忘れてはならない。余すほどの準備が大切だ。

惜しまれる中、芸人を引退した上岡龍太郎氏がかつてさんま氏を語ったことがあった。

「彼が目上の人をおちょくる時が一番面白い。」

怒らせたり持ち上げたりギリギリを攻める姿勢を氏はかなり評価していた。ただ自身のクラスが上がることでその機会も減っていったからそれが残念だとも語った。今さんま氏がギリギリをつつかれ怒ることなく笑っているのはそうした背景があるからかもしれない。彼は優しい。きっと自身のバックボーンを共演する後輩たちに重ねているのだろう。臆することなく攻めた言葉を選び、フワフワしているようで準備と勇気をもって共演したEXITがレギュラー獲得したことは、彼らの人気が理由なのは勿論だが、彼らの向上心そのものの顕れではないだろうか。

攻守の対策準備は成功への準備だと思って。

本日ここまで。ある程度の敬称略。申し訳ございません。

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