小学時代(クワガタ編)
※今回の記事は、麻雀とは全く関係のない話です。
「クワガタ虫」
俺は小学生低学年の頃、めちゃくちゃ虫や動物が好きだった。
当時はかなり純粋であり、軽いサイコパスでもあった。
クワガタ虫を一匹飼っていたのだが、そのクワガタ虫が死んだ時、死ぬほど泣いた記憶がある。
あまりに悲しかったので、学校の帰り道の森で、別のクワガタ虫を捕獲してまた飼い始めた。
何匹も捕まえて持ち帰るので、気がつくと家の容器には、いろんな種類のクワガタ虫が大量に入っていた。
(当時その学校内ではなぜかカブトムシ派は圧倒的に少なく、カブトムシ派はきのこの山派並の異端児扱いを受けていた)
また俺は他にも、ハムスターや謎のちっちゃい魚とかも飼っていた。
その頃、虫や魚に向かってガチでおはようとかただいまとか言ってたのは今思い出すと結構キツイ。
(サボテンと話してた姉ちゃんは多分もっとキツい)
また、虫や生き物を取って家に帰ると、いつもお母さんが喜んで褒めてくれた。
「おーすごいねー!」
とか、
「この虫珍しいね!」
など、いつも喜んでくれたので俺も嬉しくなり、暇ありゃ何か捕まえて帰っていた。
ある雨の日の帰り道に、今日も凄いの捕まえて褒めてもらうぞーと意気込み、めっちゃデカいカエル1匹と、ナメクジを20匹ぐらい両手に付けて意気揚々と家に帰り、自慢げに母に見せたものの、
「ちょっとさすがに無理」
と言われて以来、虫や生き物を持ち帰るのをやめた。
しかし虫が好きな事には変わりなかったので、昆虫図鑑を買ってもらったりして、かなり虫を研究した。
学校から帰ってきてはひたすら図鑑を眺めた。
お気に入りの虫が載っているページには、付箋代わりにシールを貼ったりして、何度もそのページを見たりしていた。
しかしある日、兄ちゃんに頼まれた「学校から帰ってきたら30分ドラクエのレベル上げ」の日課をサボって図鑑を読んでいたのをバレた時には、兄ちゃんに図鑑を没収された挙句、目の前でお気に入りのページに鼻くそを付けられ、メンタルを崩壊させられた。
本気で冒険の書を消してやろうかとも思った。
しかし数日後に、兄ちゃんがはぐれメタルを仲間にして大喜びしてる所に、なぜかお母さんも混じってきて、そのままの勢いでお母さんがスーファミのコンセントに足を引っ掛け電源が消えるという大事故を起こし、俺の代わりにリベンジしてくれたのでまあ許した。
なぜここまで虫について研究したかと言うと、元々虫が好きだったのもあるが、小学校でのクラスカーストも関わっていた。
自然に囲まれた俺の学校では、虫や動物についての知識は、足の速さの次ぐらいに重要なステータスだったからだ。
虫にさわれなくて足が遅い男子なんてもう話にならない。
全てのテストで100点取っても到底補えれるレベルではないだろう。
そんなクラスの中で昆虫博士のポジションを手に入れていた俺は、昆虫について色々質問される事が多かった。
「この虫なんて言うの?」
という類の質問には一瞬で答えられたし、
「金色のクワガタ虫がいるって本当?」
という質問には、
「本当だよ。2匹飼ってる」
などと、平気で嘘をついていた。
(そのクラスメイトが家に見に来た時は、土に潜って出てこないの一点張りで凌いだ)
しかし、
「どのクワガタ虫が一番強いの?」
という質問に、答えられないばかりか適当な嘘すらつく事が出来ず、昆虫博士としてのプライドが傷付き、めちゃくちゃ悔しい思いをした日があった。
その日俺は家に帰り、さっそく図鑑で調べたのだが、どこにもどのクワガタ虫が一番強いのかが書いていなかった。
(なんで強さが書いてないんだよ…これじゃ恥ずかしくて学校行けないじゃねーか)
また、お気に入りのページが兄ちゃんの鼻くそのせいで軽くベタついていたりして、イライラ感は増すばかりであった。
俺は昆虫博士としての威厳を保つ為に、もう自分でクワガタ虫の強さを調べてやろうと思い、自分が飼っている様々な種類のクワガタ虫を強制的に戦わせた。
しかし大体のクワガタ虫は全くやる気がなく、そもそも戦いが起きなかった。
何度やってもダメで焦った俺は、飼っているクワガタ虫に俺の指を挟ませ、どのクワガタ虫に挟まれるのが一番痛いかで強さを判断する事にした。(頭が悪い)
俺に強制的に戦いを強いられストレスが溜まっていたのか、このクワガタ虫共は一瞬で俺の指を挟んできた。
しかし、思いのほか痛くないのである。
ノコギリクワガタは見た目めっちゃ強そうだが、意外と挟まれても痛くないのだ。
また、ミヤマクワガタに関しては、見た目がちょっとオシャレなだけで、戦闘能力に関してはほぼゼロである事が判明した。(俺の指調べ)
しかしそんな中、事件は起こる。
「いってーっ!!」
俺はあまりの激痛に大声で叫んでしまっていた。
そこには、とんでもない力で俺の指を挟み、唯一俺の指から血を流させたクワガタ虫がいた。
コクワガタのメスである。
悲鳴を聞いた姉ちゃんがすぐに絆創膏を持ってきてくれたが、俺は血を流しながらも喜んでいた。
(ククク…最強のクワガタ虫はお前だったか…)
早く誰かに言いたくてしょうがなかった俺は、さっそく姉ちゃんにコクワのメス最強説を話したが「サボテンは生きてるんだよ」とかなんとか言ってて話が噛み合わなかった。
俺はこのとんでもない発見(どうでもいい発見)により、その日は遠足の前日並にテンションが上がってしまい、なかなか眠る事が出来なかった。
翌朝も早くみんなに言いたくてウズウズしていた俺は、通学途中の歩道橋の階段をタタン、タタンとリズミカルに降りちゃうぐらいのテンションの高まりを見せていた。
学校に到着して、さっそくこのとんでもない発見をクラス中に言いふらしたが、皆そんなのそっちのけでバトル鉛筆に夢中だった。
「怖いのは幽霊か、人間か」
※これは俺的にかなり背筋が凍った体験で、笑いは一切なしです。
皆さんは、こっくりさんという遊びをした事があるだろうか。
紙にこんな感じで字を書き、十円玉を置き、参加者全員で十円玉を人差し指で抑える。
最初に上の鳥居のマークを使って、こっくりさんを呼ぶ儀式的なのを行う。
こっくりさんを呼ぶ儀式を終え、こっくりさんが来ると、みんなの指で抑えている十円玉が勝手に動き、どんな質問にも答えてくれるというもの。
このこっくりさんが、小学五年生ぐらいの時にめちゃくちゃ流行った。
しかし、この時俺はこっくりさんのからくりを兄ちゃんから聞いて知っていた。
これは勝手に十円玉が動いているように見えて、質問の答えが分かる誰かが十円玉を意識的に動かしているというものだった。
(動かしてる人は無意識に感じるので、自分で動かしてる事に気付かないと言うような感じだった気がする)
だから、こっくりさんの参加者が誰も分からない質問をすると、十円玉が動かなくなるらしい。
俺はそれまで実際にこっくりさんをやった事はなかったが、オカルトとか幽霊とかをそもそも信じていなかったから、まあそういうもんだろうなぐらいに思っていた。
また、こっくりさんが流行っているという話を耳にしたのか、担任の先生が何度か「こっくりさんは絶対しないように」と促していた。
危険な遊びだからしちゃダメという事らしかった。
当時実際に、本当か分からないが、こっくりさんをした人が急に体調が悪くなったとか、気絶したとかいう噂も流れていた。
しかし、俺はそんな噂は嘘だと思ったし、しちゃダメと言われたらしたくなるのが小学生の性なので、ある日の放課後、体育館にある小部屋で友達とこっくりさんをやってみる事にした。
その時は、男子二人、女子二人でこっくりさんをやった。
女子二人は最初かなりビビっている様子だったが、怖いもの見たさ的な感じで参加したのだろう。
俺は興醒めになると思ったので、こっくりさんのからくりは一切伝えなかった。
(知ってる人はいたのかもしれないが)
こっくりさんが開始され、序盤は、
「1+1は?」
とか、
「担任の先生の名前は?」
というような簡単な質問をした所、しっかりと十円玉が動いて答えを出した。
この動く十円玉を見て俺は正直驚いた。
恐らく自分の力でも動かしてるのだろうが、本当に勝手に動いているような感覚だったからだ。
それぐらい自分では力を入れてる意識は全くなかった。
他の人達も本気で驚いているような感じだったから、みんなも同じく、意図して動かしている感覚はないのだろう。
そんな感じでやっている内に、女子の一人が、
「◯◯君の好きな人は誰ですか?」
という質問をした。(◯◯君は、その場にはいなかった人)
これにもしっかり十円玉が動き、ある女子の名前を出し、みんな驚いていた。
その時俺は、◯◯君の好きな人は、その名前の出た女子とは別の女子を想像していた。
それにも関わらず、俺の予想してない名前を出したのだ。
(誰か本当に好きな人を知っている人がいたのか?それとも誰かが適当に動かしたのか?)
その後も、俺には分からない質問の答えが出る度、そんな事を思っていた。
そこまで難しい質問をしなかったからか、それまで十円玉が動かない事は一度もなかった。
そしてこっくりさんを始めて20分ぐらいが経過した時に、さっきの女子がこんな質問をした。
「◯◯君の筆箱を盗んだのは誰ですか?」
(何日か前に、◯◯君の買ったばかりの筆箱がなくなる事件が起きていた。紛失したのか、誰かが盗んだのかはこの時点で分かっていない)
さすがにこの質問には答えられないんじゃないか?と一瞬思うも、すぐに十円玉は動いた。
(あれ?誰か犯人知ってるのか?)
そんなことを思いながら、十円玉を追っていくと、
「こ…う…」
と動いた。
十円玉が動いた時点で結構ビビったのだが、本当にビビったのはそこからだった。
そこから、今まで見たことのないスピードで十円玉が動き始めたのだ。
文字を追っていくと、
「い…ち…」
と動いた後に、十円玉がグチャグチャに動いて文字を追えなくなってしまった。
ここでさすがにみんなめちゃくちゃビビり始め、すぐにこっくりさんに帰ってもらう儀式を行い、こっくりさんを終了させた。
あまりの事態に明らかにみんなテンションが下がってしまったが、みんな最後の質問の文字をしっかり覚えていた。
「こういち」
俺らのクラスには「こういち」という人はいなかったが「こういちろう」という男子がいた。
その時4人で、こういちろう君が盗んだの?という話になったが、結局よく分からないまま解散した。
本当に誰も分からないなら十円玉が動くのはおかしい。
誰かが適当に動かしたのだろうか。
こっくりさんのからくりを知っていただけに、俺は他のみんなよりビビっていただろう。
俺はこういちろう君とは仲がよく、一緒に遊んだりする事もあり、そんな事をする人ではないと思っていた。
俺は正直こっくりさんを舐めていた。
本当に十円玉が勝手に動いてるようにしか思えなかったし、これでもしこういちろう君が本当に筆箱を盗んでいたとしたら怖すぎる。
犯人を知っている人がいたらいたで、ある意味怖いのだが、もし知ってる人がいないのにこういちろう君が犯人だったら、もうこっくりさんの存在を認めるしかないレベルである。
その次の日、やっぱりこういちろう君が盗む訳がないと思った俺は、本人に事情を説明して直接聞いた。
「昨日こういう事があったんだけど、筆箱盗んでないよね?」
こういちろう君は、俺は盗んでないし、何も知らないと言った。
嘘をついているようには見えなかった。
しかし、それからクラス内では「こういちろう君が筆箱を盗んだのではないか」という噂が広まった。
こっくりさんを行ったメンバーが、他の友達に言ったりした事で広まったのだろう。
そんなある日、帰りの会で、先生が◯◯君の筆箱がまだ見つからないというような話をした。
その時、クラス内がざわざわし始める。
こういちろう君の噂があったからだろう。
そこで誰かが言った。
「こういちろう君が盗んだんだよ!」
みんなから注目が集まると、こういちろう君が泣き出してしまった。
こういちろう君は本当に何も知らないと言っていて、泣き出した事もあり、それから誰も何も言わなくなった。
その状況に、先生も少しどうしていいのか分からないような様子だったが、こういちろう君を軽くなだめ、
「何か分かる人がいたら、先生職員室にいるから教えに来てね」
と言い、その日は下校となった。
こういちろう君が泣いたのを見て、俺はめちゃくちゃ罪悪感が湧きはじめていた。
あの日こっくりさんをやらなかったらこんな事にはならなかっただろう。
しかしその次の日学校へ行くと、◯◯君の筆箱が見つかったという話を聞いた。
(先生が、落とし物置き場に届いていたと言っていた)
それでその話が終わればよかったのだが、今度はまた別の噂が流れ出した。
筆箱を盗んだのはこういちろう君ではなく、コウタ君ではないかという噂である。
詳しく聞いてみると、前日の帰りの会にこういちろう君が泣き出した後、下校になったが、その後に職員室から出てくるコウタ君を見た人がいるらしい。
今日急に筆箱が見つかったと言う事もあり、職員室でコウタ君が筆箱を盗んだのを自白して、筆箱を先生に返したのではないかという噂だった。
コウタ君は、あの日こっくりさんをしたメンバーの一人であった。
その話を聞いた後、俺はこっくりさんをした日の事を思い出していた。
「◯◯君の筆箱を盗んだのは誰ですか?」
という質問に「こ…う」まで動いた後に、とんでもないスピードで「い…ち」と動いた。
もしコウタ君が犯人だった場合、これは、犯人だとバレそうになったコウタ君が、途中で焦って無理やり十円玉を動かして、こういちろう君に罪を擦りつけようとしたのではないだろうか。
職員室でコウタ君が自白したのも(噂だけど)、自分のせいでこういちろう君に辛い思いをさせてしまったからではないだろうか。
本当にそうなのかは分からないが、色々考える内に俺は怖くなってきてしまい、その話をコウタ君にする事はしなかった。
ただ一つ気になった事があり、俺はあの時こっくりさんをした女子二人に、筆箱を盗んだ人を本当は知っていたんじゃないかと聞いたが、やはり本当に知らない様子だった。
そうなると分からないのが、誰が最初に「こ…う」まで十円玉を動かしたかである。
俺と女子二人ではないとなると、そこまで動かしたのは本物のこっくりさんかコウタ君自身という事になる。
しかし、本物のこっくりさんなんていない前提で考えると、コウタ君が無意識に、自分で自分の名前を出そうとしていたと言う事になる。
コウタ君が自分の指で十円玉を動かしながら追い詰められていっているという状況を想像すると、鳥肌が立った。
筆箱が見つかって解決したという事もあり、それまでのいろんな噂はすぐに風化していった。
それからはなんとなく怖かったのもあるし、こっくりさんはやらなかった。
それから10年以上が経ったある日、地元のお祭りでコウタ君と再会し、一緒に飲んだ事があった。
その時、こっくりさんをした日の話を聞いてみた。
「よく覚えてるな。筆箱盗んだのは俺だよ。
途中で十円玉グチャグチャに動かしたのも俺。
正直あの質問された時点でめっちゃ心臓バクバク言ってた。
でもマジでこういちろう君の名前を出すつもりはなくて、適当に動かしただけなんだ。
ただ、最初に俺の名前バラそうとしたのはマジでこっくりさんだよ。俺死ぬほどびびったもん。
それに十円玉無理やり動かしたから、その後呪い殺されるかと思ったわ」
と、半分ふざけて、半分本気で言っていた。
あの質問に十円玉が動き、みんな驚いていたが、一番びびったのは犯人だとバレそうになったコウタ君だろう。
コウタ君はやはり、自分で動かしていた意識はなく、こっくりさんの仕業だと思ってたらしい。
でもたしかに、そんなおかしな事起きたら、こっくりさんが勝手に動かしてると思っても無理はない。
それか、コウタ君が言うように本当にこっくりさんが動かしたか。
俺は今まで幽霊など一度も見たことないが、それは信じてないからで、信じてる人には見えるのかもしれない。
つまり、麻雀の流れとかもそういう事(適当)
終わり。
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