現代タカラヅカ概論

宝塚歌劇の魅力をわかりやすく伝えます。観劇歴25年以上。

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最近の記事

宝塚版「シティーハンター」について

宝塚歌劇でシティーハンターの上演が決定した。 本作は雪組新トップコンビ彩風咲奈氏、朝月希和嬢のお披露目公演であり、新生雪組のスタートの公演でもある。 これまで「るろうに剣心」や「ブラックジャック」など数々の有名漫画をミュージカル化してきた宝塚歌劇による新たなチャレンジである。 公演期間は21年8月〜11月。 発表を聞いたとき、非常に期待が高まった。 それは主演の彩風氏が、原作の主人公である冴羽獠(さえばりょう)に、これ以上ないハマり役だと感じたからである。 以下にその

    • 緩やかなキャリアアップ

      宝塚歌劇団には、花・月・雪・星・宙の5組がある。 組は公演を行うカンパニーの単位であり、歌劇団に入団した全ての団員は、2年間の音楽学校での生活を経て、初舞台公演を終えると、いずれかの組に配属になる。 これは、大企業における新卒社員のように、入社後に研修期間を経て、それぞれの部署に配属になるのと同じ仕組みである。 一般的なミュージカル等の商業演劇では、公演に合わせてオーディションやキャスティングが行われ、基本的にその作品限りのメンバーで運営されるが、宝塚歌劇はこの組制度に

      • 宝塚歌劇におけるスターシステムのメリット

        宝塚歌劇には明確なスターシステムが存在する。 花・月・雪・星・宙の各組にはそれぞれ男役、娘役のトップスターが存在し、全ての演目はトップスターを中心に構成される。 トップスターはあらゆる場面で常にセンターを務め、公演ポスターも男役、娘役の両トップが掲載される。 トップスターは、まさに組の顔である。 公演の成功は、演目の良し悪しなどの要素もあり、すべてがトップスターの力量だけで決まるものではないが、明確なスターシステムを敷くことで、かなりの部分がトップスターに依存すること

        • 男役というファンタジー

          宝塚歌劇団と他の劇団との最大の差別化のポイントは、女性が演じる男性、すなわち「男役」にある。 この男役の存在こそが、宝塚歌劇を宝塚歌劇たらしめている。 男役は女性が演じているので、もちろん男性ではない。 初めて宝塚歌劇を観た人は、この男性ではない男性のようなものに戸惑い、違和感を覚える。 身長は女性役(宝塚歌劇では娘役という)よりも高そうだ。 声は一般的な女性よりは低いが、本当の男性よりは高い。 この独特なメイクは舞台芸術のためだろうか。 しかし、演目が進み、しばらく

        宝塚版「シティーハンター」について

          なぜ宝塚歌劇は100年以上続いているのか

          本ブログのテーマは、「なぜ宝塚歌劇は100年以上続いているのか」についての考察である。 宝塚歌劇団は1914年に阪急グループの創始者、小林一三によって考案された、演者が女性だけで構成される世界でも特異な歌劇団である。その歴史は永く、2020年には創立106年を迎え、ひとつの劇団がこれほど永く続いているという点においても、非常に稀な劇団である。 元々は阪急百貨店などと合わせて、阪急鉄道沿線の活性化のための施策のひとつだった宝塚少女歌劇が、なぜこれほど永く愛されるに至ったかを

          なぜ宝塚歌劇は100年以上続いているのか