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ホーリー・マウンテン【備忘録】

明日は、ホドロフスキーのDOMMUNEがあります。
楽しみ。

そんな気持ちを書こうと、デヴィッド・リンチの『ロスト・ハイウェイ』についての備忘録を書くついでにアレハンドロ・ホドロフスキーについても一緒に記載しようと思ったら、とても長くなったので別の枠にすることにした。
自分の中での考えだけど、同じカルト映画の巨匠であり、カルト映画の原点であるミッドナイトムービーから頭角を表した監督だから。ホドロフスキーとリンチはなんとなく近しいイメージ。

ホドロフスキーのエル・トポは1970年。
リンチのイレイザーヘッドは1977年。
同じムーブメントではあるんだけど、時系列には差はある。

加えてリンチの不遇の作品として知られる『DUNE 砂の惑星』も、当初はホドロフスキーが手がける予定だったが壮大すぎてポシャッてしまったことは、『ホドロフスキーのDUNE』の公開も伴って、映画を好きな人なら誰でも知っている話。
そんな共通点もあるし、"芸術家"としてのアイデンテティを持つ両監督って交流あるのかなって思ったら、やっぱりあるみたい。

これ以外は見つけられなかったけど、エピソードとか、ぜひ知っている方いたら教えて欲しいです。

リンチの作品は、『ロスト・ハイウェイ』は意図的に不要なシーンとの挿入と、必要なシーンの欠落がある感じで混乱させる。
(まだ二作品しか観ていないので、なんともだけど。。)
しかもデヴィット・リンチという人は作品について明確な名言をしない。
それがまた不条理な謎を呼び楽しいんだろうが…。

ホドロフスキーとは相対的だなと思った。
というのもホドロフスキーは、少なくとも観客に対しては結構気さくな人で、全編ぶっとおして狂気なんだけど、実はストーリーがわかりやすくて、自分みたいに映画への読み解きが苦手な人間でも感覚で楽しむようには作ってくれている。
哲学や宗教について深く理解していないと分からない部分もあるけど、オーディオ・コメンタリーも丁寧に説明してくれる。
(レンタルDVDで借りたエル・トポのオーディオコメンタリーを見なかったことは未だに後悔している。)
『エル・トポ』を、しっかり知ったのは大学生の時。
高校生の時もなんかの本でチラッと見かけたくらいなんだけど一緒に載っていた『ハロルドとモード』に心奪われあまり深くは興味を持たず。
ひょっとしたら『エル・トポ』ですらなかったかもしれない。笑

…で当時、僕は大阪の大学生だったのだが、東京の美大に行っている友達の家に遊びに行った時に、これ観せられたわけですよ。

これヤバイらしいって。アンディ・ウォーホールも、ミック・ジャガーも、ジョン・レノンも大絶賛だったらしいって。そんな風に言われたら観たくなるだろ!
劇場公開にこそ行かなかったのですが、大阪に戻り、大学の図書館でなんとなく探して観たらLPがあるではないか!
イージーモードすぎる。
屈指のカルトとか聞いていたので、なんだったら小旅行とかするくらいの覚悟もあった。
『うおーっ』てなって観たわけです。
その時は訳あって、四人目のガンマンと闘うところで観るのやめてしまった。(おい!さっきの覚悟は?)

漠然とアート映画に対して『面白い』と断言できない正直な自分がいたので、不安だったものの、当時の感想は『思ったより観やすいもんだな』。
なぜか忘れたけど用事があって途中で観るのをやめて、だらしない人間ゆえか、DVDで全編を通して観たのは、数年の時を経た社会人になってからだった。
でも面白かった…。
ちなみに短編の監督のコメンタリーは観たんだけど、倫理的にはギリギリな発言もしていて、やっぱり深淵にいる人なんだなぁと自分の平凡な感性との乖離を感じた。

前置きが長くなったが、『ホーリー・マウンテン』も鑑賞。

「ホーリー・マウンテン」は「エル・トポ」と関係している。前作の続きというわけではないが私の進化が現れている。「エル・トポ」は魂の自伝だった。「ホーリー・マウンテン」には、より大きな意識の存在がある。
            ーホドロスフキーのオーディオコメンタリーより

自分には"自己実現の先に見えた世界"という印象だったかな。
自己実現を達成をせど、人生は続く…というような感じ。

ストーリーはないと言う人も多いけれど、おれは割とストーリーはあるのかなと思う。簡単に言うと貧しい男と金持ち7人が錬金術師と一緒に9人の賢者を襲って不死の秘密を奪う計画を建て、修行と旅をするというようなストーリー。

確かにストーリーが霞むほどの、ひたすらドラッギーな絵が続く。
これ以上のビデオドラッグをオレは知らない…。

ホドロフスキー自体もぶっ飛んでて、修行するシーンは本当にマジック・マッシュルームを演者にやらせたり、プロデューサーに30万ドル持逃げされても気長に待ったり、あえてスタジオに出入りしている変質者っぽいエキストラをメインに抜擢したり、やっぱこの人只者じゃない。

ちなみに緑の髪のおばちゃんが変質者。
彼女、緑の毛は自分で勝手につけてきたのだそう。
コメンタリー字幕のホドロフスキーの夢の内容もヤバイ。
この便器の構造になると糞便が落ちるエネルギーが電力エネルギー供給につながるとのこと。ごめん。おれ分からない。

宗教や哲学と語っている時の同様のトーンで喋っているところあたり、おそらくマジなんだよね。

自分の個人統計だけど、本当に頭ぶっ飛んでる人って、温厚なイメージあるけど、この人もまさにそれ。感性の怪物ですわ。

そしてこの映画を最大のカルト映画のストーリーにしているのが、第4の壁突破の衝撃のラスト。笑いながら「深いなぁ」と浅いコメントした自分は嫌いじゃない。

ホドロフスキーの作品は自分はほとんど観ていない。
けど心に強烈に残る。
殺伐としたシーンや、グロシーンなどこそ多いがアメリカン・ニュー・シネマ系の映画を観たときの、人生観に突き刺さるトラウマのような感じではない。
結局のところ良くわかってないんだと思う。
でも面白いと思っている自分がいる。
不思議だ。

———

以上でございます。
お付き合いいただきありがとうございました!

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