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都心のマンションなら建替えで開発利益を得られます

第1章(建て替え事業に付きまとう不安)

【建替え事業が実施されることで住まいが奪われるのではないかという不安があると思います】

建物の耐震性能に問題がある。老朽化で雨漏りが発生したり、配管からの水漏れが多発したりしている。バリアフリーやセキュリティなどの機能が脆弱で住みにくい。

改善するには修繕積立金の値上げが必要になる。それに加えて、借地権(地上権)の契約更新期限も迫っている。契約の更新料の支払いと、地代の値上げ分を負担するために、管理費も値上げすることになりそうだ。そんな状況のマンションに、修繕積立金や管理費の大幅な増額を容認したうえで、この先も問題を抱え続ける建物に、住み続けますかそれとも建替えますか。

では、建替えようと思っても、既に容積オーバーで敷地が地上権という悪条件なので、組合員全員が高額の資金を出資しなければ、建て替えはできないと思っていませんか。

たとえ要建替え認定が受けられたとしても、現在の建物と同規模の建物までしか建てられそうにありません。だったら、建替えに必要な費用は組合員が直接負担しないといけないと思うでしょう。5分の4以上の賛成で、建て替え決議が成立したら、その費用負担ができない組合員は、建物解体時に立退き料の支払いと交換で、退出を迫られて住まいを失うことになるのではないか。そんな不安も頭をよぎります。

ところがよく考えてみると、そうはなりません。住むところが無くなることなどありません。


第2章(建替え事業の計画条件と試算結果)

【立地が良いと建替えた部屋が高く売れるので、直接の費用負担無しで建替えられます】

建替え事業を実施をすると、開発利益という付加価値が生まれます。
土地という素材に建て替え費用という投資を加えることで、付加価値が生まれます。立地が良ければ大きな付加価値が生まれ、その開発利益の一部で建替えの費用を賄えます。

開発利益が大きければ、費用を差し引いても利益が残ります。残った利益は組合員全員に平等に配分することができます。

それでは、東京都中央区の駅近のマンションを想定して、組合員が直接の費用負担を全くしないという条件で、建替え事業を計画してどうなるか試算してみましょう。サンプルは敷地が2,000㎡で延べ床面積が10,000㎡、専有面積8,000㎡の建物ということにします。

計画の条件と試算の結果は以下の通りです。

(計画の条件)
十分な仮住まい補償金を支給する前提なので、建替えに個人の費用負担は全くありません。仮住まい補償を十分に、全組合員にすることが、費用負担無しの建替え計画のポイントです。

(試算の結果)
建替えた建物の新しい部屋は、元の部屋の60%の広さになりましたが、資産価値は約2倍になりました。


第3章(建替え事業の収支計算)

【建替えに必要な費用は約70億円です】

主な費用は建物の建築費が約40億円
建物解体・建築期間の仮住まいの家賃補償費が約9.6億円
底地の買い取り費用が8億円などで、詳細は下記の「建替え事業の資金計画」の通りです。

【建替え費用を捻出するために、建替え後の部屋の40%を売却します】
(これは減歩率40%の建替え計画です)

当該地域の中古マンションと、新築マンションの市場環境を概観します。
建替え前の部屋は専有面積1㎡当たり60万円程度、
フルリノベ済みの部屋なら1㎡当たり80万円程度、
新耐震の中古マンションの部屋は1㎡当たり120万円程度です。
ところが、建替え後の新築マンションの部屋は、少なくとも1㎡当たり220万円程度です。

10,000㎡の新築の建物の専有面積はその80%で8,000㎡です。
その専有面積の40%にあたる3,200㎡を売却します。
1㎡当たり220万円なので、売上収入は約70億円です。このお金で建て替えが可能です。(220万円×3,200㎡=70.4億円)

だから、全くお金を出さなくても、元の部屋の60%の広さの新しい部屋が戻ってきます。


第4章(建替え事業で生まれた開発利益)

【建替えで組合員がどのくらいの利益を得られたのかを確かめます】

建替え前の建物の、組合員の部屋の総専有面積は8,000㎡です。部屋の状態はまちまちなので、1㎡当たり65万円平均とすれば、組合員の部屋の市場価格の総額は約52億円です。(65万円×8,000㎡=52億円)

建替え後に全くお金を出さずに組合員がもらえる部屋の総専有面積は、10,000㎡の建物の80%が専有面積として、その60%なので4,800㎡です。
この部屋は1㎡当たり220万円の部屋なので、その総額は105.6億円です。
(220万円×4,800万円=105.6億円)

組合員の資産の総額は52億円から105.6億円に、57.6億円増えて2.03倍になりました。57.6億円が建替えという事業を行って生まれ、組合員に配分される開発利益です。


第5章(開発利益を配分した効果)

【この利益を組合員の皆さんに均等に配分すると、たとえばこうなります】

50㎡の部屋は30㎡になりますが、その価値は3,250万円(65万円×50㎡)から6,600万円(220万円×30㎡)になって、資産価値は2.03倍になりました。

元の部屋がリフォーム済みの状態で、1㎡当たり80万円と評価できる部屋ならば、(20万円×50㎡=1,000万円)高く評価されるので、この金額で4.5㎡増し床ができます。全くお金を出さないで34.5㎡の部屋が戻ってきます。
(1,000万円÷220万円=4.545㎡)
この場合は減歩率は31%です。(50-34.5)÷50=0.31

無償でもらえる床の面積が34.5㎡なので、その価値は4,000万円(80万円×50㎡)から7,590万円(220㎡×34.5㎡)になっています。資産価値は1.9倍になりました。(7,590万円÷4,000万円=1.8975)

【建替え後の新しい部屋を売却して、広い部屋に住みかえるという選択肢も選べます】

建替え後に新しい部屋にそのまま住むのなら、部屋の広さは元の部屋の60%になりますが、元の部屋と同程度の中古の部屋を買ってに住み替えるなら、元の部屋の2倍の広さの部屋が買えます。
フルリノベ済みの中古の部屋を選んだとしても、元の部屋の1.5倍の広さの部屋が買えます。
新耐震の中古の部屋を選んでも元の部屋とほぼ同じ広さの部屋が買えます。


第6章(組合員が全く費用負担をしないで建替えをするための絶対条件)

【建替えに賛成するだけで、全くお金を出さないで、建替えを実現させるための条件は】

1㎡当たり月額4,000円で、建物解体・建築期間の仮住まい補償金を全部屋に支払うこと。
その期間は約2年半(30か月分)として試算しています。これだけの金額を支払うつもりなら、建替えるマンションの近隣で、元の部屋と同じ広さの部屋がを余裕で借りられます。

この金額を賃貸人にも支給します。そうしなければ不平等になってしまいます。解体工事着工までに賃借人に立ち退いてもらうのは、賃貸人の責任になるのですが、立ち退き料の支払いが問題になります。
判例では住居の立ち退き料は2年分の家賃と引っ越し代で十分だとされていますから、通常はその金額で立ち退いてもらえます。建替え事業がスムーズに進められます。


第7章(5分の4の賛成では実際はスムーズに建替えはできません)

【建替えは、組合員全員に利益をもたらすのですが、全員が賛成しなければ実現しません】

法的には5分の4の賛成で建て替え決議ができますが、その決議の際に100人中20人が反対していたら、簡単に建て替えはできません。建て替えを実施するためには反対者にも立ち退いてもらわなければなりません。

立退きとは、憲法で保障されている居住権を、無理やりに奪うことなのです。激しい抵抗を覚悟しなければなりません。反対者一人につき1年で、20人なら説得に20年かかることさえも覚悟しなくてはなりません。当然、恨みも残ってしまいます。

建替え決議は全員賛成での成立を、目指さなければいけません。


第8章(実際は減歩率が40%以下になる人が多い)

【建替え後に新しい建物に住む場合の選択肢】

建替え後に住む新しい部屋を広くしたければ、1㎡当たり220万円で買い増せます。
50㎡の部屋ならば4,400万円負担すれば、新しい部屋が元の部屋と同じ広さになります。

賃貸人が無償で賃借人を退去させたなら、30か月分の仮住まい補償金で床を買い増せます。
50㎡の部屋なら600万円支給されるので、その金額を買い増し費用に充当すれば、2.7㎡増えるので、32.7㎡の部屋が無償で手に入ります。実質減歩率は34.6%です。

他に住むところがあって仮住まいが必要ない人の実質減歩率も34.6%です。

賃料の安い仮住まいで30か月暮らしたら、その差額を買い増しに使えます。


第9章(事業計画のまとめ)

スムーズに建て替えを成功させる事業計画のポイントは以下の通りです。


第10章(建替え事業を実施すれば、組合員全員が利益を得られます)

【勿論、この計画の数値通りに建て替えができるわけではありません】

建築費や底地の買い取り費用やその他の費用が予定よりも高くなれば、減歩率は当然大きくなりますが、建替え後の新しい建物の売却単価が高くなれば、反対に小さくなります。

建築できる建物が計画よりも大きくなったりするか、専有面積比率が大きくなったりすれば、減歩率はもう少し小さくなりますし、建物が計画よりも小さくなれば減歩率はもう少し大きくなりますが、いずれにしても都心の駅近に立地しているマンションは、全く費用負担無しで、建替えができて、建替えによって組合員全員が利益を得られることは確かです。

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