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不動産活用

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空き家の増大は経済を減退させて、街を衰退させます。不動産は活用されることによってその価値を発揮するものなので、使われない不動産は邪魔物でしかありません。新しい不動産を供給すること…
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【十分な仮住まい補償をして減歩率を明示して説明すれば、建替えに全員が賛成してくれるでしょう】

【建替えで組合員全員が利益を得ますから、しっかり計画して早期に実現させましょう】 容積オーバーで敷地が地上権という悪条件で、どうやって建替えを実現させましょうか。 どう工夫しても現在の建物と同規模の建物までしか建てられそうにありませんが、 その条件で、計算しやすいように10,000㎡の建物の建て替えで試算してみましょう。建物は都心3区の駅近に立地しているという想定です。 建替えには約70億円かかります。 主な費用は建物の建築費が約40億円 建物解体・建築期間の家賃補償費が

【マンション建替え四部作 パート4】【マンション建替えに時間がかかる理由・デベロッパーの皆さんやり方変えてみませんか】

【管理組合主導での建替え事業の実績はほとんどありません】 管理組合主導での建替え事業の実績はほとんどありません。その理由は執行機関である管理組合に、事業を遂行できる能力(ノウハウ)が無いからです。「減歩率」という概念も知らないし、「減歩率」を明示して「建替えという事業の実態」を組合員に知らせるという正攻法で「建替え合意」を成立させてから事業が実施されている例がおそらくないからです。 【建替えの必要性と経済合理性を強調して、「減歩率」を明らかにしない】 ほとんどの建て替え

【マンション建替え四部作 パート3】【マンション建替えに必要なのは、まず建替え合意、次にもっと難しい権利変換合意】

マンション建替え円滑化法の施行で容積率が緩和され、住宅金融支援機構などで建て替えに必要な融資も確保しやすくなりました。これらの環境改善で、安全性や居住性に問題のあるマンションの建て替えは幾分やりやすくなりました。 1.【建替え合意決議】 建替え事業を実施するのは区分所有者(組合員)全員で構成される管理組合です。最初にしなければいけないことは「建替え合意」の決議です。そのためには組合員全員が理解できて、納得できる説明をしなくてはなりません。その説明の仕方は【マンション建替え

【マンション建替え四部作 パート2】【資金0円での建替えの「減歩率」を明示すれば建替えの合意は容易にできる】

資金0円で組合員に経済的負担のないマンション建替えをするのに「減歩率」が何%になるかは【マンション建替え三部作 パート1】で纏めました。詳しくはそちらの記事をご覧ください。 老朽化で雨漏れが多発していている。耐震診断で耐力不足が指摘されている。共用配管から水漏れが多発している。これらの原因で修繕費が莫大な金額になっていたら、修繕積立金を値上げするよりも、建物を解体して建替えたほうがいいのかもしれません。 賃借権や地上権のマンションは、その権利の更新に高額の費用が必要なので、管

【マンション建替え四部作 パート1】【都心3区のマンションは、部屋の面積を35%減らすだけで、資金0円で建て替えられる】

【建替え事業計画の前提条件】 権利床、保留床の区別や用途別、階層別効用比などを無視してシンプルに検討してみます。 マンション建替え円滑化法の施行で元の建物と同じ面積の建物が、建築可能になりました。 延べ床面積10,000㎡のマンションの建替え事業の試算です。 専有面積比率は延べ床面積の82%程度が通常です。専有面積は8,200㎡とします。 立替後の部屋の面積は65%になる(減歩率35%)の前提でまず試算します。 工事期間と準備期間の仮住まい家賃。月額1㎡当たり4,000円で2

【不動産とは何か宅地とは何か】

1.宅地と建物と複合不動産 不動産とは土地と建物のことで、それは私たちの生活に深くかかわっています。土地は樹木や農作物を成育させますし、建造物を保持する力も持っています。土地はその本質的な能力で、さまざまな収益を生み出します。土地上に建設された建物と一体の複合不動産として利用されるときに、土地は最も大きな収益を生み出します。建物の敷地として使われる土地が宅地です。日本の国土の66%は林地です。そして13%が農地です。水面・河川・水路が4%、道路が3%、原野が1%、その他が8

【住民に愛されて変化を受け入れられる街が生き残る】

1. 街が形成される理由 都市の成り立ちは行政の中心地の城下町、交通の要衝の宿場町、流通の拠点の港町、信仰の拠点の門前町、観光の対象の温泉町などの人が集まる場所が起点となっています。人がそこに定住し、住まいが集積して町が徐々に拡大し、更に大きく発展して都市が形成されました。城下町の中には武家屋敷の他に職人町や商人町もできました。共同作業の必要性から農家集落や漁業集落なども形成され、林業や狩猟を生業とする人たちも、危険回避や相互扶助などの必要に応じ、小さな集落を形成したのでし

【何故都心で暮らし続けているのだろうか】

令和5年の秋に後期高齢者になりましたが、生まれてからずっと東京の都心で暮らしています。居心地がいいのですがその理由が一体何なのか、思いつくままに書いてみました。 1. 空気感がほかと違う 街にはいつも人が溢れ、情報が溢れ、文化が溢れ、心をざわつかせる刺激が溢れています。街の中には目新しいアイテムがあり、早くも次の季節のファッションで装った人がいて、何気に季節を先取りできます。次々と建て替わる建物や走る車の色や形からも、最先端の空気感が味わえます。だから少しだけお洒落して、

【最寄り駅から遠いなら工夫して住みやすい家にしてみよう】

1.最寄り駅から遠いと空き家になりやすい 高度経済成長期に拡大した街は少子高齢化時代になって縮小しています。毎日を快適に暮らすにはアクセスの良い場所に住むことは大事な条件なので、最寄り駅から遠い家は空き家になります。バスや電車の本数が減った路線沿いや廃止された路線沿いにも空き家が増えます。 2.アクセスを改善したらどうでしょう 最寄り駅から徒歩で10分以上の場所にある建物を空き家にしないために、駅の近くに専用の車庫を設け、無料貸し出し自転車付きの貸家にしたらどうでしょう

【場所に不似合いな建物はその場所の土地価格を引き下げます】

1.東京の都心では中小規模事務所の取壊しが増えています 東京の都心ではこのところ大変な勢いで大規模事務所が増え続けています。そのあおりを受けて中小規模事務所の空室率は上昇し、回復の兆しはありません。なにもしなければ空室率は改善されず、空室率はさらに上昇するでしょう。賃料を下げれば空室率は下がりますが、値下げを続けるとビル事業が破綻します。建物を改造して機能を向上させたとしてもその効果は一時的でしかないでしょう。今後も次々と大規模な再開発事業が竣工するたびに、最新機能を備えた

【空き不動産を活用すれば、街はもっと住みやすい場所になる】

1.不動産の価値は利用の対価で決まります 不動産はそれを利用するために対価が支払われることで価値が生まれます。ですから利用されない不動産には価値はありません。不動産の所有には公租公課と管理費用が必要なので、利用されない不動産を所有すると損失が生じます。利用の対価が費用よりも小さいときにも損失が生じます。損失を回避するにはその不動産を手放すか有効に利用しなければなりません。 2.不動産の価値は最有効使用の時が最大です 不動産鑑定評価理論には「最有効使用」という概念がありま

【消滅可能性都市にならない街は】

1. 消滅可能性都市とは何か 総務省統計局によると2008年が人口減少元年で、現在はもう人口減少社会が定着しています。住まいに関する人々の意識や生活感覚も少しずつ変化して、県庁所在地の駅前にもシャッター商店街が出現するまでになってしまいました。街の活気が失われると人口流出に拍車がかかり、高齢化率が上昇し、限界集落への道を辿り始めます。そんなことには絶対になりそうもない東京23区内の豊島区が「消滅可能性都市」に選ばれたことは衝撃でした。「消滅可能性都市」とは日本創生会議が

【都心の街は日々変貌し拡大します】

1.都市再開発 東京の都心部では一時も休むことが無く、どこかで再開発が進行中です。都市再開発事業が行われる地域内には、集客力の高い施設が出店し、道路や街並みが整備され、地域の魅力が高まります。多くの人がそこに訪れるようになると、その周りに店舗が集積し、やがて周辺の住宅地域にも店舗が出店します。住宅地域内の店舗の数が増えて裏通りにも店舗が連坦するようになると、気付いた時には地域全体が商業地域になっています。住宅よりも店舗の賃料は高いので、その地域の不動産価格は上昇します。 始ま