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プロダクト開発におけるKPI設定について

こんにちは。別所 (@gb_pdm)です。
2019.12からSNS領域プロダクトのプロダクトマネージャーをしています。

現在KPI(Key Performance Indicator)に基づき機能立案やプロダクト改善ができるチームを作るため挑戦中です。
KPI設定方法については既に多くの方が情報発信されていますが、自分の中での整理の意味も込めて先人の方達の内容をベースに改めてまとめました。

ここで話すこと
- KPIは様々なシーンで設定されるかと思いますが、ここではプロダクト開発観点での話になります。

ここで話さないこと
- 具体的にどういった指標をKPIに設定すべきかについては触れていません。
- KPI・KGIの達成方法については触れていません。(誰か教えて下さい)

1.KPI設定のメリット

[メリット1]道標になる
KPIはKGI(Key Goal Indicator)という山を登るための地図になる。
KPIはKGIという山の中で自分達がどこにいるかを確認するGPSになる。

[メリット2]再現性がある
KPIがあれば施策の評価(成功/失敗)とその要因特定ができる。
そこから学びPDCAを回すことで再現性のある施策の実施ができる。

[メリット3]将来起こりうる問題を早期に発見できる
KPIはKGIの先行指標となり、KGIはKPIの遅行指標になる。
KPIがあればKGIに影響が現れる前に変化に気付け施策の実施が可能になる。

[メリット4]主観ではなくチーム全員が客観的に判断できる
KPIがあればチーム全員が目標に対して共通認識を持てる。
正しいKPIは「立場を利用する人」や「声の大きい人」に立ち向かう武器になる。

2.良いKPIの特徴

[良いKPIの特徴1]ゴールから逆算されている
良いKPIはKPIが決まる前にKGIが明確になっている。
良いKPIはKGIと因果関係にある。
KPIの数値が向上してもKGIに効果がない場合、それは正しいKPIではない。

[良いKPIの特徴2]アクショナブルである
良いKPIはKPI達成のためのアクションの検討と実施が可能である。
もしアクションに繋がらない場合下記を確認する。
   - そのKPIはさらに細かく分解できるか
   - そのKPIは自分たちでコントロールすることができるか 

[良いKPIの特徴3]少数に絞られている
見るべき数字が多いと人は関心を払わなくなる。
良いKPIは日々確認が可能なシンプルで重要な指標のみに絞られている。
良いKPIは多くても両手で数えられるだけ、できれば片手に収まる数になるべき。

[良いKPIの特徴4]質指標と量指標が区別されている
良いKPIは質的KPIと量的KPIが適切に使い分けされている。
質的KPI を一定ライン満たしてから量的KPIの向上に移るのが常道になる。

■質的KPIの例
・いちユーザあたりの利益
・いち取引あたりのクレーム発生率
・全ユーザに締める課金ユーザの率
■量的KPIの例
・サービス全体の売上
・月間のインストール数
・ロイヤルユーザの獲得数

3.KPI設定のアンチパターン

[アンチパターン1]事業収益にしかフォーカスされていない
KPIが事業収益にしかフォーカスされていないとKPIの達成が顧客価値の向上に結びつかない。

■顧客価値の向上に結びつかない例
・チャーンレートを下げるために解約導線を複雑にする
・収益増加のために広告枠を過剰に増やす

[アンチパターン2]ビジョンやゴールがない状態で設定する
プロダクトやチームのビジョンやゴールがない状態でKPIを設定しても空虚なKPIとなる。
このKPIは最終的に何を達成するために存在するKPIなのかを明確にしておく。

[アンチパターン3]KPIが部署(チーム)単位で割り振られトレードオフの関係になっている
KPIはそれぞれがトレードオフの関係になっている場合がある。
かつそれらのKPIを異なるチームで追っている場合、チーム間の連携が生まれにくい。

4.KPIの決め方

大きく2種類ありそう

[KPIの決め方1]KPIツリー型

■手順
- 手順1:KGIの設定
- 手順2:Input Metricを洗い出す
- 手順3:KGI達成に繋がるNorth Star Metricを見つける
- 手順4:North Star MetricとInput Metricの因果関係を整理しKPIツリーを構築する

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(こちらを参考にさせていただきました。)

■メリット
KGIを計算可能な状態でKPIに分解することでKGIの予測値算出が可能になる

■ポイント
ポイント1:手順2でInput Metricを洗い出す際は下記4つの観点で洗い出す
   - Breadth(幅):グロースの土台となる量指標
   - Depth(深さ):ユーザーのエンゲージメント率を測る指標
   - Frequency(頻度):ユーザーがどれくらい頻繁に価値を享受するための行動をしているかを測る指標
   - Efficiency(効率):効率よくユーザーに価値を感じてもらえているかを測る指標

■ECサイトにおけるInput Metricの例
・Breadth(幅)
   総売上金額 , 会員数
・Depth(深さ)
   購買ユーザー率(購入ユーザー数 /  訪問ユーザー数)
・Frequency(頻度)
   訪問頻度 , 購入頻度
・Efficiency(効率)
   訪問から購買までの時間

ポイント2:KGIとKPIの間にNorth Star Metricを設ける
一般的なKPIツリーはKGIの下層にKPIが来ることが多いが、プロダクト開発においてはここにNorth Star Metricを設ける。

North Star Metricはプロダクトをグロースさせる上で最も重要なただ1つの指標である。
KGIはビジネス指標(事業収益)であることが多いが、「ビジョン」「事業収益」「ユーザー価値」を全て満たすNorth Star MetricがKGIとKPIを結びつけることで事業収益のみにフォーカスしないKPIツリーを構築できる。

補足:North Star Metricが策定できない場合
North Star Metricを見つけられない場合、KSFからKPIツリーを構築する方法もある。
KSF(Key Success Factor)とは、KGIを達成するための成功要因である。
KSFは複数存在する場合もあり定性的な状態で定義される。
このKSFを計測可能な指標に変換し、ブレイクダウンすることでKPIツリーを作成する。

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[KPIの決め方2]グロースモデル(体験構造図)型

■手順
・手順1:グロースモデル(体験構造図)の作成
・手順2:作成したモデルの(現時点で)最も重要な部分をKGIとする
・手順3:作成したモデルの価値提供ポイントについてKPIを設定

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(こちらを参考にさせていただきました。)

■メリット
より顧客価値にフォーカスしたKPI設定が可能

■ポイント
ポイント1:モデルの整理
グロースモデルであれば、AARRR(アー)モデルなどを利用し、プロダクトの成長サイクルを整理する。
体験構造図であればカスタマージャーニーマップを作成し、ユーザーへの価値提供ポイントを整理する。
※作成される最終的なグロースモデル/体験構造図は各プロダクトによって異なる。

ポイント2:シンプルにする
大きなプロダクトになるほどモデルも肥大化する。
そのプロダクトにとって本当に重要な価値だけを抽出しなるべくシンプルで無駄のないグロースモデル/体験構造図を作成する。

5.さいごに

いかがでしたでしょうか。

ちなみに僕は今、グロースモデル(体験構造図)型でKPI設定をしています。
KPIツリー型によるKPI策定も何度か試したのですが、どうしても顧客価値に繋がらないKPI設定になり違和感がある状態から抜け出せませんでした。

ツリー構造での分解がどうしても難しく。。

そんな時、グロースモデル(体験構造図)でのKPI策定に関する記事を拝見して「これだ!」と思い現在はこの方法でKPI設定をしています。

設定したKPIをプロダクト開発サイクルにしっかりと組み込めるか、実際にKGI達成に繋がるかはまだまだこれからとなります。

以上となります。
最後まで読んでいただきありがとうございました!

その他参考記事

今回の記事をまとめるにあたり参考にさせていただいた記事になります。大変参考になりました。




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