短編小説『悪魔との取引で、国会で阿呆な事言ってる野党議員を完全論破』

もちろん裏が有るとは思ったが、まさか、こんな事なんて……。
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 おい、もう、先月の話だぞ。
 つまり、既に終った話だって事だ。
 でも、国会では先月に起きた大地震への政府への対応に文句を付けてる野党議員がゴロゴロ居る。
 大体、何で、予算委員会で地震の話をするんだよッ⁈
 そして、地震委員会なんて委員会は国会には無い。
 だから、地震の話を国会でやるのは法律違反の筈だ。
 でも、阿呆な野党議員は、それを判っていない。
 畜生畜生畜生畜生……。

「総理、自衛隊のヘリで支援物資を送れた筈ですが……」
「ですので、適当な着陸地点が無かったので……」
 いや、その通りだ。俺達の総理が阿呆な野党のメス議員を完全論破してくれたぞ。
 よし、お祝いに今日の晩飯は、定食チェーンの如月きさらぎ屋ですき焼き定食の大盛りだ‼
「すいません、ドクターヘリなどは大病院の屋上から離着陸する事など、いくらでも有るんですが……」
「そ……それは……その……自衛隊のヘリは高性能な分、離着陸には滑走路が必要でして……」
「総理、ヘリって、どんなモノが御存知ですか?」
「事前に提出いただいた質問趣意書にない御質問ですので、お答えいたしかねます」
 あれ?
 SNSの反応を見てると……何でだよ?
『おい、何で、あんな阿呆を総理大臣に選んだ?』
『与党の総裁選で、あの阿呆総理に投票した与党議員の一覧をUPしときました。次の選挙では、阿呆を総理に選んだマヌケ議員どもを落選させましょう』
『あの議員を散々馬鹿呼ばわりして総理を擁護してた奴らは今頃ざまあだな。馬鹿に論破される総理は大馬鹿か?』
 おい、どう考えても、総理があのメス議員を論破してるじゃねえかッ⁉
 なのに、何で、どいつもこいつも、総理の方が論破されたと勘違いして……あれ?
 何だ、この「悪魔との取引で願いを叶えましょう。最初の1回目はお試しなので魂は不要です」って広告は……?

 その広告をタップして現われた悪魔も、とんだ阿呆だったようで、俺の願いをどんだけ丁寧に説明しても理解出来なかったようだった。
「あ……えっと……つまり、あの野党議員が間違っていたような状況を作り出せばいいんですか?」
「何言ってんだ? 間違ってるのは、あのクソメスの方だろ。その事を国民全員に納得させろ」
「そう言われましても……」
「何? 何だよ? あんたも、あのクソメスが俺達の総理を論破したと思ってんのか? 悪魔のクセに、てめえは阿呆なのかッ⁉」
「ですので……困ったな……。わかりました。やりましょう。では、条件です。1回目はお試しなので魂はいただかない。2回目の願いで魂をいただきます。なお、『1回目の願いを取り消せ』も2回目の願いに含みます。この条件でいいですか?」
「ああ、いいぞ、やれ」
「ああ……まったく、困った客に関わっちまったなぁ……。何で、こんな阿呆の為になんてやんなきゃいけないんだ?」
「おい、何、ブツブツ言ってる? 早くやれ」
「はい、やりますよ。貴方の願いを叶えりゃいいんでしょッ? クソ、こんな阿呆の魂、使い道ね〜しなぁ……。どうすりゃいいんだ?」

 次の瞬間、国会中継の画面の中では総理大臣が野党のクソメス議員に堂々と反論していた。
?」
 ……えっ?
 待て……あの悪魔……俺の願いを叶える為に……何をやったんだ……?

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