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弱虫なライオンと勇気との差(301

"I don't know, I'm sure. To think of your striking a stuffed man, like the poor Scarecrow!"(『THE WONDERFUL WIZARD OF OZ』より)

「分かりっこないわ、もちろん。人をぶつなんて、かかしのようにワラが詰まっていたって、可哀想だと思わないの!」



『オズの魔法使い(THE WONDERFUL WIZARD OF OZ)』の6章を読み進めています。しっかり意味を捉えていく二巡目です。
 6章「The Cowardly Lion(弱虫のライオン)」でドロシーは犬のトト、ワラのかかし、ブリキのきこりと歩いてエメラルドシティへ向かう途中、臆病なライオンと出会います。



 読んでいて意味を取りかねるところがないか、4〜13節を読んでいきました。基準としては「英文を音読しながら同時に頭の中で日本語に訳せるかどうか」を判断し、訳そうとして詰まるようなところがあれば意味や用法を確認していきます。物語も同じペースで読んでいるので、たびたび気づきがあって楽しいです。


 鬱蒼とした森で、襲いかかってきたライオンと対峙するドロシーなのですが、よくよく読むと、このライオンを「臆病・弱虫」と断定したのはドロシーのようです。


~when Dorothy, fearing Toto would be killed, and heedless of danger, rushed forward and slapped the Lion upon his nose as hard as she could, while she cried out:


 トトを襲おうとしていたライオンの前に、ドロシーが立ち向かいます。"heedless of danger"のheedは「注意を払う」なのでheedlessでは「気に留めない」。「危険も顧みず」飛び出しているんです。それも"as hard as she could"「できるだけの力で」鼻をはたいたり、"cried out"(shoutやscreamと違うニュアンスで)叫んだりといじらしさが見えます。とっても勇気がある子です……。


 この恐れと行動の差がドロシーの「勇気」として、ライオンの「臆病」と対比されているようです。


"I didn't bite him," said the Lion, as he rubbed his nose with his paw where Dorothy had hit it.
"No, but you tried to," she retorted. "You are nothing but a big coward."


 前足で鼻をさすりながら言い訳しているライオンがかわいいですね。「いいえ、あなたは噛もうとしてたわ」とドロシーが反撃していきます。"~a big beast like you, to bite a poor little dog!"というセリフにもあるんですが、大きくて力のある者がちいさな相手を一方的に傷付けようとしたことを怒っているようなのです。それを、「あなたは体が大きいだけの弱虫よ」と言っています。「臆病のかたまりよ」という感じです。


 ライオンの方はドロシーの言うことがその通りだということを恥じてうなだれてしまいます。はじめて他のひとに指摘されたのかもしれません。むしろ指摘によって顕在化していそうな勢いなのですが、気づいていながらどうしたらいいか分からなかった、改めようにも改められずにいたなどのことが話を聞くと分かってきます。


 でも確かに、「小さな者が大きな者に立ち向かう」「恐れていても行動する」というのは、元々「大きい者」「危険を感じることがない者」には身に着ける機会が少ないのかもと思います。


 ライオンについてはもう少し考えながら見ていきたいところです。



 電子辞書に登録した単語の復習と、英文解釈のための音読復習もつつがなく終えました。
 明日も英語の学習を進めていきます。よろしくお願いします。



 こちらのマガジンにお立ち寄りいただいてありがとうございます。コメント等とても励みになっています。よろしければまたぽちぽちお待ちしております。



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使用したサイト:
”The Project Gutenberg E-text of The Wonderful Wizard of Oz, by L. Frank Baum.”
http://www.gutenberg.org/files/55/55-h/55-h.htm

使用した機器:
電子辞書PW-AM700シャープ ジーニアス英和&和英辞典/単語登録数43件

使用した書籍:
『英文解体新書』(北村一真、研究社)P237
『オズの魔法使い』(ライマン・フランク・ボーム/柴田元幸、角川文庫)

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