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フリーソフトで作ったはじめての小説同人誌備忘録


はじめに


はじめましての方ははじめまして。ガヤチャソと申します。

今回はコミケ2日目、@ruhu_tyoooooo様(以下ルフ鳥さん)のサークル「るふちょう商店」(い-36a)にて、スマホアプリ「Shadowverse」を題材とした小説同人誌『御伽と偶像の誕生日』を委託販売させて頂きました。


素敵な表紙をありがとうございます

今回はそこに至るまでの経緯や制作工程などを纏めた記事となります。
よろしくお願い致します。

動機

もともとコミケへの出展と自分で書いた同人誌の販売に憧れがあり、なおかつ友人のルフ鳥さんがサークル出展をするというお話を聞いたので、なら自分も同人誌を出したい!と思ったことがきっかけです。
お互い「Shadowverse」を遊ぶ仲だったので、題材に関してはすぐに決まりました。

私は絵が描けません。なので、出すなら小説同人誌を出したかった。
「Shadowverse」はデジタルカードゲームが主体のアプリですが、その他にストーリーコンテンツも存在しています。
その内のひとつ「才気学園編」というストーリーがとても素晴らしく心に響いたため、今回執筆に至りました。
中でも登場人物である「ライル」と「アマリリス」(以下ライアマ)が特にお気に入りで、書くならこの二人が中心の話を書きたいと決めていました。

以上がおおよそ9月までのお話。

時系列ごとにやったこと

10月

  • 才気学園編を一から読み直し、メモを取りつつ自分の感情や考察を補足

二次創作である以上、キャラ崩壊や設定の矛盾は避けなければなりません。
本編を最初から読み進め、舞台設定と、人物ごとの描写を一からメモに纏め上げました。
纏めていくうちに浮かんだ疑問・考察・感情も合わせてメモ。
ボイスの声色から人物の感情も読み解き、必要に応じてスクショを貼付け。
描きたいライアマの描写は特に重点的にメモしました。

怪文書1
怪文書2

必要となる資料やツール集め

執筆にあたって購入した物、導入したソフト・アプリをご紹介します。

本(敬称略)

・(萌)表現探求サークル『簡単! 楽しい! はじめての同人活動ガイドブック』㈱ホビージャパン
→たまたま手に取ったこの本が無ければ今回同人誌が出ることは無かったと言えるほど有益な情報が詰まっている一冊。
グッズ作成についても触れられておりサークル出展するなら買って損のない本だと思います。

・エイミー・ジョーンズ『物語のつむぎ方入門 <プロット>をおもしろくする25の方法』㈱創元社
→今までしっかりしたプロットを作って話を書いた事が無かったため、一度プロットについて勉強しようと考え購入しました。
様々な著者の観点から物語の構成論が述べられており、書こうとしている物語に合った構成論を照らし合わせることでプロット作成の一助となりました。こちらもオススメの一冊です。

道具

・メモ、付箋、マーカー
→仕事の休憩中にメモを取ったり、本に付箋貼ったりマーカーで線を引いたりしてました。

・ブルアカコラボキーボード Varmilo ジャスミン軸
今回の執筆にあたって買ってよかったものMVP。長くなるので割愛しますが Varmiloのジャスミン軸キーボードは打鍵感が最高で執筆のモチベが爆上がりしました。
高いですが本当にオススメです。一生ものとして使っていける品物です。

フリーソフト

・LibreOffice Writer
→執筆の要となるフリーソフト。Wordと同じ感覚で使えます
(詳細な使い方は後述)

・GIMP
→フリーの画像編集ソフト。表紙の作成で使用。
PDF形式での出力が可能で利便性が高いのが特徴。

アプリ

・iPad 日記アプリ
→外出先で執筆をするために使用。

・LINE
→iPad日記アプリで書き足した部分をPC側に反映するために使用。

11月

プロット完成。本文執筆開始。28日に大元の執筆が完了。

12月

本文、レイアウト修正→入稿→出展販売。
塗り足し、表紙、余白でそれぞれ決まり事があり、作成段階でその事について知らなかったため修正作業に追われてしまいました。

制作前に気を付けること4つ

知らず非常に苦労したことを4つ纏めました。

1.印刷所の入稿規定

印刷所によって入稿の方法が違います。
例えばPDF形式のみ、Word形式可、テンプレートのみ、といった感じです。
よって印刷所を先に決め、入稿規定を確認後に制作に移るのがベターです。

2.塗り足し

印刷物の断裁ズレにより四方に余白が出ることを防ぐための、実際のサイズより余分に塗られた部分のことを指します。
これが無いと表紙の外側に余白が出てしまったり、表紙の一部が切り取られてしまいます。
それを防ぐため、最低でも上下左右に3mm(表紙なら更に背表紙の幅を追加)の余裕を持たせたサイズで原稿を作成する必要があります。
今回は塗り足しが無かったため、表紙画像の周りを黒い枠で囲み塗り足しとすることで対応しました。

3.表紙画像の位置

右閉じか、左閉じかによって表と裏表紙の位置が変わります。

右閉じの場合……左が表、右が裏
左閉じの場合……左が裏、右が表

表紙の裏に画像を入れる場合はその都度データの作成が必要になります。

表表紙を表1、裏表紙を表4とすると、表表紙の裏側が表2、裏表紙の裏側が表3となります。ややこしいですね。

表1-4、表2-3で分けて原稿を作成、提出します。
表2-3は表1-4と位置関係が逆になるので注意です。

単ページで入稿可能な印刷所もありますが、どちらの場合でもトラブルを防ぐため、ファイル名は一目見て表紙だと分かる名前にした方が良いでしょう。

4.(イラスト本の場合)dpi(解像度)の設定

原稿の解像度にも注意が必要です。
例えばクリスタのデフォルト解像度は72dpiですが、印刷に適した解像度はカラーで350dpi、モノクロでは600dpiとされています。
この設定を怠ってしまうと、印刷に適さない粗い仕上がりとなってしまいます。
全て一から書き直しになってしまうため、解像度の設定はイラストソフト側で必ず忘れずに行ってください。

LibreOffice Writerを使った執筆の方法

今回の備忘録でいちばん重要な項目です。
LibreOffice Writerを使うにあたって押さえておきたいことを纏めています。

今回制作した同人誌の仕様

・A5サイズ
・右閉じ
・表紙(上下0.3mm+左右0.3mmの塗足し+背表紙幅1.8mm)
 =高さ216mm×幅303.8mm(表・裏・背表紙を全て含んだサイズ)

←表表紙 裏表紙→

・本文30ページ(遊び紙、あとがきを含む)
・縦書き2段構成
・高さ216mm×幅151mm(上下3mm+左右1.5mmの余白を挿入)
・使用フォント
 →MS 明朝(!、?、‼、⁉、……、――、あとがきで使用)
 →源暎こぶり明朝 v6(その他文章で使用)
 →Arial(フッターのページ番号で使用)
・文字サイズ
 →本文9pt(フッター8pt、あとがき16ptと10pt)


今回解説する方法ではこの仕様の小説同人誌を制作するものと仮定します。

LibreOffice Writer側の設定と執筆の流れ

・表紙ページのひな型作成

「挿入」タブから「タイトルページ」を押し、ページのプロパティを編集の部分のスタイル「最初のページ」を選択し、編集を押す
用紙サイズを「高さ216mm×幅302mm+背表紙(1.8mm)」サイズに設定し、印刷の向きを「横」にする

OKを押し「既存のページをタイトルページに変換」にチェックが入っていることを確認したらタイトルページ数を1(表2-3を入れる場合は2)に設定し、OKを押す
画像編集ソフト等で作成した画像をひな型に挿入し、表紙とする

※表紙データが本文と連結している必要が無い場合、この操作は必要ありません。画像編集ソフト側で直接PDFで表紙を出力し本文データと別々に入稿すればOKです※

・スタイルの作成

「スタイル」タブから「スタイルの管理」を押すと右側にメニューバーが出てくるので、「ページスタイル」アイコンを押し、空白部分で右クリック→「新規」
名前:「遊び紙」
次に続くスタイル:「本文」
上記2つのスタイルを作成します。

・遊び紙の挿入


印刷所側で入れて頂くほか、自分で入れることも可能です。
「挿入」タブから「その他の区切り」→「任意区切り」を押し、改ページから「遊び紙」を選択しOKを押すと白紙のページが挿入されます。

そのページ上で右クリック→「ページスタイル」を押し、「ページ」タブで用紙サイズを選択し「高さ216mm×幅151mm(上下3mm+左右1.5mmの余白を挿入)」にサイズを変更。
「管理」タブの「次に続くスタイル」を「本文」に設定し、OKを押す

・本文の書式設定

「CTRL+ENTER」で改ページ。ページスタイルの設定を開き、用紙サイズと余白の設定は遊び紙と同様に設定。

「文字の方向」を「右から左へ(縦書き)」へと変更。
「フッター」タブで「フッターを付ける」にチェック。
「段組み」タブで設定の「列」を「2」に変更し、OKを押す。

最後に「挿入」タブから「ページ番号」を押し、位置がフッター、配置が中央になっていることを確認したらOK

これで書式の設定は完了です。
(フッターのページ番号がうまく入らない場合があるのでその場合は手動での入力をお願いします)

・‼や⁉といった記号の入れ方

縦書きの文章の場合、デフォルトだと連結した記号が入らないので新しくフォントをインストールする必要があります。

今回私が使用したフォントが「 源暎こぶり明朝」というものです。
ダウンロード、インストール後にIMEパッドを開き「文字カテゴリ」の「一般句読点」から入力したい記号を選択します。
(U+2030、2040辺りにあります)

記号が横向きになっている場合は記号を選択し、右クリックで「文字」→「文字の書式」と進み「位置」タブの回転/倍率で90度にチェックを入れると縦向きになります。

私の環境では記号と本文が同じフォントの場合に文字の位置がズレてしまったため、本文を「源暎こぶり明朝」、記号を「MS 明朝」にすることで対処しました。
導入するフォントや環境次第で変わる部分なので、色々と試して頂けますと幸いです。

・ルビや傍点の付け方

ルビ……付けたい文字を選択し「書式」タブの「ルビ」を押すと文字入力の画面が出てきます

傍点…… 付けたい文字を選択し「書式」タブの「文字の書式」を押す。「フォントの効果」タブの「傍点」から好きな点を付ける

・あとがきの挿入

本文を書き終えた所で任意区切りの改ページで「遊び紙」スタイルのページを挿入
(別途スタイルを作成頂いても大丈夫です)
文字サイズやフォント等を設定し書き上げます。

※以下の情報は必ず記入が必要です※

・発行年月日
・サークル名
・発行者
・連絡先(メールアドレスが望ましい)
・印刷会社

あとがき又は表3を使って明記しましょう。

・PDFでの出力方法

「ファイル」タブから「次の形式でエクスポート」→「PDFとしてエクスポート」を押す。
保存先を選び、OKを押せば完了です。

表紙のみ出力したい場合はページを指定しエクスポートするか、別途画像編集ソフトで表紙を作成後PDFとしてエクスポートしてください。

おわりに

人生初のコミケ出展。
今までコミケに参加しながら、いつか出展してみたいとも思っていたので、念願叶って本当に嬉しいです。

素敵な表紙を書いてくれたルフ鳥さん。
素敵なスペースにして下さったおかげで私の同人誌も完売となり、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

そしてご来場頂きました皆様、本当にありがとうございました。感想も頂き、とても励みになります。
暫く先になりますが、また同人誌を出させて頂きますので、よろしくお願い致します。

この記事が誰かの小説同人誌執筆の一助となれば幸いです。

ここまでお読み頂きありがとうございました。

ガヤチャソ


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